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【フォレスト出版チャンネル #77】ゲスト/EC|Amazonキラー「Shopify」の正体とは?

このnoteは2021年3月2日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。


Shopifyって何がすごいの?

渡部:フォレスト出版チャンネルパーソナリティの渡部洋平です。今日は編集の寺崎さんと共にお届けしたいと思います。寺崎さん、よろしくお願いします。

寺崎:よろしくお願いします。

渡部:今回は、「Amazonキラー・Shopifyの正体」をテーマに素晴らしいゲストに来ていただきました。Shopify公認エキスパート、デザインエンジニア、そして株式会社フルバランス代表の角間実さんに来ていただきました。角間さん、よろしくお願いします。

角間:よろしくお願いします。

渡部:早速なんですけども、角間さんには昨年の12月に『商品売るならShopify』という書籍をフォレスト出版から出版していただいていまして、そして先月には『顧客をつかんで離さないD2Cの教科書』を出していただいております。新刊ラッシュという状態なんですけども、まずは角間さんの自己紹介を簡単にお願いします。

角間:はい。リスナーの皆様はじめまして角間実です。私は長年システムエンジニアとして活動してまいりましたが、Shopifyが日本法人を立ち上げた段階で、Shopifyに関わってご縁がありました。Shopifyを使って企業のサイトの構築やアプリの開発などを行っております。慶應義塾大学大学院でメディアデザインを学んでおりましてそれを活かして、いわゆるD2C企業と呼ばれる企業のコンサルティングなどもやっております。

渡部:ありがとうございます。Shopify、そしてD2C、つまりDirect to Consumerですね。最近よく聞くテーマになっておりますけれども、今日はまずShopifyについて詳しくお話しを伺っていきたいと思います。Shopifyって特にVoicyのリスナーの方は最近よく聞くんじゃないかなと思うんですけれども、Shopifyとは一体どんなものなんでしょうか?

角間:Shopifyは全世界で利用者が急増しているカナダ発のECプラットフォームです。一言で言うと、機能拡張が出来るレンタル型の通販カートシステムになります。海外ではAmazonキラーと呼ばれていまして、猛烈な勢いで勢力を拡大しています。

渡部:なるほど。ありがとうございます。寺崎さん、『商品売るならShopify』を出版することになったのはどんな経緯だったんですか?

寺崎:Shopifyと言うプラットフォーム自体がすごく伸びているというのは2~3年前から知っていて、企画メモ帳には温めてあったんですけど、コロナで一気に株価がうなぎ上りですごいことになったということがわかって、ふと書籍の世界を見たら日本語の解説書はまだ1冊も出てないんですよ。だから、これはチャンスだと思い急いで企画した、と。で、企画した時にこのジャンルに詳しそうな知人に「Shopifyの本を作りたいんだけど、誰か詳しい人いるかな?」と尋ねて、角間さんを紹介していただいたというような経緯です。

渡部:なるほど。世界で波が来ているものがコロナをきっかけにようやく日本にも上陸っていう感じなんですね。これまで楽天とかAmazonっていうものもあったんですけど、正直Shopifyとの違いっていまいち分かりにくいなと思うんですけど、どういう違いがあるんでしょう?

角間:そうですね。Shopifyの様なECのプラットフォームっていうサービスは国内でも、例えばBASEとか、STORESなど似たようなものはたくさんあります。その中でShopifyの特徴という意味で言うと、とにかく利用者、ここで言うと買い手ではなくて売り手の利便性をかなり追求した点があります。例えばAmazonや楽天はユーザーが買いやすい環境というのはとにかく徹底していますが、Shopifyはもちろんユーザーも使いやすくは作ってあるんですけど、ECの運営者であったりとか、運営する企業のサイトが欲しがる機能というのがあり、そういうものがどんどん拡張出来る形になっています。おそらく拡張という面で言うとAmazonや楽天にはないメリットですね。そして後は、もちろんAmazon、楽天もかからないんですが、サーバーの管理が必要はないということでコストが安い、あとデザインも簡単にかなり綺麗なものが出来るので、基本機能だけで簡単にECサイトが立ちあげられるというのが、やはり大きなメリットと言えると思います。

越境ECにはShopify一択

渡部:ありがとうございます。さらにShopifyついて詳しくお伺いしていきたいのですが、先ほど、角間さんは日本法人の立ち上げに関わっていらっしゃるということでしたけど、日本語にはShopifyは対応しているんでしょうか?

