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「お金の本質」を知りたければ避けて通れない1冊

フォレスト出版編集部の寺崎です。

最近、いろいろ価値観が変容しています。いい大学出て、いい会社に入って、それで幸せなの?という感じです。かといって「好きなことをやっていこう」にも違和感を持ったりします。

いずれにしても、そこに関係してくるのは「お金」。

出版の世界でよくいわれるのは「お金」「健康」「人間関係」は、「夜も眠れないほど悩む題材」としてベストセラ―の定番テーマです。

とくに「お金」は人生設計において、きわめて重要。

でも、そのときに「ただただ稼げばいいのか」というと、疑問に感じる人も多いでしょう。

そんな「お金のモヤモヤ」を抱えている人に、「お金とは何か」について、ズビシッと教えてくれる師匠がいます。

竹田和平さんです。

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こんな書き出しで始まるのが『日本一の大富豪から教わった人生でもっとも大切なこと』という本です。

竹田和平さんはすでに故人ですが、たくさんの人に多大な影響を与えた投資家として知られています。

「投資家」というと、どこかお金の亡者みたいなイメージがあるかもしれませんが、和平さんは「お金の哲学・原理原則」を教えてくれるメンター。

本書でも著者の本田晃一さん(通称・本田こーちゃん)が体験した数々のエピソードが紹介されています。そのどれもが「お金の本質」、いや、「人生の本質」を教えてくれる奥深い教えなのです。

今回はそのうちのいくつかのエピソードをご紹介したいと思います。

お金は無尽蔵に増えよるよ

 お金に対するイメージは、人によってさまざまだ。
「人は、その人がもつお金のイメージ通りに、お金と接する」という話を聞いたことがある人もいるだろう。
 お金は汚いと思えば汚いものになるし、お金は失うものだと思うと失ってしまうし、お金はいやらしいものだと思えば、いやらしいものになる。頑張って稼ぐものと思えば頑張って稼ぐものになる。
 そして、使い方も稼ぎ方も同じ感情を伴う。
 たとえば、ストレスを感じながら稼ぐと、ストレスとともに使ってしまう。
 無理をしまくる営業マンが給料日に派手に飲んだり、残業が大変なOLがブランド物を買いあさったりして、ストレスを発散するというものだ。
 何も飲みに行くことやブランド品を買うことが悪いと言っているのではない。どんな気持ちでお金を使ったのかということなのだ。
 僕もお金に対するイメージが変わっていった頃、稼ぎ方、使い方が変わった。そして、稼げない自分から稼げる自分になっていった。
 喜びとともにお金が入ると、喜びとともにお金が出ていく。
 人から感謝されてお金をいただくと、今度はお金を使うとき、このお店ステキだから、このお店を喜ばせるためにひいきにして使おうとか、寄付をして誰かを喜ばせてみたい、などと変化していく。
 とはいえ、そもそも稼ぎたいと思う根底には、安心したいとか幸せになりたいなどという気持ちがある。同じようにお金に囲まれていても、幸せそうな人と不幸せに見える人がいるが、僕は幸せなほうになりたいのだ。
 幸せになるには、お金に対するイメージ、お金を稼ぐときの感情が大事だ。
 どれだけお金を稼ぐ手法をマスターしたところで、お金に対するイメージが根幹にあるから、そこをしっかりしないと、土台がぐらついてしまう。
 誰がどう見てもものすごく優秀な経営者が失敗したり、反対に(失礼ながら)あまり優秀に見えない経営者がうまくいったりしている例をたくさん見てきた。そして僕は、成功や幸せに生きる秘訣は、どうもお金に対するイメージが大きいのではないかと思うようになっていたのだ。
 では、日本一の投資家と呼ばれ、いつも笑顔で過ごす和平さんにとって、お金とはどういうイメージなのか。
 和平さんの周辺にいると、和平さんの投資手法はとりたてて複雑に見えない。 眉間にしわを寄せて相場を見ている姿なんて一度も見たことがない。
 毎日笑顔で過ごしている。
 やっぱり、お金に対するイメージや根底の部分に何か秘密があるんじゃないか?
 通えば通うほど、手法より在り方に意識がいくようになった。
 和平さんに直接聞いてみた。

「和平さんにとって、お金とはどんなイメージですか?」
「お金は無尽蔵に増えよるよ」

 あははー。そーっすよねー。
 僕も同じこと思ってましたぜーという顔をしながら心の中で思った。
 減るってば……。
 ちょっと気になったので、流さず突っ込んで聞いてみた。

