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【選ぶなら?】仕事できない優しい上司か仕事できる厳しい上司

こんにちは。フォレスト出版・編集部の美馬です。

先日、担当させていただいた書籍の出版記念イベントに参加させていただきました。タイトルは『「存在感」はつくれる』、著者の大塚ちづるさん主催のとても素敵なイベントでした。

書籍で登場するエピソードをいくつか取りあげてトークが進んでいきましたが、皆さんその内容に共感。「うちの会社でもあるある~」「そういう人たしかにいるなあ」なんて声をたくさん聞きました。

普段、裏方の人間としてせっせと本をつくっている者としては、こうして読者の皆さんとお話ができるのはとてもありがたいことです。また一つ、貴重な経験をさせていただきました。

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さて、そんな共感の嵐を呼んだエピソードをひとつ、一部抜粋してご紹介をしたいと思います。解説を挟みながらストーリー仕立てで展開されているのでストンッと腑に落ちると思います^^

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【登場人物】
檜原美姫(ひのはら・みき)
 本ストーリーの主人公。東京の外資系企業に勤める入社3年目の社員。洗練された職場とはミスマッチで、お世辞にもセンスが良いとは言えない。消極的な言動はまわりから見下されている。彼女自身も今の職場に居心地の悪さを感じており、「自分は学歴の高さだけで間違って採用されたポンコツ」と自らを卑下している。

大川千里(おおかわ・ちさと)
 檜原の新たな上司として、米国ニューヨーク本社からやってきた凄腕マネージャー。仕事ができるだけでなく、話し方や立ち振る舞いまでエレガントで、その場にいる誰をも魅了する強烈な存在感を放つ。素質がありながら自信がないために結果を出せない檜原を見るなり「もったいない」と嘆く。そして、本場で学んできたプレゼンスで、檜原を磨き上げていく。

「好かれる人」と「支持される人」の違い

(前略)
 まわりの人間も変化を敏感に察知している。確かにそれは檜原も薄々実感していた。些細なことにもその影響が出ていると感じることがある。
 たとえば、「雑用」を振られなくなったことだ。「檜原ちゃん、よろしく」と頼まれると嫌とは言えない性格であったし、まわりから好かれている証拠だと思い込んでいた。

「今までの私、誰がやっても良いようなことをよく頼まれていたんです。でもそれって『好かれている』からだと思っていて、そんな自分でもいいかなって思っていました」
「ありえないわ。雑用を押しつけられていただけって今ならわかるでしょ? 決してあなたじゃないといけないから選ばれていたわけじゃないのよ。『好かれる』と『支持される』をはき違えてはダメよ」
「『好かれる』と『支持される』の違いですか? 同じように感じますけど」
「いいえ。好かれている人間のまわりにはたくさん人が集まるかもしれないけれど、ただそれだけ。大事な場面でほとんど主張が通ることもないし、責任のある仕事を任されることもない。6週間前までのあなたみたいにね」
 
 今の檜原は違う。雑用ではなく仕事の依頼が来るようになった。雑用に割かれる時間が減ったため、以前より仕事にリソースを傾けられるようになって結果も出るようになった。
 結果が出れば信頼感も上がる。檜原に任せておけば大丈夫と思われるから、ますます仕事の依頼が舞い込むようになった。

(中略)

「確かに、良い人で皆から好かれていても、仕事はできない人っていますよね。ミスが多くて、でも良い人だから憎めないっていう。でもその人が大きな仕事を任されているところ、見たことないです」
「そうね。少しくらい距離を置かれたって、あの人になら信頼して仕事を任せられるって思われるのとどっちが良いかしら?」
 
 どちらが優秀な人材かは語るまでもない。ビジネスにおいては好かれることよりも支持されることのほうが重要だ。会社は学校ではない。仲良しグループは必要ではないが、支持し合える仲間は必要だ。仕事ができると思われれば、結果的にまわりに人が集まってくる。檜原はここ数日ひしひしと実感していた。
 6週間でこうも成長できる。これを数ヶ月、数年続ければ、自分はどこまで成長することができるのだろう。人に選ばれるということは、こんなにもワクワクすることなのだと、檜原は思った。
 大川に「プレゼンス」という魔法をかけてもらったおかげで、今の檜原の目には先を行った同僚たちの背中がようやく見えてきた。彼らはやはりプレゼンスが高かったのだと今ならよくわかる。雑用を任されて「自分は好かれている」と浮かれていたかつての自分を叱ってやりたい。
 好かれる人ではなく支持される人として、人生をリスタートしていくと心に固く誓った。

「好かれる人」と「支持される人」。今まで考えてもいなかったけれど、言われてみれば、たしかに違いますよね。

極端な例ですが、すごく見た目も良くて性格もとても優しくて皆から愛されるような人が会社にいたとします。でもその人はいつも肝心なときにオドオドしてしまって自分本来の能力を発揮できません。言い方が適切かはわかりませんが、いわゆる「良い人なんだけど仕事はできないんだよね~」と言われるタイプです。

一方で、性格は少しキツめでその見た目からも怖がられやすいけれど、仕事の重要な場面で、ピシッと決めることができる人がいます。仕事もマジメにコツコツ取り組むタイプで、オンとオフはしっかりさせるタイプ。仕事中は後輩や部下にビシバシ指示出しをするけれど、休憩中や飲み会の場では気さくに交流してくれます。

後輩や部下の立場からすると「仕事中に怒られたくない!」という一心で、いつでも優しく接してくれるタイプの前者に好感を持つかもしれませんが、自分が仕事でピンチのとき、どちらに助けを求めたいでしょうか? 賛否両論あるかもしれませんが、私だったら怒られてでもいいから後者の上司に相談します。だって、ピンチな状態ですから、鎮火できないほどに燃え上がってしまったら終わりですよね。であれば、頼りない仕事をする上司よりも、パパッと解決に導いてくれる上司を頼りたいと思うはずです。

これがまさに、ビジネスの現場における、「人に選ばれる」ということではないでしょうか。このたとえは私の勝手な想像でしかないですが、どんな会社でもどんな組織でも、両者のタイプの人間がいるはずです。

私自身、少しくらい後輩に怖がられても良いと思っています。なぜなら、仕事の関係である以上、自分は仕事で「選ばれる存在」にならなくてはいけないと思っているからです。プライべ―トのお付き合いで「選ばれる」というのとは違いますからね。

そして、何よりも、後輩から仕事で「選ばれる人」は、上司からも仕事で「選ばれる人」になると思っています。「あの部下、話かけづらいけど仕事は安心して任せられるからな」と思われたら勝ちです。

仕事は、選ばれてこそ、やりがいが生まれるものだと思っています。

さて、後半ついつい持論を語ってしまいましたが、選ばれる人になるための方法は本書に詰まっていますので、気になる方はぜひお読みになってみてください。

控えめで影響力がない目立たない人でも、信頼と実績は生み出せます。

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