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「営業」ってどんなイメージ? 近年急速に変化した「営業」に対するイメージとは?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

「営業」とひと言で言っても、専門性、分業化が進んできていることは、このnoteでもお伝えしました。

上記の記事でもご紹介したとおり、この数年で「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」といった職名が一気に広がり、かつての「営業」という、どちらかといえば野暮ったいイメージとは異なる、洗練された新たなイメージに変化してきています。

「絶対達成」で知られる超人気営業コンサルタントの横山信弘さんがトップ営業パーソンたちの取材を通じて、自身が考えていることをすり合わせながら、「変わること」「変わらないこと」をランキング形式で解説した新刊『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』の中で、「営業に対するイメージの変化」について詳しく解説しています。今回は、その該当箇所を一部編集・抜粋して公開します。

回を重ねるごとに白熱する、日本一の営業を決める大会

 近年、営業が盛り上がっています。
 15年以上営業コンサルタントをしてきて、この変化には心底驚いています。この2~3年、特にそう感じています。
 象徴的なイベントが、2021年11月20日(土)に開催されました。
 日本一の営業を決める大会「第5回 S1グランプリ」です。

 漫才師日本一を決める「M -1グランプリ」を下敷きにした大会で、1年に1回開催されています。予選から決勝までの選考方法もよく似ています。私は第3回大会から審査員を務めており、今回も白熱した現場を目の当たりにしました。
 S1グランプリの運営チームは30代前後の若者たちで構成されています。全員がボランティア。営業のステータスを上げたいと願い、自主的に活動しています。
 実際に「S1グランプリ」は第1回大会こそ30名ほどしか集まらなかったようですが、今回の第5回大会の申し込みは1600名を超え、オンラインで開催された大会当日は、目で追えないほど参加者からの応援コメントが乱れ飛びました。
 ファイナリストとして当日プレゼンテーターを務めたのは3名。100名を超えるエントリーから選ばれた猛者たちです。
 ファイナリストたちのプレゼンテーションはハイレベルでした。とりわけお客様の問題解決に「ここまでするか」と思えるほど注ぎ込んだ情熱ストーリー、圧倒的な実績を裏付ける創造性豊かな営業テクニックの数々は圧巻でした。
 顧客志向を突き詰めなければ、現代の営業活動において結果を出すことは難しい。そう強く思わせられた大会でした。

「#営業祭り」がSNSでトレンドに

「S1グランプリ」だけではありません。
 2021年10月と11月にTwitter 上で開催された「#営業祭り」でも、イメージを覆す盛り上がりを見せました。
 10月15日(金)から3日間開催された「#営業祭り」というハッシュタグは、実に17・6万回も使用され、120万を超えるエンゲージメント(いいね、リプライ、コメントなどのアクション)を記録したと言います。名高い営業インフルエンサー4名が仕掛けたそうですが、主催者の一人、吉武利紀さんは、
「まさかここまで盛り上がるとは思いませんでした。衝撃的です」
 と手ごたえを語ります。
「Twitter の世界に、これほど営業アカウントがあるとは思いませんでした。営業が好きって大きな声で発信していいんだって、みんな気づいたんじゃないでしょうか。そんな人たちがドンドン出てきて。メチャクチャ盛り上がりました」
 吉武さんはまだ23歳。大学卒業後、社会人になってから営業を経験し、すぐに営業の魅力に虜になった若者の一人です。
「営業ってキツいイメージがありますが、自己成長を実感できるすごい職種だと思っています。営業のマイナスのイメージを変えたくて企画しました」
「チームスポーツと似ていますよね。連帯感や仲間意識をすごく感じられる職種だと思います。厳しいけれど、だからこそ営業仲間とは深いつながりを覚えられます」
 吉武さんは、ラグビーに打ち込んだ過去の経験をもとに語ってくれました。社会人2年目とは思えないほど、自信あふれた語り口が印象的でした。
 2021年11月17日(水)からも第2回の「#営業祭り」が開催され、この回には私も参戦しました。Twitter のタイムラインが「#営業祭り」で占拠されてしまうほどの盛り上がりが見られ、まさにこのムーブメントを肌で感じることができました。

なぜこんなに盛り上がるのか?