「どうして無尽蔵に増えるんですか?」

「お金っていうのはね、喜ばせたら増えるんだわ。
 目の前のお客さんを喜ばせたいと思って喜ばせたら、今度は目の前のお客さんが払いたいって、喜んでよーけ払ってくれるがね。
 そのお金をもらうときはどう思う? こっちも嬉しくって、もっと喜ばせたいと思うがね。そしたらもっと払ってくれるね。そしたら、あっちでも、こっちでも、そっちでもドンドン嬉しくなって喜ばせることを止められなくなるねぇ。だから、お金は無尽蔵に増えよるがね」


 この話を、和平さんは五歳くらいの男の子が幼稚園であった楽しい出来事を家で笑顔で話すような感じで語るのだ。
 五歳の子が話すのなら、現実を知らないファンタジーの世界の住人だから仕方ないと思うのだが、現実の世界チャンピオン、日本一の個人投資家が笑顔で語っているのだ。

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お天道様の下を愉快に笑いながら堂々と歩きたかっただけがね

 戦後間もない頃、和平さんは産みたてのフレッシュな卵を、たまごボーロの原材料に使っていた。ふつうは無精卵を使うのに。
 卵を温めて孵化させようとすると、ヒヨコにならない卵がある。これが無精卵だ。一定期間温めたあとなので、生で食べたり卵料理にしたりすれば、産みたての卵との味の違いに気づいてしまうが、焼き菓子に混ぜるぶんには違いはわからない。
 無精卵は仕入れが半値くらいですむので、多くの製菓会社ではこれを使っていたそうだ。しかし和平さんは使わなかった。あくまでも、産みたてのフレッシュな卵にこだわった。
 消費者のために、なんでそこまでできるのだ?
 味のわからないものまで、なんで与えられちゃうんだ?
 今のように豊かな時代だったらできるかもしれない。
 しかし、戦後の貧しいさなか、一銭でも多くのお金がほしいのに、なんでそんなことができたんだ?
 ちょっとキレイごとすぎるなぁと思って質問した。

「和平さん、今の豊かな時代だったらわかるんですけど、戦後の貧しいときですよね? 一銭でも多くのお金が必要なはずなのに、どうしてそんなことができたんですか? ちょっとキレイごとすぎる感じがしちゃうんです」

「わしはなぁ、天が見とると教わったよね。別に天を信じなくてもええんだわ。自分は見とるよね。自分で自分を欺(あざむ)くことはできんよね。嫌なものを混ぜて売ったらどう? 自分が気持ち悪いがね。わしはなぁ〜、お天道様の下を愉快に笑いながら堂々と歩きたかっただけがね。わはははは〜」

 シビれた。いつでもブレることなく自分の信念を貫き通す男。王道とはこのことだ。
 こんな生き方をしたい。心底そう思ったが、それでもやはり不安はぬぐえない。自分が同じ立場だとして、和平さんと同じようにできるのだろうか?
 できる! と言いたいが、う〜、そう言うと自分を欺くなぁ。
 だって当時、お父さんの代から続く竹田製菓は、高利貸しからめちゃめちゃ金利の高いお金を借りて回していたのだ。
 金利を聞くと、グレー金利どころじゃない。完全なブラック金利だ。
 できねーよなぁと思ってしまったのが本音だ。
 これってとてもじゃないけど、自分のコップが満たされていない状態だよね?
 それなのになんで与える生き方ができるんだ?
 和平さんが与えることができる理由の謎は増すばかりだ。
 だって、聞けば聞くほど自分には無理だぁぁぁって思うよね。
 しかし和平さんと一緒にいると、だんだんその謎が解明されていくのだ。

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100人の偉人を彫刻した純金メダル

 和平さんのぶっ飛んだ話を二つ紹介しよう。
 あ〜、これを話すと余計「自分には無理だぁぁぁ」って思うかもしれない。
 僕も思った。でも、無理だぁぁぁと思ってても読み進めてほしい。
 その先に重要なヒントが隠されてるから。

 和平さんは、日本を創った歴史上の人物を一〇〇人選び、和平さんお気に入りの彫刻家に、その一〇〇人の顔のレリーフを彫ってもらった。直径三〇センチくらいの円盤に、日本を創った歴史上の一〇〇人の偉人たちの顔を一枚ずつ彫らせたのだ。
 彫刻家は、山にこもって集中してやらなければ彫れないと言って、八年こもって完成させたそうだ。
 そうしてでき上がった作品を、今度は和平さんは同じサイズで純金にしたのだ。
 博物館をつくって、それをどわわわわ〜っと並べた。
 今は防犯上の理由で、純金のものは飾っていないが、代わりに石膏(せっこう)の原作品が飾ってある。それでも、ものすごい迫力だ。
 で、これを読んでいる方の誰もがもつであろう疑問を、僕ももった。

な ん で 、 こ ん な こ と し ち ゃ う の ? ? ?

