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【事例集】たった1つの商品で高利益を上げているビジネス事例

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
唯一無二のプレミアムリッチ商品・サービスを、全身全霊をかけて1点開発し、それを「ヒット商品」にし、収益を上げる――。
 
いわゆる「一点突破戦略」で成功しているビジネスは、すでに多く存在します。
 
コロナ禍に関係なく着実に利益を出し続けている、超話題の人気商品本格ボロネーゼ専門メーカー「ビゴリ」のオーナーにして、事業創出・業務改革コンサルタントの石川潤治さんは、新刊『たった1つの商品で利益を上げる』の中で、すでに世の中で一定の支持を得て成功している興味深いプレミアムリッチ商品をいくつか紹介しています。単に商品の紹介だけではなく「どういうおもしろいポイントがあったのか」という部分にフォーカスしているので、あなたのプレミアムリッチ商品開発のヒントにしてみてください。
 
今回は、その該当箇所を一部編集して公開します。

男性の潜在的な願望を叶え、上場まで果たした「男性用化粧品DUO」

 日本の人口は約1億2600万人。男性と女性がいるので、ざっくり半分の約6000万人は男性ということになります。
 そんな男性特有の悩みやニーズにフォーカスして成功した商品が、プレミアアンチエイジング株式会社さんの「男性用化粧品DUO」です。
 そもそも化粧品のメインターゲットが女性なのは、言うまでもありません。
 育毛トニックや洗顔料、ハンドクリームのようなものまで含めてしまうと、ジェンダーレスになってきますが、それでも「男性が化粧をする」イメージとなると、歌舞伎や大衆演劇などの世界や、ホストやオネエなど夜の世界の限られた人々が対象と思われるでしょう。
 ですが、この考え方は、時代とともに徐々に変化しています。
 私はかつて映画会社にいましたが、昔の日本映画に登場する男たちの人物キャラクターは、化粧とは無縁でした。どちらかと言うと、男たちは汗や泥、時には血にまみれていて、無骨・無頼であることが男らしいと見なされていました。そのことで「男は男らしく、女は女らしく」という住み分けができていたように思います。
 ところが、現代では男性でも化粧をすることが珍しくなくなりました。例えば、芸能人でもMatt さんやGACKT さんのようにゴリゴリに化粧をしてテレビに出演するタレントが増えています。観る側も特に「男が化粧して」などと驚くこともありません。
 そんな変化に伴ってか、女性が男性に求める条件にも、新しい感性が生まれました。
 女性に「どんなタイプの男性が好きですか?」と聞くと、ほぼ100%の確率であるワードが入るようになりました。それが「清潔感」です。
 この清潔感という言葉は、なかなかに曲者だと私は思っています。
 普通に男性の清潔感を捉えると、例えば、毎日お風呂に入っていたり、髪形を整えたり髭を剃っていたり、アイロンをした服を着ていたり……ということが思い浮かぶと思います。
 ですが、男性がイメージするそれらの清潔感と、女性がイメージする清潔感はどうやら別物のようなのです。
 私の友人の例を紹介しますが、あるとき、彼は同じ会社の女性社員から「もっと清潔感があるようにしたほうがモテますよ」と言われたそうです。その友人は先述のとおりの男性なりの〝清潔〞にはしていました。ですから、清潔の意味するものがわからなかったそうです。
 それでも、物は試しと男性客専門の理美容店に行き、眉毛も含めて顔剃りをしてもらいました。すると、週が明けて出勤した際、同じ女性社員から「イイ感じですね」と褒められたそうです。
 友人からすると眉毛を整えたくらいの変化しかなかったのですが、評価が180度変わったのです。
 いつの頃からか、清潔感というワードの中身が変化していたわけです。今や肌がきれいなこと(肌荒れやニキビがないこと)、脱毛していること(毛深くないこと)、髪形や髭や眉毛がきちんと手入れされていること、臭くない、のではなく〝いい匂い〞がすることなどが、男性にも「清潔感」として求められるようになりました。
 さらに、今の若い世代がスマートフォンで最も重要視する機能の1つは「インカメラ機能」です。
 SNSの躍進で1億総カメラマン時代でもありますから、自撮りも含めてインカメラの機能は重要で、ちゃんと〝映える〞ことを男性も女性も重視する時代になっていると言えます。
 そんな時代の変化をつぶさに読み取り、プレミアアンチエイジング社は、「DUO」という男性用化粧品を開発しました。商品はたちまちヒットし、たった1つの商品だけで東証マザーズに上場まで果たしたのです。
 かつては非常識と思えていた男性の美容が常識になる小さな兆しを捉えた同社。男性の密かな美容願望を堂々と商品化したことで、人口の半分が対象となるプレミアムリッチ商品を開発したと言えるでしょう。

