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突然、自分や相手の心が変わってしまうのはなぜ?社畜13年目の反抗期について

付き合って5年とか結婚して5年とかのカップルで、出会った当初のようにラブラブでいられる人たちは稀でしょう。
まあ、率直に言って飽きますよね。
それなのに一緒にいるのは、やはり愛なのか、あるいは義務なのか、惰性なのか……。わからなくなってきます。
すると、「自分にはもっとふさわしい生き方があるのではないか?」「もっと素敵な人がいるのではないか」なんて思いが頭をもたげてきて、刺激を求めた結果、破局を迎えるわけです。
実は恋愛に限らず、仕事においてもこうした心変わりが起こることは普通とのこと。
根本裕幸『なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?』において、それを「社会人の思春期・反抗期」と呼んでいます。

それはいったいどういうことなのか?
現在、転職を考えている人や、人材不足で困っているマネージャークラスの方にとって参考になる箇所を本記事用に一部抜粋・改編してお届けします。


†社会人10歳~13歳の思春期と反抗期

 一般的に中学生くらいは反抗期の真っ盛りと言われています。親の言うことにいちいち反発したり、無視を決め込んだりする時期ですね。この反抗期は親からすれば面倒な時期ですし、本人としても自分の感情に振り回されて繊細な思いに悩む時期でもあります。しかし、これは「親から精神的に自立する時期」として成育上、とても大切なものなのです。そして、この反抗期は何も思春期にだけ起こるものではなく、あらゆる人間関係で起きる問題でもあるのです。
 恋愛でも付き合いはじめて数年すると関係性が変わります。
 それまで大人しかった相手がだんだん自分の意見を言いはじめて、2人の間に険悪な空気が漂った、という経験をされた人も多いでしょう。
 仕事においても、はじめは先輩や上司の言うことを素直に聞いていたのに、何年か経つと自分のやり方や考え方を持つようになり、上司や先輩に反抗的になる時期がきます。そして、「この会社にずっといていいんだろうか?」ということも考えるようになります。
 それを私は「社会における反抗期問題」としてよく取り上げています。

†今まで平気だったものがだんだん嫌になる心理

「社会における反抗期問題」は先に挙げた疑問以外にも、さまざまな問題として感じられるようになっていきます。
「上司のやり方はもう古いのではないか?」
「今までのやり方よりも、このほうが効率的なんじゃないか?」
「新しい○○という方法を取り入れたほうがより生産性が上がるんじゃないか?」
「この会社のシステムはもう時代遅れだ。このままでは生き残れないんじゃないか?」
 などの思いがどんどん強くなっていくのです。これは社会人として、あるいは組織人として、自分の意見を持ち、自信を持っている証拠で、それなりの実績や経験を糧に、自分なりのやり方や考え方を構築しはじめたことを表しています。
 社会人としては実に素晴らしいことなのですが、とはいえ、そういう意見を持ったとしても、すぐに意見を通してくれる会社は少なく、たいていは否定されてしまうことになります。
 すると、「オレの気持ちを会社はわかってくれない」となり、否定的な思いを持つようになりますし、そこから「独立して自分の会社をつくる!」という思いになればよいほうで、多くの人は「仕方がない。この会社は変わらない。ここにいるなら会社の方針に従うほかない」とあきらめてしまうものです。
 でも、それってすごくもったいないことですよね。

†離れることのメリットとデメリットを冷静に見つめる

 私は30歳前後のまさに社会人としての思春期を迎えた方からの相談を受けることが多いのですが、その都度、その思いに賞賛を送りつつ、次なる課題を提案しています。
 それはやはり自分軸という話で、自分をしっかりと持ちつつ、その会社とどうやって付き合っていくか? という方法です。
 自分というものをきちんと持つことがやはり前提になります。
 そのうえで、今の組織について、あるいは今の会社のやり方について理解を深めます。思春期というのは悪く言えば短絡的な「正しさ」にこだわってしまうところで、融通が利きにくいところなのです。
 したがって、なぜこの会社がその方法を取り入れているのか? そのメリットは何なのか? その方法が生み出す問題点は何なのか? について、まずは「理解」してみることが大切です。
 すると、メリットとデメリットが見つかってくるものです。

†まわりを巻き込むことで違う道が見えてくる

 ある事例をご紹介しましょう。職場から無駄な会議を一掃したケースです。
 彼は毎週のように開かれる中身の薄い会議に疑問を持ちました。それに気づいた彼は「何の意味があるんですかね?」と先輩に毒づいていたんですね。しかし、その会議がお互いのコミュニケーションを図ることを目的としていることと、上司が部下の状況を把握することに役立っていることに気づきました。
 そこで彼は先輩と相談を重ねつつ、懇親を目的とした場と、物事を決定する会議を別にすることを思い立ち、その先輩を巻き込んで上司に提案してみたのです。この「先輩を巻き込んだ」というのは彼の成功の秘訣だったんですね。1人で提案するよりもより効果的に物事が進みますから。
 そこで、懇親を目的とした場として「朝礼」を提案し、毎週月曜日か火曜日の朝、それぞれの状況について報告する場を設け、会議は議題が上がったときにのみに開催するようになったのです。
 その朝礼では、公私を含めた今の自分の状況を部員それぞれが発表する場となりました。はじめはぎこちなかったものの、上司自ら最近の夫婦ゲンカによって小遣いを削減された話を面白おかしく暴露するなどして徐々にオープンな場となり、ある人は婚約を発表し、ある人は親の介護について告白する場ともなり、以前よりもずっと部内の風通しがよくなりました。その一方で、会議は短時間で目的を持ったものとなり、それまでのような数時間もだらだらと続くことはなくなったそうです。
 彼はその後も、まわりを巻き込みながらさまざまな提案を通していくことに成功し、1年後にはその部署の業績が上がり、職位も年俸も一気に上がりました。今では、ほかの部署も、彼らのやり方を取り入れるようになり、全社的な変化を生み出しているそうです。
 社会人としての反抗期もやり方次第によっては会社そのものを変えるきっかけになるのです。もちろん、1人で孤軍奮闘する必要はなく、自分の意見に耳を傾けてくれる先輩や同僚がいてこそ成り立つのです。
 このことは冒頭でもお伝えしたように、恋愛や夫婦関係にも言えることです。急に冷めることや、これまで溜まっていた不満が爆発するときがあるでしょう。そこで一気に解消する前に、もう一度冷静に関係性を問い直せば、また、周囲の人たちに相談することで、思いがけない道が開けることもあるのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 いしぐろ)


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