「和平さん、大変素晴らしいと思うのですが、なんでこのようなことを思いついたのですか?」
「ほれ、晃ちゃんだって、子孫が晃ちゃんの顔を彫刻して純金にしてくれたら嬉しいと思わんかね?」
「へ? は? そ、そうですね」
(想像すらしたことがなかったので、理解するまで少し時間がかかった)
「嬉しいと思うことをやったらええがね。わははは〜」

「わはははは〜」って……ここで一緒に笑っても、それ僕がほしい答えじゃない!
 和平さんと一緒に笑ってしまうと、どうも納得してしまう。危ないところだった。もっと突っ込んだ答えがほしかったので、すかさず聞いてみた。

「和平さん、嬉しい気持ちになるのですが、その、なんでまた歴史上の人物100名を選んで彫刻されたんですか?」
 すると満面の笑みから、穏やかな笑顔に切り替わり、
「この方々のおかげで、今の自分は豊かに生きられるよねぇ。日本のために命を賭けて生きた人たちよ! 日本をよくしたい。子孫に幸せになってほしい。そうして生き抜いた人たちだがね。この方々がおらんかったら、みんなこうして豊かに生きておらんかったよねぇ。こんなにありがたいことはないがね。だからわしは、感謝をお伝え申し上げているんだがねぇ」

 それを聞いて衝撃を受けた。
 歴史上の人物に感謝なんてしたことがなかったからだ。
 というより、歴史の授業のときに、年号とか名前覚えるの、ちょーめんどくせーくらいにしか思わなかった。
 試験前には教科書を読みながら、歴史上の人物に対して言った。お前ら喧嘩すんなよー。戦争だの政権が変わるたびに覚えることが増えちまうじゃねーか。
 恥ずかしながら、僕はその程度にしか思ってなかった。
 でも、和平さんのおっしゃる通り、よくよく考えたら、今の豊かさがあるのは、歴史上の人物のおかげなんだよね。

700円のうどんで3万円のサービスを受ける方法

 ぶっ飛びすぎたエピソードのあとに、手が届きそうなもう一つのエピソード。
 和平さんとランチを食べに行ったときのことだ。
 うどん屋で700円の定食をご馳走になったのだが、注文するときに、和平さんはオニギリを頼んだ。
「えっとねぇ〜、わしはこのオニギリをお願いします」
「あ、それ売り切れです。白いご飯ならありますが」
「そりゃ、おめでとう!」
 え?? なんで「おめでとう」なの?? というか、白いご飯あるなら、おにぎり握れよ!
 僕は店員の対応に軽くイラッとしたのだが、和平さんは、
「売り切れってことは満員御礼でめでたいことがねぇ。
 めでたいから、おめでとうよねぇ」

「・・・・・・・」
 同じ現象を前にして、イラッとした僕と、相手の幸せに寄り添って一緒に喜ぶ和平さん。どっちが幸せだ? どっちが豊かなんだ? 考えるまでもないよなぁ。
 僕が頭をぐるぐるさせながら食事を終えると、やってきた店員に、「おいしかったよ、ありがとうね!!」
 席を離れて厨房に向かって、
「いや〜おいしかったよ! ありがとうね! ありがとう!!」
 満面に笑みを浮かべて、ありがとうを言うのだ。
 すると、店員から厨房の人から全員が店の前まで出て和平さんを見送る。700円のランチを食べて、3万円の店のサービスを受けるようなものだ。

「和平さん、ご馳走様です。ありがとうをたくさん言う和平さんは700円のお店で食べても3万円のお店のようなおもてなしを受けてしまうんですね。一緒に3万円ご馳走になった気分でした。ありがとうございます」