独特なネーミングで1本1000円でも売れたトマトジュース「オオカミの桃」

 ネーミングについて、おもしろい商品があります。
 それが「オオカミの桃」というトマトジュースです。この商品に関しては企業がどうというより、純粋に「かゆいところを突いて、ヒット商品になった」と感じています。
 そもそもこの商品は変なのです。何が変かと言うと、トマトジュースなのに「桃」という名前がついているところです。何も知らずに「オオカミの桃」というジュースが売られていたら、普通は桃のジュースだと思って買うでしょう。
 そして、帰って飲んでみたら全然違って、トマトジュースだった――こんな事態になれば、普通ならクレームが来てもおかしくありません。
 にもかかわらず、トマトジュースに「桃」の名前をつけたのはなぜか?
 それはトマトをラテン語の学名で訳すと「食べられるオオカミの桃(リコペルシコン・エスカレンタム・ミル)」となるからです。
 つまり、きちんと学説が背景にある商品なのです。
 こういった部分に、私は一点突破と同じ精神を感じます。
 とはいえ、トマトジュースに桃の名前をつけるのは、いくら学説があるとはいえ、勇気がいる行為です。万人に受けることを本旨としている大手企業にはなかなか真似はできませんし、ネーミングが独特なだけでなく、味にも絶対的な自信がないと、この騙しのようなラベリングはつけられないでしょう。
「オオカミの桃」は、ネーミングの活用の可能性が感じられる事例でしょう。中身に自信があればこそ、ネーミングは思い切り遊びごころを発揮できる。今後、商品開発を考えている人は、この事例に触発されて、チャレンジ精神が沸き起こるのではないでしょうか。

日常食をプレミアム商品に昇華させた「卵かけご飯専用醤油」

 あなたは「卵かけご飯」と聞くと、どんなイメージがありますか?
 メインの食事というよりは、締めのご飯もの、朝の時間がないときにサッと食べられてタンパク質が摂れるおいしい日本食、冷蔵庫の中にあるものでサクッと作れる日常食……人によって捉え方はさまざまかもしれません。
 そんな一般的な食べ物である卵かけご飯(TKG)が、あるときからスポットライトを浴び、もはやブームを通り越し、すでに定番化しつつあります。その立役者として、とあるプレミアム商品が挙げられます。
 その1つが「卵かけご飯専用醤油」です。
 すでに各メーカーが開発し販売を行なっているため、特定のメーカーやブランドを取り上げることはしませんが、ネット検索をするだけで何種類もの「卵かけご飯専用醤油」が出てきます。
 1本がだいたい500円前後で、ほとんどの商品には、醤油以外のたまり醤油や出汁やみりんがブレンドされています。普通の卵と醤油だけでは出せないコクを実現し、卵かけご飯以外にも使える調味料としても重宝されているようです。
 価格もリーズナブルかつ使用範囲が広いため、今ではすっかり定番化しましたが、販売当初は、物珍しさやこだわりなどの話題が先行していました。その後、自宅用はもちろんのこと、人へのプレゼントとしても活用され、瞬く間にヒット商品となりました。
 他にも、卵かけご飯フィーバーを巻き起こしたプレミアム商品は存在します。
 株式会社小林ゴールドエッグの卵かけご飯専用の卵「究極のたまごかけごはん専用たまご」や、タカラトミーアーツの卵かけご飯製造機「究極のTKG」です。後者はYouTuberでも数々取り上げられ、人気を博しました。
 また、卵かけご飯のいわゆる〝味変〞用の周辺商品として、卵かけご飯専用のコンビーフや卵かけご飯専用の米なんてものまで発売されていたりします。
 卵かけご飯という日本人にとって当たり前の国民食に目をつけて、よりプレミアムな味わいへと導く商品陣は、「面積×ニッチ」の参考になる戦略かと思います。

本書では、今回ご紹介した商品以外にも、いくつかの商品事例を紹介しています。興味のある方はチェックしてみてください。

【著者プロフィール】
石川潤治(いしかわ・じゅんじ)

株式会社ジェイ・イシカワ 代表取締役社長。事業創出・業務改革コンサルタント。
1970年大阪府大阪市生まれ。学生時代に30種のアルバイトを経験。当時より、起業の夢を抱く。大学時代から起業したり会社員になったりを繰り返し、1999年、PCCW JAPAN(香港・通信事業者)に入社。ブロードバンド事業の創出をする新規事業開発室長を務める。2001年、株式会社ジェイ・イシカワを創業。自身が持つ特許(2002-320045)リース・管理および、事業創出コンサルの道を歩み始める。2002年、ワーナー・ブラザース・ジャパン(米国・映画メジャー)入社。部門のDX化を軸に業務改革を推し進め、クリエイティブシニアマネージャーを務める。2011年、株式会社ワールド(国内・アパレル)入社。業務改革推進本部・物流統括部長を務める。2016年、長年に渡るコンサルティングで軸としてきた「一点突破による売れない時代の売れる戦略」を具現化すべく、ボロネーゼ専門店ブランド「ビゴリ」を立ち上げ。ボロネーゼという単一メニューだけのフランチャイズで30店舗もの加盟店を有し、各大手メディアでも取り上げられる。現在、「中途半端を捨て一点突破」「ファンダムに不況なし」などをモットーに、40社を超えるさまざまな業界のコンサルティングを行なう傍らで、個人の方々に独立や転職を有利に進める実践的手法の勉強会を定期的に開催。社業理念は「スピード、柔軟性、一点突破力を発揮し、小よく大を制す」。

いかがでしたか?
 
この「一点突破戦略」は、飲食店オーナーはもちろん、中小メーカーや個人事業主、各サービス提供者など、多くのビジネスに活かすことができます。大手には決してできない、中小零細だからこそ可能なビジネス戦略の重要エッセンスを徹底解説したのが、新刊『たった1つの商品で利益を上げる』です。全国書店の「ビジネス」「起業・副業」「店舗経営」などのコーナーで絶賛発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。

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