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#7 ユーザーにマッチする媒体を選んで、プロセスを設計

こんにちは。佐藤昌弘です。

前回までで、ターゲティングについてひと通りお話ししました。

次にやるのは、「ベルトコンベアーを組み立てる」こと。
ターゲットがベルトコンベアーに乗ってスムーズに商品を購入できるように、プロセスを設計しましょう。
まずは、全体の流れを頭に入れておく必要があります。

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◆プロセス設計って何? 考え方の解説

マーケティングを実践していくときの、プロセス設計とは何か?
わかりやすく「ダイソンの『アニマルプロ』という掃除機を売る」という例で考えてみましょう。

ダイソン

仮に、ここはビックカメラ佐藤店だとします。
ダイソンから仕入れている『アニマルプロ』を売りたい!という場合、どう組み立てていくか。
ターゲティングはもうできている前提で進めます。ターゲットは以下のような感じです。

・「ペットを飼っている共働きの夫婦 40代くらいまで
・毛が落ちるので掃除が大変
・手軽で、威力のある掃除機でラクに掃除したい
・掃除機が壊れたので買い換えたい・・・

プロセス設計の考え方として、このあとにやるべきは、次のようなことです。

1.勝てる根拠(強み)を洗い出す
ダイソンの『アニマルプロ』を、ビックカメラ佐藤店で買うのはなぜでしょうか?
他の店ではなく、ビックカメラ佐藤店で買いたい!と思う理由が必要です。

商品自体は同じでも、店に強みが何かしらあるはずです。それを洗い出していきます。
店の強みと言われても、よくわからない時は、考える「切り口」があります。
1つ目は「実績」という切り口。

ペット向けの掃除機を何台売ってきた、というのは実績であり、信頼できる材料になります。

それ以上に重要な切り口が、「特典」「工夫」です。

「当社で買ってくれたら、代替品予備バッテリーを無償でお付けします」
「当社で買ってくれたら、毛を取りやすくするブラシをプレゼント」
というのが「特典」。

1特典

「当社で買ったものは、3年後に送ってくれれば実費5000円のみでクリーニングして返送します」といったものが「工夫」という切り口です。
あるいは、「『アニマルプロ』を使った掃除の仕方動画をYouTubeで公開している」というのも「工夫」にあたります。

「どうしても強みが見つからない」という場合は、新たにターゲットが喜びそうな特典や工夫を考えて強みにしていくことが必要ですが、すでに売っているのなら何かあるはずなんですね。それを明確にしておくという作業になります。

2.適切な媒体(ツール)を探す
次に、マーケティングを仕掛けていく「媒体」を選びます。
以前お話しした通り、ネットマーケティングの場合、選択肢はさほど多くありません。
以下に挙げた媒体・ツールの中から、ターゲットに合うものを選べばいいでしょう。
ターゲットが使っていそうな媒体、見ていそうな媒体、というのを選ぶという意味です。

・SEO
・グーグルマップ
・ポータルサイト(スーモ、カーセンサーなど業種別にある)
・ブログ(オリジナルドメイン/アメブロなどブログサービス)
・メルマガ(自社配信/まぐまぐなど配信スタンド)
・ツイッター
・Facebook
・インスタグラム
・LINE
・note
・プレスリリース(PRタイムス、アットプレスなど)
・YouTube
・GoogleやYahoo!のディスプレイ広告

ビックカメラ佐藤店の場合は、こんなふうに選んでみました。

① ペット向き動画を流しているYouTube番組に動画広告
②「犬 毛 掃除機 おすすめ」キーワードなどに広告出す(PPC)
③ 犬が好きという人向けのFB広告
④ 上記の同じターゲットへのインスタグラム広告
⑤ ダイソンアニマルというキーワードでSEO記事
⑥ ペットのポータルサイトを探して広告出す

これを全部やるというわけではなく、予算に合わせて優先順位を決め、順番に試していきます。
インターネット広告のプロが関われば、過去の事例を豊富に持っているので「これとこれだけ試せばいい」というのがピンとくるはずです。そうしたプロであれば、「まずインスタ広告で、次にFacebook広告。ダイソンアニマルのキーワード検索が多いようなら、SEO記事を書くのもアリ」というアドバイスができます。もちろんSEO記事を上位3位までにどのように入れるかのアドバイスも当然もらいましょう。

また、SNS広告も有効だと思われる理由は、ターゲットの40代までの共働きの夫婦なら、奥さんがYouTubeやツイッターを見るよりも、インスタグラムを見ている可能性が高いと感じられるからです。

夫婦と犬

自社でやるなら、そこまで明確なイメージはつきにくいかと思います。
その場合は、ビックカメラ佐藤店がピックアップしたように、いくつかのアイデアを出してそれを試していくことです。いきなりドーンとお金をかけるのでなく、少額ずつ試していくといいでしょう。

3.ホームページを整える
広告をクリックしたあとに飛ぶ、リンク先の「WEBサイト」を整えます。
ネットマーケティングで、Googleのディスプレイ広告を出すにしろ、ツイッターで発信していくにしろ、そこで出会った「見込み客を連れてくるページ」を用意しておかなければなりません。
検索結果の上位表示を狙うのも、もちろんWEB上のページが必要になります。