「わはは。そうかね。ありがとうと言うのはタダなのに、みんなを幸せにしてしまうでよ。すごい言葉よねぇ」

 で、なんでこの二つのエピソードを紹介したくなったのか。
 ここに和平さんの豊かさの秘訣が隠されていると思ったからだ。
 ここに、自分のコップの水を満たす極意がある。
 和平さんは豊かさに気づいているのに、僕はまったく気づいていなかった。そこらじゅうに豊かなものが溢れているのに、僕はそれに全然気づかずに素通りしていた。
 歴史上の人物がしてくれたことを、なんてありがたいんだと、めちゃくちゃ味わい尽くす。ありがたいから、もう純金にまでしたくなっちゃう。
 僕にもそういう感覚が少しだけわかってきた。
 うどん屋さんだってそう。満員御礼でめでたい。ああ、めでたいなぁ〜と味わいつくしてみる。その気持ちで食べたら、めちゃくちゃオイシイ! だから、つい厨房にまで出向いてお礼を言っちゃう!(この感覚はすごくよくわかった。それで、イタリアに行ったときに、言葉がわからないまま厨房で「うまい」「ありがとう!」を連呼したら、みんなむちゃくちゃ喜んでくれ、料理をいくつか無料でふるまってくれた)
 和平さんは、とにかく豊かさをキャッチし、味わってしまう。
「豊かさを味わう達人」になると、人の幸せが自分の幸せとしてキャッチできてしまうのだ。
 和平さんは、どんな状況でも、自分のコップを満たす達人なんだ。
 ありとあらゆる場で、コップを満たしてしまう達人なんだ。そして、周りの人のコップまでも、その言動で満たしてしまうのだ。
 そっか! 自分を満たす達人になれば、与えられる人になれるかも⁉
 そうだ! だから与えられるんだ‼ とわかった瞬間だった。

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「みんなわしのことを好きになってしまうがね」

 和平さんのマンションで、糖質50%オフのビールを片手に和平さんがこう話しかけてきた。

「明日なぁ、困ったことが起きてなぁ」
「え? どうされたんですか?」
「講演会でゲストとして少し話してほしいと言われたがね」
「え? いい話じゃないですか。みんな和平さんのお話喜んで聞かれると思いますよ」
「だから困っとるがね。わしが出たら、みんなわしを好きになってしまって、主催者に申し訳ないがね」

・・・・・・・・ ド ー ン ・・・・・・・

 これ以上のセルフイメージがあるだろうか?
 僕は前に本を出させてもらったが、そのタイトルは『自分を好きになれば、人生はうまくいく』だ。自分嫌いの人が、どうやったら自分を好きになれるのか。自分好きになると、人生はうまくいくようになるという内容で一冊の本にしたのだ。
 自分に好かれている自分。それこそが究極のセルフイメージだと思っていた。和平さんのこの発言を聞くまでは。
 みんなが自分を好きになってしまう⁉

・・・・ 和 平 さ ん っ た ら ・・・・

 セルフイメージというのは、自分が抱く自分の人物像のことだ。
 前章でお金に対してもっているイメージが、そのままお金の受け取り方・使い方・触れ方になると言ったけど、自分に対してもっているイメージがセルフイメージで、自分はセルフイメージどおりの人間になる。
 今の自分は、自分がつくり上げたセルフイメージのとおりの人間になっている。成功している人は成功したセルフイメージをもっていて、モテる人はモテるセルフイメージをもっている。
 幸せな人も不幸せな人も、それぞれのセルフイメージどおりの人になっている。
 だから、セルフイメージを書き換えていくと、違うキャラの人間になれてしまう。たとえば、中学まではイケてないキャラの友人が、高校に行った瞬間にイメージチェンジに成功し、イケてるキャラになるというのを見聞きした人は多いだろう。
 セルフイメージを書き換える方法の一つに、理想の人のキャラクターを演じたり、その人の考え方を真似てみるというのがある。言ってみれば、役者がその役にハマろうとするのと一緒だ。だから、「これは!」と思う生き方の人を見たら、早速その人のイメージを演じてみたり、なぜその人がその生き方に至ったのかを知るといい。

 和平さんは、人の幸せを自分の幸せとして喜べている。
 これだけ豊かさを受けとって味わい、これだけありがとうが言えて、相手に豊かさを差し出すことができたら……。
 そりゃ出会う人みんなが好きになるってセルフイメージをもつよなぁと、衝撃を受けた一言だった。
 僕のセルフイメージコレクションに、「出会う人がみんな自分を好きになる」というのが追加された。

