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子供の頃の「お小遣いのもらい方」は、「将来の職業」に大きく影響する!?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

子供の頃、多くの人が親からもらってきたであろう「お小遣い」。年に1回のお年玉という臨時収入があるにせよ、基本的に自ら働いて稼ぐことができない子供にとっては、大事な収入源です。

10年以上にわたって子どものお金教育に関して研究・調査はもとより、講演・セミナーなどを積極的に行なっている村田幸紀さんによると、お小遣いのあげ方(子供からみると、もらい方)は、大きく次の4つのパターンに分かれます。

【お小遣いのあげ方、4つのパターン】
①定額制……毎日、毎週、毎月など、決まったときに同じ額のお金をあげる。
②報酬制……買い物、食器洗いなど、親の手伝いに対する対価としてお金を渡す。
③都度払い……「無制限」とも呼ばれ、子供のリクエストに応じて渡す。
④なし……お小遣いをあげない。

あなたは子供の頃、どのパターンだったでしょうか?

実は、

どのパターンでお小遣いをもらっていたかによって、その子が大人になってからの職業やお金の使い方にとても大きな影響を与えている

と、村田さんは言います。

今回は、村田さんが新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』の中で解説している「お小遣いのあげ方4つのパターンと職業やお金の使い方の関連性」について公開します。お子さんがいらっしゃる方は、わが子のお金教育のヒントになると思います。

「①定額制」の傾向

 定額制は、毎日、毎週、毎月などに同じ金額をあげるパターンです。
「小さい頃は毎日・毎週など短い期間で、少し大きくなると期間が延びて毎月になる」という人も多かったのではないでしょうか。
 4つのパターンのうち、最もスタンダードで、多くの割合を占めるのが定額制です。
 この「毎月1回定額の〝収入〞がある」という仕組みから何を想像しますか?
 そうです、会社にお勤めのサラリーマンと同じです。
 定額制でお小遣いをもらう子供は、他のパターン(報酬制など)を知らないこともあり、とても素直に「お小遣い(将来のお給料)は決まった時期に同じ金額をもらうものなんだな」と認識します。また、「同じ額しかもらえないから、何でも買うことはできない。何を買うか考えなければいけないな」と当然思いますよね。
 ですから、将来自分で職業選択をする際、「決まった時期に同じ金額をもらえる働き方」に安心感を抱きやすい傾向があります。その結果、サラリーマンの道を選んでいる人が多いことがわかりました。
 また、「収入には上限がある」ことを体感しているため、そのやりくりは上手で、大人になってからのお金の使い方でも、「IN > OUT」の大原則を守れている人が多くいます。
 ただ、その一方で、自分の夢や自分の欲しいものをダウンサイジングして考える傾向があるようです。「今月いくら、1年間でいくら」という収入の見当がついてしまっているため、その範囲内で考えるクセがついています。
 これは将来、新しいビジネスを生み出したり、大きなイノベーションを起こしたりする際に、悪く言えば足枷(あしかせ)になってしまう可能性もあるでしょう。

「②報酬制」の傾向

 報酬制は、親の手伝いなどに対する対価としてお金を渡すパターンです。
 買い物、食後の後片付けや食器洗い、洗濯物を畳む、お風呂掃除、ご近所へのお届け物……など、「子供たちに手伝ってもらえたらうれしいな」という場面はたくさんありますよね。私もよく子供たちに「パパの車の洗車をお願いできないかな」と相談し、手伝ってくれたら「ありがとう、すごく助かったよ」と言ってお金を渡していました(わが家のお小遣い制度については第3章で詳しく解説します)。
 報酬制でお小遣いをもらう子供たちもまた、他のパターン(定額制など)を知らないこともあり、とても素直に「お小遣い(将来の稼ぎ)は何か役に立つことをすればもらえるものなんだな」と認識します。
 そのような働き方に近いのは、自営業や職人さん、サラリーマンでも完全歩合給の人(保険の営業職など)です。
 お小遣いを報酬制でもらってきた子供は、将来自分で職業選択をする際、「頑張れば頑張るほど見返りがある働き方」にやりがいを抱きやすい傾向があります。
 その結果、自分で会社をつくったり、個人事業主になったり、会社勤めであっても定額ではなく歩合制の働き方を選んでいる人が多いことがわかりました。
 一方、「お金の入り方には波がある」「お金はなくなったら、また働けばいい」といった価値観も醸成されているので、INに関しての自信はあるけれど、OUTのコントロールはあまり気にしない傾向があるようです。