角間:そうですね。数年前までは対応しているとは言えなかったんですが、2018年から充分日本語に対応していると言えます。

寺崎:ちなみにShopifyって50言語に対応していて、扱う通貨が130カ国以上。他のサービスの追随を許さない部分がありますよね。

角間:そうなんですよね。ですから、今の様なコロナ禍という状況に置いてはインバウンドを見込んだ訪日客の需要がかなり減っているという状況なので、海外に直接ものを売る越境ECを始めるために、まずShopifyが注目されたというのがあって、越境EC向けというすごく強い武器がShopifyにはあります。

寺崎:ちなみに越境ECということで言うと、この本の中では成功事例としてソールがすごく特徴的なスニーカーのgroundsっていうD2Cブランドがあるんですけど、本の中でこのgroundsさんに取材したインタビューが載っています。

渡部:なるほど。越境ECと言うのは、つまりは海外向けのECサイトの事だと思うんですけども、世界に目を向ければ人口78億人、それがお客さんになるってことですもんね?

角間:そうなんです。

寺崎:夢が広がりますね。

角間:実際には国によって法律が違ったり、もちろん関税が絡んだりして一気に今日からいきなり全世界に売るというのは難しいところもあります。ですが、基本的にShopifyで、全世界で買える体制というのを作ることが出来るというのは、すごく大きなメリットですね。これまでShopifyがない時は海外を視野に入れて越境ECを作ろうとすると、シンプルに日本国内だけよりもかなり大きな開発費用がかかってきました。それは、やはり国によって、対応しなくてはいけないことがまちまちで、一個やるごとに一個作るようなかたちになっていたからです。言語の問題でもそうですし、通貨の問題、決済方法、配送方法も含めて、一個一個考えていたら気が遠くなると思うのですが、その点がShopifyを入れたらまず一気に解決するっていうのが越境ECをやる方には非常に魅力的だと思います。そして、元々Shopify自体がカナダであり、海外英語圏発ですので、世界175カ国、利用者で言うと100万人、言語も150、通貨も130に対応しております。これまで国内向けサイトとは別に越境サイトを立ち上げていらっしゃったパターンもあると思うんですけれども、Shopifyでしたら同時に多言語多通貨のサイトも作れますので、その点も魅力です。あとは海外発送に対応するための色々な送料なども含めたアプリがありますので、簡単に対応出来るというのがメリットであり、優れものと言えます。

渡部:越境ECをやりたい人にとっては本当においしいとこ取りといいますか、すごく便利な機能が実装されているんだなっていうのが今お話聞いていて感じました。さらにShopifyの良さっていうのがまだあると伺っているんですけど、他にはどんなすごいところがあるんでしょうか?

倉庫管理システムとの容易な連携とShopNow

角間:そうですね。Shopifyのすごさは言い出すとキリがないくらいたくさんあるんですけれども(笑)。大きな利便性と言える1つがもちろんShopifyだけではないんですけども、倉庫管理システムと言われるものと非常に簡単に連携出来る点が挙げられます。つまり、在庫を自分の手元に持たずに倉庫の方に送ることで、在庫の管理をそちらに委託出来る。そして、Shopifyと簡単に連携出来ます。

渡部:本当にすごい機能がいっぱいということですが。

角間:そうですね。一つ、有名なサービスを挙げますとオープンロジっていうサービスがあります。オープンロジは先ほど申し上げたように完全に倉庫と倉庫管理のシステムを持っていますので、そのアプリを入れて基本的な連携さえしてしまえば、即Shopifyでお客様が購入したら商品が発送されるような仕組みが作れます。また、オープンロジさんがすごいのが通常、倉庫代として固定費がかかるんですけども、固定費がかからず従量課金だけでやっていらっしゃるのもポイントです。あとはそういうサービスと非常に簡単に連携が出来て、途中で何か開発が入るとトラブルが起こりがちなんですけども、途中の開発がないまま連携まで終わってしまうので、そういうことが一発で出来るのがShopifyの便利な点だと言えますね。

寺崎:あと角間さん、インスタグラムのShopNowという機能の連携もでかいですよね?

