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#4 アクセス数にダマされるな!  ~ネットマーケティングで失敗する理由

こんにちは。佐藤昌弘です。

今回は、本格的にネットマーケティングをやるぞ! と思ったとき、かなりの人が遠回りしたり、失敗したりする原因についてお話ししたいと思います。

まずに理解しておくべきなのは、ネットマーケティングをするうえでは、次の2種類を混同してはいけないということです。

・トラフィック換金型ビジネス
・見込み客を集める一般のビジネス

ネットで活躍している方々、目立っている方々は「トラフィック換金型ビジネス」であることが多いようです。
乱暴に言ってしまうと、アクセスを大量に集めることで広告収入を得るビジネスモデルです。
エンタメ系のユーチューバーが典型例です。
面白い動画を流してアクセス数を増やし、その動画内に広告を入れてその広告収入を得ています。

ユーチューバー以外にも、ゲーム攻略法のジャンルで稼ぎ続けている人たちもいます。
顔や名前を出さなくても、ゲームの実況をしながら攻略法を解説します。ゲームは次々に新作が出るのでネタは尽きません。
ゲーム会社も広告を出してくれるので、収入になります。(とはいえ、ライバルは多く、昔と比べればアクセスを集めるのは大変です)。

ゲーム

トラフィック換金型で大きくなった企業に、韓国のインターネットサービス会社ネイバーがありました。
インターネット上にある情報をピックアップし、並べて提供するというページのつくり方です(※「ネイバーまとめ」は、非常に有名なサイトでしたが、突然の終了宣言がされてサービスは終了してしまっています)。

よく考えてみれば、まとめサイトは、情報を生み出しているわけではありません。
ただ、インターネットの海から情報をピックアップして並べ変えることで新たな価値を生み出すということをしていました。そして、それによってアクセスが集まっていました。

このような、「トラフィック換金型」のビジネスは誰もがあこがれます。みんなやりたがりますが、トラフィック換金型ビジネスは、副業レベルまでなら可能でも、事業化するには、「特殊で難易度も高いビジネス」と考えたほうがいいです。

壁登る

次が、「見込み客を集める一般のビジネス」です。
ここで、ネット上で見込み客を集めるためには、「情報」か「表現」が必要だという話をすることになります。

「表現」とは、小説やエッセイ、イラスト、音楽など、「情報的な価値」よりも「表現的な価値」が大きいものを指しています。
「忘年会、アルミ鍋で酔った社長の頭を叩いてみた」といったYouTube動画は、「情報の価値」というよりは、「情緒的な演出という表現」です。
エッセイっぽく、ペットとのまったりした日常を書いたnote記事も表現です。
映えるスポットに行って写真を撮ってインスタグラムに載せるのも表現的な価値が大きいと言えます。
ネット上では、こういった「表現」は目立ちます。

でも、私は「見込み客を集める一般のビジネス」におすすめしたいのは、「情報的な価値」です。

2情報価値

たとえば、私がYouTubeで「こんにちは~。マーケティングコンサルタントの佐藤昌弘です! ビジネスは人を巻き込め! トルネードだ! ぐるぐるー! はい。今日も動画を始めたいと思います。さて、今日は、書店で私の本を買ってくれた人に突然声をかけてみた! という・・・」なんてエンタメ系の表現をやってもビジネス的には何か違うと思うのです。

とくに、私のようなオッサンがやると、イタい事故になる可能性が高すぎるのです。
そんな動画を見ている人もつらいし、痛々しいし、せっかくの役立つ情報も頭に入ってきません。

もう1つ例を挙げると、今回のnote連載は、フォレスト出版さんのアカウントで行っています。
フォレスト出版はビジネス書の出版社さんなので、noteに記事を書くなら、ビジネス的には「表現」じゃなくて「情報」を載せるほうが相性は良いはずなのです。

たとえば、「ビジネス書から学んで、実際の仕事に役立てた事例」の取材内容を、表現力豊かに記事にするのは、出版社ならでは、だと思います。
フォレスト出版によるビジネス書の著者紹介も面白いと思います。


◆アクセス数に騙されるな!