そのWEBサイトには、2種類あります。「ホームページ(HP)」「ランディングページ(LP)」です。

違いはわかりますか?
簡単に言うと、ホームページとは複数のページで構成されているもので、ランディングページは1ページのみのWEBサイトです。
ホームページには情報がまとまっており、ユーザーは知りたい情報のあるページを選んで見ることになります。一方、ランディングページは商品購入や資料請求、問い合わせなどの行動を取ってもらうことを目的としています。ページの上から順番に読んで行って、最後にボタンをポチッとするやつですね。

どちらも効果の出やすいフォーマットがありますので、今後解説する予定です。
いずれにしても大事なのは「誰向けに作るのか」という部分。これがハッキリしていないと、ボンヤリしたページにしかなりません。
むしろ、フォーマットだけマネしても失敗します。

美容化粧品向けのランディングページと、法人向けソフトウェア向けのランディングページでは、レイアウトも、見せ方も、クリックのさせ方も、コピーも、イラストの使い方も、フォントも、なにもかも異なります。
それなのに、安易なモノマネは失敗を招くだけなので注意しましょう。

1ランディングページ

何度もお伝えしている通り、最も重要なのは「ターゲティング」なのです。

4.各媒体からホームページにつなぐ
お客さんには、先ほど選んだ媒体からホームページ(またはランディングページ)に来てもらい、申し込みや問い合わせなどのアクションを取ってもらいます。
そこがスムーズにつながるように考えましょう。

ビックカメラ佐藤店がインスタグラムに広告を出す場合、たとえば「ペット専用のダイソン知ってる? クリーニングつき」といった言葉を入れた広告を作ります。
そして、クリックするとホームページに飛びます。そのホームページには「3年後、クリーニングして返送します」といった「強み」の部分もしっかり入れつつ、商品の良さを伝え、購入できるようにしておきます。
「これ、気になるな」と思ったターゲットが、ベルトコンベアーに乗って「購入」までたどりつけるように設計するのです。

5.トライアンドエラーで、最適なマーケティングを見つける
あとは試行錯誤して、もっとも効果の高いマーケティング手法を見つけていくことになります。
「インスタ広告→ホームページ(ランディングページ)→購入」
がうまくいっているなら、もっとお金をかけて続けてもいいですね。

効果がイマイチだったら、どこがマズイのか見つけて改良していきます。
「どうやらインスタグラムにはターゲットがいないぞ」ということなら、別の選択肢に移ります。

インターネット・マーケティングは効果の検証が大事。

検証 (2)

道路看板の効果は厳密に調査するのは難しいですが、インターネット広告は、相当詳しく効果検証ができます。だから、広告を出してそのまま放っておいたら意味がありません。「数字をチェックして、改良していくのだ」と考えてください。

この試行錯誤を何回やったかで、利益が大きく変わります。

◆適切な媒体を探すには

ネットマーケティングの媒体を選ぶ際、ポイントになるのは「ターゲットにちゃんとマッチしているか」です。ここがズレていると、いくらお金をかけても効果が薄くなります。
ですから、ターゲットに合う媒体をしっかり見極めたいところ。

一般的に言って、広告を出す場合は各媒体にユーザー層の資料が必ずあります。「広告出しませんか?」と言う側は、基本的にちゃんとそういう資料を用意しているのです。
たとえば、あるビジネス雑誌に広告を出すことを検討する場合、

「購読者25万人
30代20% 40代30% 50代20% 60代18% その他12%
経営者、役職者が半数を占める」

といった情報をもとに「経営者層向けに広告を出すならこの雑誌がよさそうだ」と判断します。
インスタグラムに広告を出したい場合も、ユーザー層を調べれば

「ユーザー数3300万人(2019年6月時点)
10代の57%、20代の48%、30代の39%が利用しているSNS男女比は男性4:女性6」

といったことがわかります。ターゲットが若い女性なら候補になりそうです。

このように媒体資料を確認して、ターゲットに合うものを見つけてください。
「SNS ユーザー層」などと検索すれば、ツイッター、Facebook、インスタグラム等のユーザー層情報が見つかるので調べておくとあたりがつけやすくなります。

ザックリ知りたい人向けに、ヒントをお伝えしておきましょう。
書くかどうか迷うぐらいに、本当にザックリでしかないので、あくまでもちょっとした参考程度です。
もちろん私も各媒体の資料は見ていますが、経験則から次のようなイメージを持っています。

SNSユーザー層jpg (2)

あまりにも乱暴な分類で、ちょっと無理がありますが、あなたも何かしらSNSを使っていれば、なんとなくユーザーのイメージはあるのではないでしょうか。
こうして見ると、ツイッター、Facebook、インスタグラム・・・と、やたらと連携させたり、全部やろうとするのは意味がないということがわかりますね。ターゲットのいる場所に狙いを定めてしかけていくのが最も効果的です。

こうした情報から媒体をピックアップし、“予算に合わせて”優先順位を決めてみてください。

次回は、「刺さるキーワード」の拾い方についてお話しします。
見込み客が見た瞬間に心惹かれて、ベルトコンベアーに乗ってくれる。
そんなキャッチコピーのモトとなるキーワードはどう見つけたらいいのでしょうか?

実はとても簡単な方法があるのです。
お楽しみに。


編集部より こちらの連載は毎週水曜日に配信いたします。次回は3月3日です。よろしくお願いいたします。

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