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イノベーションを生み出す条件とは?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

前回記事で企業の多様性と業績の関係をご紹介しました。

今日はさらに踏み込んで「D&I」と専門性とイノベーションの関係について、中尾隆一郎さんの新刊『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』からひもといてみます。

「D&Iって、いったい、なんじゃらほい?」という方はぜひ読んでみてください。

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多様性がイノベーションを生む
――ポイントは「D&I」+「専門性」

 私がかつて在籍したリクルートワークス研究所のレポートでも興味深いものがありました。それはD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)と専門性がイノベーションに寄与するというものです。
 具体的には、人材マネジメント調査2015(同研究所が当時の東証一部上場企業を対象に隔年で実施している調査で2015年は176社が協力)を活用した2次分析です。この2次分析から、イノベーションの創出につながる2つの道筋が見えてきたのです。
 なお、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは、人々の性別、年齢、国籍などの違いを尊重し、個性を活かす「ダイバーシティ(多様性)」、これらの多様性を組織内で活用するプロセス「インクルージョン(包括・受容)」という考え方を指します。

なぜ、D&Iがイノベーションを生むのか?

「人材マネジメント調査2015」で明らかとなったのは、女性活躍推進、外国人活用、シニア人材活用のそれぞれの指標を目標に設定していることと、イノベーションに因果関係があることが分かったのです。
 イノベーション経営企業の事例を見ていて実感するのは、イノベーション経営の目的は、主にマーケティングと人材採用にあります。
 顧客の多様性を組織に投影した形でダイバーシティ推進を行うことで、多様な顧客のニーズを理解し、共感を演出し、ヒット商品を生み出すことを狙ねらっているわけです。
 その際には、多様な人材がいるダイバーシティに加えて、その人がその人らしくいられるインクルージョンが不可欠です。多様な人材はいるけれど、女性が男性のようにふるまうことを求められるのでは、多様な意見が出てくることはありえません。男性の着ぐるみを着なくてもよい、インクルージョンな状況でこそ、ヒット商品を生み出す可能性が高まるのです。
 また、特に日本で女性活躍推進(ジェンダー・ダイバーシティ)が重視されるのは、女性の活躍が遅れていることに加えて、実は女性が消費の意思決定者になっているからです。これら、イノベーションとダイバーシティ&インクルージョンの関係は直感的にも納得できるでしょう。

プロフェッショナル人材がイノベーションを生み出す

 また、2つ目に分かってきたのが、「プロフェッショナル人材育成」がイノベーションを生み出すという事実です。
 すなわち「社外に誇れる専門家・プロフェッショナルが2、3年前と比べて育っているか」という質問の回答が、イノベーションと因果関係があることが分かったのです。
 つまり、イノベーションを生み出すには、プロの信念、専門的な知識や技術が必要であり、プロ育成を重視する企業は、イノベーションを生み出すことができます。
 従来の日本企業はこれまでジェネラリストの育成を目標に掲げ、プロ育成を本気で行っていなかったところがありました。
 しかし、グローバル競争が激しくなるなかで、それぞれの分野でプロがいなければ競争を勝ち抜くことはできなくなってきているのです。
 つまり、この2次分析から分かるのは、多様な人材(ダイバーシティ)とその人たちがその人たちらしくいられること(インクルージョン)が必要条件だということ。
 加えて、業務を分かっているプロフェッショナルが関与することでイノベーションが起きるということです。

中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』より

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こうした社会の動きに合わせて、東京大学では前期教養課程でダイバーシティ&インクルージョン関連の授業を拡大しているそうです。

個人的にはこの「ダイバーシティ&インクルージョン」という、日本人にはなかなか実態がイメージしにくい用語がちょっと残念な印象がしますが・・・いずれにせよ、働き方をはじめとした「多様性」が今後は重要になってくるというお話でした。

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