 それにしても、なぜ今、これほど営業が注目されているのか。吉武さんの上司であり、S1グランプリ事務局代表、古瀬貴大さんに伺いました。
「もともと僕は営業が好きで好きで、好きすぎて、自分自身でも営業コミュニティをボランティアで運営するぐらい好きです。ですから日本一の営業を決めるS1グランプリにかかわったのは自然な成り行きでした」
「突き詰めると、営業は人のためになる仕事。それを多くの人に理解してもらいたいし、だから営業のイメージを変えるために、このようなエンタメ要素の強い大会が必要だと思っています」
 15年以上、私は企業現場で営業コンサルティング事業をやってきました。営業の難しさ、おもしろさ、どちらも噛みしめてきたつもりです。そんな私が、こんなに清々しい気持ちになったのは久しぶりではないでしょうか。
「古瀬さんの夢は何ですか?」という質問に対する答えは、これもまた驚くほど情熱的で、心を打たれました。
「中学生とか高校生の『なりたい職業ランキング』で営業が1位になること。僕はそれを夢見ているし、現実にしたいと真剣に考えています」
 古瀬さんは35歳。私よりも20歳ほど年下です。古瀬さんや吉武さんのような若者こそが、営業の世界を変えていくことは間違いありません。

新しい時代に求められる営業職の台頭

 実際に、営業の印象は大きく変化しています。
 転職市場に目を向けると、その傾向が鮮明です。コロナ禍において、営業職の募集が急増しているのです。エン・ジャパンの調べによると(2021年9月)、飲食や小売りからの人材流出が激しく、その転職先の多くが営業職だと言います(49・1%)。
 また、パーソルキャリアの調べでは、インサイドセールスやカスタマーサクセスといった「新しい時代に求められる営業職」の求人がこの2年半で【約7・4倍】になりました。
 転職希望の営業職に提示される年収も上昇傾向にあります。リモート営業など、デジタル対応ができること。カスタマーサクセス等の新しいスタイルの営業経験がある人材は、マーケットバリューが高く、即戦力であれば年収750万円を超える提示もあるそうです。
 SaaS 企業など、サブスクタイプのビジネスモデルを採用する企業が増えたことも一因です。LTV(顧客生涯価値)向上を目指す企業には、データを活用できる営業──とりわけカスタマーサクセス等の需要は高くなっています。いずれにしても、企業が売上をアップさせるうえで、近年営業の重要性が再認識されていることは間違いありません。

健全なスポーツ感覚

 過去に営業経験のある57歳のジャーナリストと話す機会がありました。この方は、今も営業と聞くと、
「キツい。苦しい。できれば、自分の子どもにはやってもらいたくない仕事だ」
 と言います。
 52歳の私には、その感覚がよくわかります。現場で支援していると、他の職種ではなかなか味わえないドラマチックな出来事、成長の実感を体現することはできます。しかし、とはいえ、ツラいことのほうが圧倒的に多いように思うのです。
 しかし、前出した古瀬さんらの感覚は異なります。
「当然ツラいことは多いですが、他の仕事でもそうですからね。営業だけがキツいとかまったく思いません」
「お客様のニーズを理解し、そのニーズに応えられる商品を僕たち営業がお客様にきちんと届ける。そんな世界って素敵だと思いませんか。極端な話ですが、それが正常に行なわれていく社会ができあがれば、日本も世界も、もっと良くなっていきます」
 古瀬さんは真剣なまなざしで、こう言い切りました。
「僕は営業が元気になることで、日本が元気になると思っています。営業には世界を変える力があるんです」
 古瀬さんたちが巻き起こすムーブメントは、まさに営業のイメージやステータスを変えようとしています。

大企業もイメージ刷新に注力する

 実際に、富士通は営業という呼称をやめ、「ビジネスプロデューサー」という表現を使い始めています。真のビジネスパートナーとしての責務を担う、という意味でネーミングされました。インサイドセールスもカスタマーサクセスもそうです。
「営業=売込み」というイメージが定着している現在、このように呼び名から変えるという試みは、営業のイメージ刷新に効果が高いように思います。
「S1グランプリ」の参画をはじめ、私が近年一番強く感じたのは、まさに営業のイメージが変わりつつある、ということです。まだ大きなうねりとはなっていなくとも、小さくとも確実にムーブメントとして存在感を強めています。
 昭和的な発想だと「ツラい」「キツい」「泥臭い」イメージの営業。
 しかし、現在は「健全なスポーツ感覚」と表現すべきでしょうか。厳しいし、実際に大変です。けれども、仲間意識が醸成されるし、成長の実感も味わえます。ドラマチックで楽しい仕事。これが現代の営業のイメージと言えるでしょう。
 このイメージを持てるか、それとも、まだ昭和の感覚で営業の印象をとらえるのか。この違いは大きいでしょう。おそらく、この違いがわからない企業は、いずれ大きな格差を生み出すのではないでしょうか。世の中の企業経営者たちは、営業の新しいムーブメントから目をそらしてはならないと思います。

いかがですか?

「絶対達成」で知られる超人気営業コンサルタント・横山信弘さんの新刊『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』では、「業種を問わず、全営業パーソンにとって、新時代に必須の思考&スキルは何か?」という命題に対して、「変わること」「変わらないこと」のそれぞれベスト10をランキング形式で詳しく解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。

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