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「任せる」が口癖になってない!? 部下にとって残念なリーダーの実像

津田典子『最強のチームリーダーがやっている部下との距離のとり方』では「残念なチームリーダーの実例」として典型的な5ケースを紹介しているのですが、以下のようにこのnoteでは、そのうちの3ケースを紹介してきました。

今回は残りの2ケースを一気にご紹介します。
いずれも共通点があります。それは「任せる」が口癖ということ。部下の自主性を重んじつつ、フォローもしっかりするリーダーだったら良いのでしょうが……。
あなたは部下に対して、「任せる」という言葉をどのくらい使っていますか……?


「任せる」が口癖の「部下放置リーダー」

 部下になんでも任せてしまうタイプには2種類あります。
 1つは、相談しても「任せる、好きにやっていいよ」と部下の相談を拒否する「部下放置タイプ」。もう1つは、本人が忙しすぎて部下と接する時間ゼロのため、任せるとしか言えない「危険綱渡りタイプ」です。
 ケース4では前者のタイプを見ていきましょう。
 ちゃんと部下の進捗や様子を常に観察し、適宜声をかけながら、「任せる。好きにやっていいよ」であれば、部下の成長を見守るとてもよい上司です。ですが、部下の話も聞かず、相談にも乗らずに「全部任せた、よろしく!」はただの無責任上司です。

部下:A社の件はこうやって進めようと考えているのですが……。
上司:わかった、じゃあそれでやってみて。あなたに任せるから。
部下:ありがとうございます。やってみます。
〈後日〉
部下:あの、ちょっとA社のことでご相談したいことがありまして。
上司:どうしたの?
部下:この点について〇〇と××でどちらを採用すべきかと。
上司:あー。ごめん、詳細がわからないからすぐに判断できないな。この件についてはあなたに任せたから、決めていいよ。
部下:……そうですか。承知しました。
上司:よろしく頼むね。

 この例は研修先の企業で実際にあった出来事です。管理職研修でワークを行う際に実例として出してもらいました。
 研修では、どこの対応や声かけが悪いのか、すぐにわからない上司もいらっしゃいましたが、ここでの問題は、部下の「相談したい」気持ちを受け止めず、相談の詳細も聞かず、「任せたから決めて」という無責任な対応です。そもそも「相談したい」に対して「決めて」という回答はかみ合っていないですよね。
 このタイプの上司は営業畑で多いかもしれません。営業先の様子は、上司が細かく見ることができない、結果で評価される、という営業職の特徴から、任せっぱなしになるケースが多くみられます。

「任せる」が口癖の「危険綱渡りリーダー」

 同じ「任せる」ですが、こちらのタイプは前述した「危険綱渡りタイプ」。忙しすぎて部下と接する時間が本当にゼロ、自分の仕事を抱えすぎているプレイングマネジャーが該当します。
 部下育成に時間を割きたいけれど、ゆっくり時間をとっていたら自分が潰れてしまうのではないかというくらいの忙しさを感じている方が、つい部下を放置してしまい、それが常態化している感じです。会社として重大なインシデントが発生しかねない、危険な状態といっていいでしょう。
 社員20名の採用コンサルティング会社で私が社長のすぐ下で仕事をしていたときは、まさにこの状態でした。

私 :社長、この件について先日出したドラフトを見ていただけましたか?
社長:あ、そうだね。ごめん今見るよ。(パラパラと見て)よさそうだからこれで。
私 :……わかりました。これで進めます(って全然見てないでしょ。間違っていても知らんぞ!)。
私 :社長、B社の訪問に同行いただく件で確認させてください。
社長:あ、ごめん、その日外せない用件が入っちゃって、津田さん1人でも大丈夫だよね? よろしく。
私 :そうなんですね、わかりました。先方には私1名で訪問する、と連絡しておきます(来年度の契約、増額を提案するのに……失敗しても知らないよ)。

 中小企業の社長は本当に毎日が忙殺状態で、忙しいさなかにやっと捕まえても上記のような有様でした。
 慣れていることに関しては、「信頼して任せてくれている」と思えましたが、心配に思っているときに「大丈夫」と言われると、逆に「親身になって考えてくれない」と感じてしまいました。
 また、会社の立場で考えても、この管理できていない状態は、今は何も起きていないからなんとかなっているけれど、これで本当にいいのかと常に疑問を感じていました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部  石  黒 )


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