角間:確かに。こちらもインスタグラムのプロフィール欄とか、写真の一覧の中に商品リンクみたいなものを作ることが出来ます。ShopNow自体は商品リンクが置けて、そこからお客様がクリックしていくことであまり垣根を感じないかたちで商品を購入出来ますので、特にインスタグラムからお客様を呼びたいっていう方に関しては非常にメリットがある機能です。インスタグラムの件もそうですが、Shopify自体なんですが、いわゆるデザインテンプレートと言われるものが多いのも売りの一つです。公式って言われるものと非公式と言われるものがあるんですけども、今は1000を超えていると言われていまして、またテーマ自体、独自で完全にゼロから自分の好きなように作ることが出来ますので、非常に柔軟性があります。あと、これも大事なメリットなんですけども、元々やはり海外製の商品なので、海外向けにうけると言いますか、海外の方が買いやすいデザインであったり、構成であったりが揃っています。この点もすごく大きなメリットですね。あと特に公式テーマと呼ばれるものは、Shopify自体がSEOと言われる検索エンジンの対策に対しても審査をしているので非常にどれを使っても、公式でしたらSEO的にもデメリットが少ないと言いますか、いいことが多いと言えます。メリットばかり言い出すとキリがないんですが(笑)、あとはShopify独自のサーバーというものがありまして、セキュリティ性を含めて、最近いろんなニュースでセキュリティのことは出てきますけれども、非常に世界基準の高いセキュリティ性と、いわゆるダウン性能と言われる、同時アクセスがあった時などの性能も非常に高いと言われているので、特にガンとお客様が一気に来るようなものであったりとか人気が高いストアほどShopifyは安心して使っていただけると思います。

渡部:なるほど。もう聞きなおさないと忘れてしまいそうなぐらい教えて頂いたんですけど、ネットで話題になってアクセスが集中してしまってサーバーがダウンということもあると思うのですが、そういうこともなくなるわけですもんね?

角間:もう、まさにです。一番お客さんが欲しい時に買えないというのは非常にデメリットですので、それがないというのは非常に強いですね。あと、すみませんメリットばかり言ってしまうんですが(笑)、楽天市場との連携もスタートしたので、楽天にショップを出しつつ、Shopifyで作った公式サイトで管理するみたいなことも出来るようになっております。

唯一のデメリットとは?

渡部:なるほど。寺崎さん、ちょっと予定と違うことを一つ聞いてもいいですか?

寺崎:はい。

渡部:ここまでいいところばかり言われると、何か落とし穴があるんじゃないかなと思うのが人のサガだったりして、角間さん的にはこのShopifyですが、あえて何かちょっとここはデメリットかなみたいに思うところってあったりされますか?

角間:あります、あります。本の中でも書いたのですが、日本語対応の中で、外部のアプリに関してはまだ日本語対応がしきれていなくて、英語でやらなきゃいけない部分があって、その部分に関しては日本の僕らみたいな会社が頑張っていますっていうオチがあるので、そこはネガティブポイントかと思います。

渡部:なるほど。今後、もっと日本でも広がってくると、きっとそういうところも解決してくるでしょうから、あってないようなものですね、今のデメリットも。

角間:まさにそうですね。だからこそと言いますが、本当はこういうことがあった時に他のシステムだとお手上げになるんですけれども、Shopifyは広い間口があるので我々みたいなアプリ業者があることで、そういうのが越えて行けるっていうのがShopifyの一番の魅力と言えると思います。

渡部:ありがとうございました。

寺崎:ちなみに角間さんって、元々ソフトウェア開発業20年ぐらいやっている方なので、どちらかというとShopifyなんて敵なんですよ。

渡部:そうなんですか!

寺崎:だけど、惚れこんじゃったって言う。

角間:そうですね(笑)。

渡部:そんなにエンジニアの方から見てもよく出来たシステムだったんですか?

角間:そうですね。エンジニア目線ももちろんあるんですけれども、とにかく顧客の目線ですね。今回で言うとマーチャントさんという売り手側であったりとか買い手側、ここでは特に売り手側ですね。ものをつくるってことは、いつも言うんですが、プログラム自体が作った瞬間に負債になるって言い方があるんですよ。Shopifyの場合、この負債というものが本当に限界まで少なくなっているので、とにかく売り手側のメリットが多いっていうところが非常に魅力ですし、これはもう正直負けたなっていうのを最初に思っちゃいましたね(笑)。

渡部:お手上げという感じだったんですね。ありがとうございます。もう一つ、僕が興味あるんで聞いてもいいですか?

角間:はい。

「メガ企業は要らない」というShopifyの思想

渡部:本の中にも書かれているかもしれないんですけれども、どのぐらいの規模感でビジネスをされている方に向いているのでしょうか?本当にゼロからスタートする方でも出来るのか、それこそ例えば月商1000万円は売っているみたいな方に合うのか、その辺はどうなんでしょう?