「③都度払い」の傾向

 都度払いは、子供が親に「ねえ、このオモチャ買って」とねだったら「いいよ」と言って買ってもらえる、「ねえ、友達と遊びに行くから1000円ちょうだい」とお願いしたら「いいよ」と言ってその場でもらえる……というパターンです。
 都度払いのパターンは、家庭環境によって、2つのケースに分けられるようです。
 ケース1は、子供にとって、ほぼなんでも購入してもらえるケースです。「無制限パターン」とも呼ばれます。とても裕福な家の親が、子供かわいさでリクエストにすべて応えてしまったパターンがこれに当てはまります。ご自身の小学校時代のクラスメイトの中に、とても大きな家に住んでいて「あの子の家に行けば、オモチャが何でも揃っているぞ。みんなで遊びに行こう」という友達がいませんでしたか?
 また裕福でなくても、親が仕事などで子供と一緒にいられる時間がとても少なく、その罪悪感もあって子供に不相応なほどの大金を持たせているパターンです。「これで何でも好きなものを買いなさい。これで食べたいものを食べなさい」というわけです。
 私の知り合いのお子さんも「小学生なのに、財布に1万円が何枚か入っていて、『ゲームセンターで一緒にゲームをやらない? お金は僕が出すからさ』と言っていた友達がいる」と言っていました。
 ケース2は、何でも買ってもらえるわけではなく、必要なものかどうかをその都度親が判断して、与えるパターンです。
 この場合、親が常に判断をするため、必要以上に親の顔色を伺うようになる傾向があります。
 もし親が気分屋で、いつも感情に左右され、言うことがバラバラになってしまうケースだと、子供は混乱してしまいます。最悪の場合、いつもどうしたらいいか、親に判断を求め、自分では決められない子になってしまう危険をはらんでいます。
 ケース1、2のいずれにしても、都度払いのパターンは、お金をコントロールする学びの場そのものを奪ってしまっています。
 これら都度払いで必要な分だけお金をもらう子供たちもまた、他のパターン(定額制や報酬制)を知らないわけですから、「何か欲しいものがあったら親にお願いすればいいんだ」という認識の下で成長します。そのような働き方は……、残念ながら存在しませんね(笑)。あえてたとえるなら、ヨーロッパの貴族などでしょうか。
 自分が欲しいと思ったものを無制限に買ってもらい、自分が使いたいと思ったお金をすぐにもらっていた子供には、「使えるお金には限りがある」という感覚を抱けません。お金は湯水のごとく湧いて出るようなものなのですから、大人になってもお金のINとOUTのコントロールが苦手です。周囲にコントロールを担当してくれる存在がいれば生活は存続しますが、そうでなければ破綻してしまいます。

「④なし」の傾向

 割合的にはほんのひと握りですが、「なし」という人もいました。
 私の調べた限りでは、「お小遣いをあげないほうが、子供の成長に良いと親が考えたから」といった教育的理由による人は皆無でした。経済的理由、つまり「家が貧しかったので、お小遣いを渡す余裕がなかったんだと思います」といった回答ばかりでした。
「お小遣いがない」ということは、自分の工夫で何とかお金を生み出す必要があります。とはいえ、家にはお金がないのですから、報酬制のように家の中で頑張ってもお金を得ることはできません。
 では、どうするか?
〝外の世界〞でお金を稼ごうと考えるようになります。
「子供の頃、空き瓶を集めて回収業者さんに持ち込んで、お金にしていた」とか、「近所のおばさんの仕事の手伝いをしてお駄賃をもらっていた」といったエピソードを、私に話してくださった方々がいました。
 私が主宰している会に入っている「なし」の人たちは、事業で成功した人たちばかりです。そのような幼少期を知恵と工夫で乗り切ったという自信がそうさせるのか、非常にバイタリティがあり、アイデアにあふれ、人生を前向きに生きています。
 また、お金のありがたみもわかっていて、お金を浪費することもなく、「IN > OUT」の大原則を守ってしっかりとコントロールしています。
 これだけ見ると、すばらしいと思いがちですが、一方で一般に世の中の底辺と言われる属性の方は、やはりお小遣いがもらえないような貧乏な家庭で育った方が多いのも事実。「お小遣いなし」で成功した人はごく稀で、一般的には自己肯定感も低く、お金教育を含めた教育もまともに受けることができていない状況ですので、なかなかお金持ちになるのは難しいようです。

子供は親の生き方を〝正解〟と思い込む

 なお、ここまで本書で述べてきた「傾向」ですが、すべての人に当てはまるわけではありません。あくまで傾向です。
 ここまで読んできた人の中にも「自分は『報酬制』ではなく『定額制』で育ってきたけれど、卒業後はサラリーマンにはならず、いきなり個人事業主として働き始めましたよ」といった方もおられると思います。例外はたくさんあると思います。
 私が最もお伝えしたいのは、特に幼少期の人格形成において、親の影響は非常に大きいということです。
 その理由は、「子供は親の生き方しか知らないから」です。
 少し汚い話になりますが、例えばトイレ。他の家庭がどんなふうに用を済ませるかなんて、まったくわかりませんよね。食事の仕方、お風呂の入り方、就寝の仕方などもそうです。何時頃、どんなふうに行なうものなのか、子供にとってそのサンプルは家族しか存在しません。
 物事の見方、捉え方、考え方なども、トイレや食事やお風呂や睡眠とまったく同じです。
 親が「こういうものだ」と思って(あるいは、そこまで思わなくても無意識に)行動したことを子供は見たり聴いたりしています。
 そして、他に比較対象がないので、それを〝正解〞と見なし、自分の心の中にインストールしていきます。その積み重ねが、その子の価値観となっていくのです。
 成長し、人生を重ねていく中で、大きな出来事や劇的な出合いによって、それまでの人生観が書き変わることも当然あるでしょう。
 けれども、その人の土台となる初期設定は、幼少期に親がつくっています。
 これだけは間違いなく言えると思います。お金に対する考え、価値観、付き合い方なども例に漏れず、基本的に親の思考と言動を〝正解〞とみなします。

今回ご紹介した、村田さんの新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』(村田幸紀・著)は、

◎「お金の教育」とは、何を教えることなのか?
◎クリスマスプレゼントの先渡しOK?
◎お小遣いは、いつから渡し始めるのがいい?
◎お小遣いのあげ方4パターンと、メリット&デメリット
◎効果バツグンの「お小遣いのあげ方」
◎親がお金を出してあげる範囲
◎親が絶対にやってはいけない2つのNG行動
◎こんなときどうする? 子供間でのお金の貸し借り
◎「テストで良い点取ったらお小遣いちょうだい」と言われたら……

などなど、子供のお金リテラシーを上げるお小遣いのルールはもとより、親の不安や疑問も具体的に答えた「子供のお金教育」の決定版的な1冊となっています。興味のある方はチェックしてみてください。

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