 でも、相手が不良少年たちだったらどう?
 好かれないよねぇ。
 しかし、和平さんにはこんなエピソードもあるんだ。

不良少年を一瞬にして手なずける方法

 和平さんが経営していた大きなボーリング場での出来事だ。
 あるとき、ボーリング場の前に暴走族が20人くらいたむろしていた。そこを通りがかった和平さんは彼らに声をかけた。

「おい、お前ら! 金持ちになりたくないか? わしは、このボーリング場のオーナーがね。わしの話を1時間聞け。そしたら1人1000円あげよう。時給1000円だ。悪くなかろう」


 そう言って、その暴走族たちを事務所の一室に呼び込んだ。
「おい、お前、名前は何て言うんだ? おお、『光』か! そりゃすごい。だから誰よりも早く走れるんだな‼」
 こんな感じで次々と名前を聞き、その名前の意味を説いていったそうだ。
「和平さん、なんでそんなことしたんですか?」
「1時間しかなくて、20人もおったら、名前の意味を説くことくらいしかできんねぇ。でなぁ、名前というのはなぁ、見事に親の愛のもとにつけられたものなんだよ。彼らは親の愛を忘れたから、ああしてグレてるだけだがね。自分の名前の意味を知ったら親の愛を感じられるよね。そしたら、たちまち変わるでよー。わはははは」
「和平さん、相変わらずすげーいい話なんですけど、怖くなかったんですか? 相手は暴走族の集団でしょう」
「あいつらは英雄よ! 生まれた時代を間違えただけがね。だって赤信号突っ込んでいくんだよ。戦国時代に生まれてたら英雄だがね。英雄には英雄のように接してやらんとなぁ。わはははは」

 …… 斬新すぎる発想だ。あ、戦国時代だから新しいんじゃなくて古いのか?? いろんな意味でわけわからんが、とにもかくにも愛にぶっ飛んだ話だ。
 その後、この暴走族の集団は和平さんに会うと、笑顔でWサインを送るようになったそうだ(Wサインというのは、WAKUWAKUの頭文字。指を三本立てる。Vサインはビクトリーだが、勝利よりワクワクを大切にしている和平さんがよくやるポーズだ)。
 誰にでも愛を注ぎ、誰もが愛をもっていることに気づき始めると、この「出会う人すべてが自分を好きになる」というセルフイメージができてくるようだ。
 和平さんは、どんな場所でも、普通の人が気づかない愛に気づいてキャッチしてしまう。そしてその愛をとことん味わって幸せになっている。
 そう、結局、人の幸せって、どこまで愛に気づいてどこまで味わえるかなんだ。
 お金に対しても、愛として受け取って味わったら、そのお金が逃げ出すこともないだろう。
 愛を受け取れる大きさが、その人の人生の大きさに比例するんだなぁ。
 受け取る器が小さいと、そこからこぼれ落ちてしまうのだ。器が大きいと、こぼれないどころか、大きなアンテナのように愛をバリバリ受信しキャッチしてしまうのだ。
 じゃぁ、どうしたら愛を受け取る器を大きくできるのか?
 これも和平さんの答えはものすごくシンプルだ。

「ありがとうを一〇〇万遍言うとええがね」

 初めて聞いたとき、正直、まじっすか? シンプルだけど、超大変じゃないっすか⁉ と思った。

「晃ちゃんねぇ、ココロっていう奴は、その名の通りコロコロ転がりよるよね。いい場所にも悪い場所にも行って定まらないんだわ。だからね、ありがとうをいっぱい言うの。するといい場所に心が定まるんだわ。 それにね、ありがとうを言われたほうも嬉しくて、その人の心もいい場所に定まるし、言ったほうも嬉しくて、こちらも心がいい場所に定まるねぇ。ありがとう(有難う)は、有ることが難いと書くよねぇ。だから奇跡がね」

 僕は、名古屋へ行き来する新幹線の中で、小声でありがとうを何度も言ってみた。その光景はちょっと異様かもしれないけど、とにかく暇さえあればありがとうを言う習慣をつくってみた。
 すると、些細なことにも感謝できるし、有ることが難い、たくさんのものに気づき始める。ココロがいい位置にいると、毎日の生き方がすごく変わるのだ。

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いかがだったでしょうか。『日本一の大投資家から教わった人生でもっとも大切なこと』(本田晃一・著)には、今回ご紹介したエピソードのほかにも、和平さんのぶっとんだエピソードと教えが満載です。いかに時代背景が変わろうとも不変。そんな人生の哲学が楽しく学べる1冊となっております。

(編集部・寺崎翼)

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