角間:これはShopifyが最初に日本に来たときの標語がまさにそれで、「小さく始めて大きく育てる」というところがありまして、ですのでその標語に従うと、本当に下というのは下限はないと思います。月額が3000円ぐらいかかりますので、3000円でも大きいなっていうぐらいの規模ですと、もしかしたら検討の余地があるかも知れませんが、基本的に下のところはECサイトですので、最低限の費用がかかる想定は必要です。逆に「小さく始めて大きく育てる」の大きい方にはShopify側はすごい事を言っていまして、アメリカ最大のECサイトみたいなものもShopifyでしたら極論月額3000円で出来ると言い切っていまして。

渡部:すごいですね。

角間:下から上までデメリットなく導入出来るというもが非常にShopifyはすごいと思います。

寺崎:ちなみに渡部さん、ShopifyのCEOのトビアス・リュトケさんという方がいるんですが、この方が名言を残しているんですよ。

渡部:なんですか?

寺崎「私たちの経済にもうメガ企業はいらない。必要なのはたくさんの成功する小さな企業だ」って。

渡部:その一つになっていただくわけですね。今から挑戦したい人たちには。

角間:おっしゃる通りで、例えば分かりやすく言えば今の対比はAmazon VS Shopifyみたいな絵が今のところだと思います。いわゆるメガ企業、プラットフォームって言われているところが、情報であったり、色々なものを独り占めといいますか、その構造になっていたのが今までだとすると、Shopifyはそこを崩して色々な機能や余白というものを外に持たせたんですね。余白の部分も外に持ってみんなで少しづつやりましょうというモデルにしたのがShopifyの成功の秘訣の1つだと言えると思います。

渡部:ありがとうございます。もうだいぶ色々話しいただいたんですけど、個人的に気になることを一つだけお伺いしてもいいですか?僕の知人でECサイトをやっている人とかもいて、僕もちょっと手伝わせてもらったことがあるんですよ。BASEとか本当に便利で大げさじゃなくほんの数分で物が売れる、ネットで物が売れる状態が出来るって本当にすごいなと思ったんですね。そういった便利なプラットフォームは色々あると思うんですけども、例えばBASEさんとShopifyって比べた時にどんな良い点、悪い点があるんですか?

角間:私自身、BASEさんがすごく大好きで、国内企業なので応援もしておりますが、あくまで現時点で言いますと最初に申し上げたアプリの部分ですね。そこが、BASEにもアプリストアはあるんですけどもまだそこまでで、Shopifyほど大きくて世界観がたくさん出来上がっているものにはなってないです。なので、先ほど申し上げたようなアプリでどんどん拡張が出来て、色々な面白いことが出来るという面で言うと、Shopifyでは出来て、BASEではまだ出来ないという状況が大きいですね。あとはやっぱり先程のメリットでちょっと大変になっちゃうんですけども、デザインですね。基本的にShopifyは公式テーマっていうのを使うか、フルデザインするかなんですけども、それはどちらにするにしても、あくまでデザインなので、思ったレベルで言うと、やはりShopifyの方がレベルの高いものが出来ますし、Shopifyの方が汎用的に面白い物が出来るっていうのもあります。

渡部:ありがとうございます。寺崎さん、今のところで、是非「本のここに書いてあります」みたいなのを入れて頂けると。

寺崎:そうですね。この本の中で43ページにShopifyとBASEとSTORESの比較表がありますので、それを見てもらえればもう一目瞭然です。

渡部:いいですね。STORESとかも気になっている方いると思うので、もし今後ECサイトを検討しているとか、今どのプラットフォームにしようとかいう方がいれば、43ページをチェックしていただくといいのかなと思いました。本のURLも貼ってありますので、是非チェックしてみてください。いかがでしょうか、リスナーの皆さんも興味を持っていただけたのではないかと思います。世界最大規模のECサイト構築プラットフォームであるShopify、その凄さが皆さんに伝わったんじゃないでしょうか。少しでも気になったという方は是非角間さんの本、フォレスト出版から出ておりますが、『商品売るならShopify』を読んでいただければと思います。では今日はお時間も迫ってまいりましたので、明日はD2Cですね、Direct to Consumerについて、角間さんから再びお話を伺いたいと思います。角間さん、寺崎さん、今日はありがとうございました。

角間・寺崎:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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