自分のペースに乗せて相手を丸め込む!実践心理テクニック5選
フォレスト出版編集部の寺崎です。
今日も13万部突破ベストセラー『思い通りに人をあやつる心理テクニック101』(神岡真司・著)から厳選した心理テクニックをご紹介するシリーズ、いってみたいと思います。
本日のテーマは「自分のペースに乗せて相手を丸め込む」です。
説得の技法「ピークテクニック」を駆使する
「ピーク(pique)テクニック」と呼ばれる心理学の手法があります。
ピークとは、「好奇心をそそる・刺激する」といった意味ですが、相手がこちらに無関心な時に使うと有効なテクニックです。
「こんにちは。本日は新製品のご紹介に伺いました」などと挨拶すると、「今忙しいからいいよ。うちは間に合ってるから」などと言われてケンもホロロに追い返されます。
「こんにちは。今日はびっくり仰天のシロモノを特別に持参しましたよ」などと言えば、相手の反応も違ってくるでしょう。
ちょっと言い方を変えるだけで、印象というものは変わります。
「え? 何だろう?」「おや?」「何それ?」……と相手に好奇心を抱かせることで、門前払いされることも少なくなるわけです。
広告のキャッチコピーには、この「ピークテクニック」が至るところに使われています。
「私が東大に合格した理由」と言わずに、
「なんで私が東大に?(某予備校)」。
「転職相談はこちら」と言わずに、
「あなたは今の年収に満足ですか?(某転職会社)」。
「高齢者の医療保険」と言わずに、
「60歳でも月々3千円の医療保険!(某生保会社)」。
すでに、「あれれ?」と思わせて、注目を集める手法として、「認知的不協和」の状態を作ること――を紹介しましたが(本書78ページ参照)、あれと非常によく似たテクニックなのです。
「勉強なんかすればするほど馬鹿になるぞ!」と教師が言えば、生徒の頭にはハテナマークが並びます。「勉強をするんじゃない! 考える力をつけるんだ」で腑に落ちます。
「ピークテクニック」は、これと同様に、意表を衝つ く事が大切なのです。
午後1時から始めるミーティングへの遅刻者が多い職場なら、議長はあらかじめ「午後12時55分ちょうどから始めます」と伝えておきましょう。
出席予定者は「え? 何で55分?」と注意喚起されて、遅刻者は激減するはずです。
ターゲットを定めて「極小のお願い」をする
街頭で「共同募金にご協力くださーい!」とか、「○○反対のご署名をお願いしまーす」などと呼びかけられても、多くの人は足早に通り過ぎます。
協力してあげようかな――と思っても、何だかなあ……という気にもさせるからです。
正面からの正攻法のお願いだと、いろいろな意味で抵抗値が上がります。
何だか照れくさい……、3日前にも協力したのに今日もだとちょっと……などです。
面倒くさい――といった心理だけでなく、通行人全員に向けてアピールされていますから、誰かが協力するだろう――という心理もはたらきます。
みんなで綱引きする時、自分ひとりぐらい力を抜いても大丈夫——という心理です。
議員の数が多いと、「どうせ選挙民にはわからない」となる心理と一緒です。
このような「社会的手抜き現象」のことを、心理学では「リンゲルマン効果」と呼んでいます。自分以外の誰かがやるだろう──という無責任になる心理です。
多くの人が目撃している状況で、公然と暴力的犯罪が行われても、誰も止めに入らなかった、警察に通報しなかった――といった事件が、実際世界のあちこちで起きています(「傍観者効果」)。
もし、自分が被害者だったら――と考えただけでも、怖い話でしょう。
そんな時は「そこの青いセーターのあなたと、隣の傘を持ってるあなた。強そうな若者二人なんだから止めに入ってください」などと指名してあげることです。
ターゲットを絞られると有無を言えなくなるからです。
街角で共同募金したり、署名活動する時にもこう言うとよいでしょう。
「眼鏡のやさしそうなおじちゃん。お願いします」
「帽子が素敵な奥さん、お願いします」
そして、さらに効果的なひと言を付け加えましょう。
「10円でもいいですから!」
「10秒ぐらいで、お名前を書いていただくだけですから」
このように「極小のお願い」を付加されると「それぐらいなら」と協力してくれます。
街頭でナンパするなら、「ほんの2分33秒だけ、ぼくとお茶してよ」などと頼みます。「アレ?」と思わせるピークテクニックと、「極小のお願い」で効率も上がるはずです。
アンケート調査をうまく操作する方法
次は、ある会社で総務課長を務めているあなたと、ワンマン社長との会話です。
社長
「 きみ、社員旅行でもやったら盛り上がるんじゃないかと思うんだが、どうかね?」
あなた
「社長、私は賛成です。しかし、社員はたぶん7〜8割が反対するかと……」
社長
「ふむ。じゃ、きみが社員の総意をまとめて、実施する方向にもっていってくれ」
あなた