「いやいや、でも面白くてバズったら、それはそれで数多くの人に知ってもらえるわけだし、良いんじゃないですか?」

そんな声もあります。
たしかに、「それは間違いです」と言い切るだけの材料はありません。

ビジネスでは人間関係も大切で、それは雑談やたわいもないコミュニケーションこそが人柄を伝えます。それに「バズった表現」には情報の価値がないのかと言えば曖昧な答えになります。

そういう意味においては、「情報的な価値」がありつつ、「表現としても面白い」のが理想とも言えます。

面白い

いずれにせよ避けたいのは、表現として面白くアクセス数はすごいのに、売上がまったく上がらない・・・なんていうことが起こらないようにすべきだということです。

それだけはハッキリ言って意味がありません。

トラフィック換金型ビジネスなら、アクセス数が必要です。
でも商売人にとって、アクセス数が欲しいのではなく、本当に求めているのは売上です。
YouTubeのチャンネル登録者数が100人しかいなくても、年間1億円の売上が上がればいいと考えるのが正常なのです。

たとえば、行政書士さんが「日本における在留期間の更新許可のやり方」というタイトルを、インドネシア語にしてYouTubeにしたら、誰が見るでしょうか?
チャンネル登録者が、それほど多くはなくても、それがビジネスに直結するであろうことは誰だってわかります。

登録者数が1万人くらいいないと、なんて思う必要はないのです。

ここを勘違いしていると、ネットマーケティングで間違った方向へ進んでしまいます。
一番ヤバいのは、情報を出さずに、表現系でいこうとして、それも失敗しているというパターンです。
「かっこいいYouTube動画をつくりましょう!」と営業されて、よくわからないイメージ動画を1本30万円も支払ってつくってしまい、「見ているのは社員だけ。総再生回数20回」という失敗談があります。
それでは、表現系のコンテンツとしても失敗してしまっています。そんなケースは山ほどあるのです。

実は私も、実験の意味でYahoo!のトップページに広告を出したことがあります。小さな広告枠ですが、さすがはYahoo!のトップページ。おかげで誘導先のサイトのアクセス数は一気に増えました。4日間で100万アクセス!これはすごい。そのぶん、すごい勢いで課金され、広告料は200万円いきました。

果たして、売上は?

ゼロです、ゼロ。なし。お恥ずかしながら、ゼロでした。

収入ゼロ

広告も下手で、クリックされて表示されるホームページも下手だったのかもしれません。
しかし、「今ならやるか?」と言われても、やりません。
こうしたnoteに記事を書いて、ビジネス系の読者からのアクセス数や認知を高めてもらうことのほうが、よほど効果的だと考えているからです。

ネットマーケティングを正しくやろうと思ったら、ユーチューバーやインスタグラマーなど表現系で人気を集めている人たちに、過度に引っぱられないようにしなければなりません。
彼らのような才能がないのなら、むしろ参考にしようとしないで、見ないほうがいいのです。


◆ハイブリッド型もあるが、参考にしない

もちろん、何にでも例外はあります。
ちょっと注意しなければならないのは、ときどき“ハイブリッド型”が出てくることです。表現系でバズってアクセスを集めて、ちゃんと売上にもつながるというすごい会社が出てくるのです。

たとえば、護身グッズのネット通販の会社が、YouTubeで面白い動画を配信していました。
護身用のスタンガンを自分の太ももに押し当て、失神して倒れたりするのです。
めちゃくちゃ痛そうだし、見ているほうは「すげぇ」って思います。それで話題になって再生回数がどんどん伸び、サイトのアクセスも増えて商品が売れたという仕組みです。
https://youtu.be/hX3GuoNW0iQ

旧車マニア向けのYouTubeチャンネルでうまくいっている例もあります。
依頼があった旧車の修理を実際にやっているところを動画にしているのですが、「うわー、これひどいな。動いてたわけないわ。完全放置車両やん」とかって文句を言いながらどんどん車が修理されていくのです。
その手際の良さや、コメントの歯切れの良さ、マニア心をくすぐる旧車の動画で人気があり、お店は繁盛しているはずです。
https://youtu.be/Z-HY0IRwjpQ

ポンコツ車

こういったハイブリッド型は、参考にするとヤバい例です。
引っかけ問題みたいなものです。

いっぽうで、「耳そうじ」をしているだけの動画が、延々と流れているだけのYouTubeチャンネルもあります。
これは、「情報」と言うべきか「表現」と言うべきか悩むところですが、ただ動画を見ているだけで、不思議と自分もやってもらいたくなります。案の定、予約を取ろうとしても、まったく取れない人気のようです。
https://www.youtube.com/user/milkteacat0227

さぁ、だいぶ冷静になってきましたね。

「見込み客を集める一般のビジネス」にとってのインターネットマーケティングでは、「情報」と「表現」のバランスが重要なのです。

さて次回から、いよいよマーケティング戦略に入っていきます。
ちょっと難しく感じる部分も出てくるかもしれませんが、ついてきてください。


編集部より こちらの連載は毎週水曜日に配信いたします。次回は2月10日です。よろしくお願いいたします。

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