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#仕事・人生 | 久藤あかり

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#エッセイ部門

全国紙新聞記者を辞めて特殊清掃業界に入った話

県営住宅の一室。「風呂場」にこんもり積もった人糞を紙袋に詰めていく。 防毒マスク(※注 業界では「面体マスク」「めんたい」と呼ぶ)を突き抜ける臭気が、涙腺を刺激する。全身を覆う防護服は体温を密閉し、噴き出る汗を逃さない。 クサい、暑い、クサすぎる、、、。 つい1ヶ月半前まで首相官邸にいた俺が、一体何をしているんだろう。 ”総理番”の記者自分が勤めていた新聞社では、東京で新人記者研修(2ヶ月)→各都道府県への地方配属(5年半)→本社配属(その後ずっと)というコースで、記者

【体重17㎏の私】精神科入院1年を経て得た「辞めて幸せになった4つのこと」と飽食の時代に『餓死』しかけた過去~ASD+精神疾患と診断されるまで~

#創作大賞2024 #エッセイ部門 これまでの様子は上記記事から↑(下の記事は中学時代のトラブルを語っているが、小学生の時も同じようなことがあったのでご参考までに) 完璧主義だった私 なんとなく生きづらさや体調不良を抱えつつも環境や人間関係に恵まれていたお陰で、他の人と同じような生活を送ってきた私の小学校時代。 真面目で穏やかで誰にでも分け隔てなく優しい。 成績も良く、正義感も強くいじめの仲裁にも入る。 完璧主義で掃除の時間すら手を抜かないしっかり者の優等生ー。

生きがいについて~ある北海道の職場から~

折に触れて神谷美恵子の「生きがいについて」を手に取る。 冒頭から心をつかむ文章にいつも胸が熱くなる一冊だ。 本家には遠く及ばないけれど僕自身が最近、「生きがいについて」をある人から教えられた出来事について今日は紹介しよう。 現在、僕が勤務している会社は産業廃棄物処理業だ。 いわゆる「ゴミ屋」さんで主に後志管内の産業廃棄物を収集、処理している。 ゴミ屋と聞くと世間からは「汚い・キツイ・カッコ悪い」、3K仕事だとイメージされるかもしれない。 それでも僕は毎日ワクワクしなが

「書く」。「書かない」。

もう、ずうっと以前のことになりますが、「てがみさま」というお話を書いたことがあります。 手紙の神様。てがみさま。 大切に書いた手紙には神様が宿ることを──短いお話にしました。 封筒を開け、折りたたまれた便箋をひらくと、おかっぱ髪の女の子の神様が、ちょこんとそこに現れる。それが、てがみさま。 誰かに手紙を届けることが、いまよりずっと身近な時代でしたので、ちょこちょこと、お礼状など書く習慣がありました。 手紙を書くときには、必ず心を込めて。 封書のときには、てがみさまに封筒のな

おじいちゃんは死なないと思ってた

 大人になってからも、おじいちゃんが入院してからも、「おじいちゃんは死なない」と思ってた。だって、スーパーマンだから。  その日、私は働いていた。母から着信があり、あぁまずいなと思いながら、電話にでた。母が「おじいちゃんが危篤で、今高速で病院に向かってる。」と言った。「きっとおじいちゃんは待っていてくれると思うから。お母さんが事故ったりしないように。辛いと思うけど、安全運転でね。」と絞り出すように伝えた。【注1】  仕事に戻って少し経つと、急に腕時計が止まった。あぁ、だめ

人生の記録/元警察官の鍼灸師

大学を卒業して警察官となった 私はエンジニアになろうと工学に進んだが、大学時代あまり勉強しなかった 授業についていけなかったのだ 数学が苦手、電磁気学の理論はチンプンカンプン やっと、卒業できたくらいだった コンピュータの授業は好きだったが 成績が悪かった 就職活動しても、良い就職先はなかった 就職活動中、帰る途中で財布を落とした、免許証が入っていた 交番に届けられていた 連絡を受けて取りに行った 交番の警察官に勧誘された そんな訳で警察に入った 交番の警察官に「これからはコ