「えっ?(汗)……わ、わたしがですか?」
社長
「そうだよ。きみのほかに誰がいる。きみが、みんなをその気にさせるんだ」
困った事態なのですが大丈夫です。こんな時には、アンケート調査が役に立ちます。
まず、社員旅行についてストレートに「賛成か反対か」などと尋ねてはいけません。反対だらけになるからです。
社員の「意識調査」の一項目に紛れ込ませます。
たとえば、「社員食堂のメニューについて」だとか「フレックスタイム制の実施について」だとかの質問に並べて、「社員旅行について」の設問を入れるのです。その時、注意したいのは、好条件を並べてやることです。
すると以下のような結果が出ることでしょう。
①社員旅行に参加したい………………………………………17%
②行き先が海外だったら社員旅行に参加したい…………… 15 %
③土日祝日をつぶさず平日の社員旅行なら参加したい……22%
④特別有給休暇支給の社員旅行なら参加したい……………11%
⑤社員旅行に参加したくない…………………………………35%
よい条件を付随させると、社員旅行に行きたい人が一気に65%まで増えるのです。
これが好条件を「細分化」して並べるテクニックです。発表する時には、この結果を「統合化」します。そして、「希望者が65%だったので実施します」とやればよいのです。
「ナンバーワン効果」で相手を丸め込む
ケーキ屋さんのショーケースの中に、「人気ナンバーワンのスイーツはコレ!」などと書かれたPOPを目にすると、思わずその商品に目が釘くぎ付づ けになります。
「昨年度・売上ナンバーワン」
「累計販売数ナンバーワン」
「お客様支持率ナンバーワン」
このように、「ナンバーワン」という言葉は、至るところで使われています。「ナンバーワン」という響きには、注目度を上げ、記憶に残る効果が、たしかにあるからなのです。
よくよく見ると、小さな添え書きで「○○地区○×月度」などと、地域や規模をかなり限定したケースであったりもします。
しかし、それでもやはり、「ナンバーワン」の輝きは、燦然と光を放っているのです。
「ナンバーワンを目指します!」という、単なる目標宣言の言葉であってさえ、「おっ! スゴイじゃん!」という効果があるのです。
この「ナンバーワン効果」は、企業や商品のアピールに使うばかりでなく、職場の人間関係を円滑にするうえにおいても生かせます。
「小野寺さんは、気配り人間ナンバーワンだね!」
「宮本くんは、パソコン入力ナンバーワンだ!」
「行動力ナンバーワンの奥山くん! ひとつ頼むよ!」
なぜか、「ナンバーワン」と言われると、誇らしくなり、張りきってしまうのです。
ダントツという評価が、自分はチャンピオンという気位を保たせ、高揚させるからでしょう。
なお、「残念ながら第2位に終わってしまいました!」というアピールも裏ワザとして使えます。「ナンバーワン」になろうと努力したけれども、届かなかった無念が伝わってくるからです。
「なぜだろう」と、負けた理由を知りたくさせて、判官びいきの応援も期待できます。
「ラベリング効果」でさらに丸め込む方法
前項の「ナンバーワン効果」は、結果に焦点を当てることで、注目度を上げたり、相手の気分を高揚させる効果がありました。
この項では、今はそうでもないけれど、きっとそうなる、そうに違いない――という確信を伝えることで、相手をその方向に誘導するテクニックについてお伝えしていきます。
すでに「ピグマリオン効果(本書52ページ参照)」のところで説明しましたが、人は期待をかけられると、期待を裏切らないように行動する傾向があります。
ちなみに、その反対で、期待しない態度を見せて、いつも「馬鹿だな、お前は」などと駄目出しばかりしていると、その通りのダメ人間になるのを「ゴーレム効果」と言います。
こちらの思い通りの人間にしていくためには、期待をかけるほうがよいのです。
相手をこちらの思惑通りに誘導するのに手っ取り早いのは、相手にそれにふさわしいレッテルを貼ってしまうことでしょう。「ラベリング効果」という方法です。
たとえば、料理の下手な奥さんには、こう言い続けると、だんだん上手になります。
「きみの作る料理は、いつもおいしいね。毎日楽しみだよ」
仕事のできない、冴えない部下には、少しよくできた時にすかさずこう言いましょう。
「お、きみは仕事が早いな。内容もいいねえ。この調子でガンガン頼むぞ」
グータラな亭主を調教していく場合なら、少しずつレッテルの水準を上げましょう。
「あら、食べ終わった食器、流し台に運んでくれたのね」
「うれしいわあ、その気配りが」
「あら、流し台に食器を運んで、水に浸けてくれたのね」
「助かるわあ、行き届いてて」
「あら、いくつかの食器を洗ってくれたのね」
「すごーい。大感激だわ。いい旦那だなあ」
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