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今後、日本の企業が世界の覇権を狙える可能性を秘めたカテゴリーとは?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

日経平均の株価が乱高下して、たいへんなことになっていますが、ここでパニック売りしてしまってはいけないと歴史が証明しています。このことについては『お金は寝かせて増やしなさい』に詳しく描かれています。

さて、今日は長期的な視点に立ったうえで、日本経済がどうなっていくのか、『2024年 世界マネーの大転換』という書籍に収録された今井 さんと渡部清二さんの対談からひもといてみます。

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なぜ日本が半導体の生産拠点となったのか?

今井:実に興味深く、かつ心強いお話でしたね。次は半導体でしょうか。

渡部:日本が強いのは半導体もそうなんですけれど、光と量子なんです。この2つもキーワードで、とりわけ光については日本が断トツに強い。この強みを磨くと何が起きるかが、「『6G』光通信を共同開発」(2023年3月2日・日本経済新聞)という記事に書かれています。

渡部:これはNTTとKDDIが6G、光通信を共同開発するというプロジェクトの内容です。6Gになると何が凄いか。驚くなかれ、消費電力を現在の100分の1に低減できるのです。しかも、2030年にメドが立つとのこと。
 これが実現すると、いま脱炭素だの省エネだの騒いでいるけれど、もう全部解決しちゃう。そうなれば下手をすると、現在1日に1回のスマホの充電が100日に1回で済むことになる。それくらいインパクトのある変化が起きるのです。
 ご存じのとおり、最新の半導体の生産には、結局、日本の先端半導体製造装置や部品なしにはどうしてもできません。お手上げなのです。4月2日(2023年)の日本経済新聞「半導体装置輸出、対中4割」の記事は、日本は中国に対して半導体装置の輸出規制をかけろと米国に脅された結果の対応について述べているのですが、ここでは米国側から何をブロックしろと命じられてきたかがズバリ書かれていました。

日本が覇権を取れるとすれば「光通信」と「量子コンピュータ」

今井:これまでAIと半導体と光の話を伺ってきたのですが、新たな社会インフラとなると思われる量子コンピュータについてはいかがでしょうか。

渡部:量子コンピュータについてのキーパーソンは東京理科大学の若林秀樹教授です。
 もともとは野村総合研究所勤務で、産業エレクトロニクスのアナリストだった人物。日本の半導体再生戦略のエースとして半導体メーカーのラピダスなどの計画書、売上のシミュレーション作成などに携わったとされます。
その若林氏は、「これからの日本は半導体分野で40年前と同様、世界で興隆をきわめることになる。その先駆けとして登場するのが6Gで、この時点で日の丸半導体は世界を凌駕する存在となる」とほのめかしています。
 繰り返しになりますが、世界でどうしてもつくれないのは光と量子コンピュータで、これだけは日本が圧倒的に進んでいるのです。したがって、もしかするとこれで日本は覇権を取れるかもしれない。
 光と量子コンピュータについては結局、微細化とかそういうレベルを超越して、超微細というか量子まで突き抜けていく世界なのですね。そこまでいくと、やっぱり日本の強みが出るのではないかな、と。

今井:非常に希望を抱かされるお話です。

今井 澂(いまい・きよし)
国際エコノミスト。マネードクター。
1935年東京生まれ。浦和高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、山一證券入社。山一證券経済研究所、山一投資顧問を経て、日本債券信用銀行顧問に転職。「証券から銀行へのめずらしい転職」として脚光を浴びると、英国との合併会社である日債銀ガートモア会長、日債銀投資顧問専務、慶應義塾大学商学部講師、白鷗大学経営学部教授などを歴任。証券と銀行の両業務を経験、一貫して「情報」と「市場の資産運用」をつなげる仕事に携わる。
また、世界で初のヘッジファンドについての書籍を執筆、日本で初めてヘッジファンドを買った人物としても知られる。TBS「サンデーモーニング」、テレビ朝日「サンデープロジェクト」、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などの番組で活躍、自身の名を冠した「今井澂の美女とヤジ馬」は好評を博し長寿番組に。現在も、講演を年間50回以上行うなど、活発に活動。公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構理事、NPO法人金融知力普及協会理事を務める。著書は『経済大動乱下!定年後の生活を守る方法』(中経出版)、『日本株「超」強気論』(毎日新聞社)、『米中の新冷戦時代漁夫の利を得る日本株』『2020の危機勝つ株・負ける株』『2021コロナ危機にチャンスをつかむ日本株』『日経平均4万円時代 最強株に投資せよ!』『2022 日本のゆくえ』(フォレスト出版)など多数。

渡部清二(わたなべ・せいじ)
複眼経済塾代表取締役塾長
1967年富山生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。2014年、四季リサーチ株式会社(投資助言業、金商第2803号)設立、代表取締役に就任。国内外の機関投資家への投資情報を提供。2016年に複眼経済塾株式会社を設立。代表取締役・塾長就任。
野村證券本店在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報完全読破」を開始。2023年3集夏号で四季報読破26年目、103冊となった。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。
おもな著書として『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『四季報を100冊読んでわかった投資の極意』(ビジネス社)、さわかみ投信創業者・澤上篤人氏との共著『本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる』(かや書房)、『「会社四季報」最強のウラ読み術』(フォレスト出版)など。

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いまの株価の乱高下はいわゆる「調整局面」であって、今後も日本株は上がっていくのではないかと思います。

そして、次世代のキーワードは「光」と「量子」。

関連企業の株価をチェックしてみてはいかがでしょうか。


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