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部下を無駄に疲弊させる責任感が強いキッチリリーダーとは?

「責任感が強くてキッチリしている人」というのは頼りがいがあります。
そんな人物像に近い人で私が思うかべるのは、いつもお世話になっている校正者さん。誤脱字や表記ゆれの凡ミスはもちろん、事実確認、文章がより整えるためのアドバイスなどを、限られた時間の中でしてくれます。
おそらく、「この編集者はボンクラだから、絶対に間違いがあるはずだ」という心持ちでご覧になっているのではないでしょうか(私も他人の原稿をチェックすることがありますが、そのような姿勢で読んでいます。すると、出るわ出るわ、凡ミスが)。
しかし、私にとってそれは望むところ。重箱の隅をつつくような指摘をされるのは、本当にありがたいことなのです。工業製品は小さなネジ1本抜けていたり、違っていたりするだけで使い物になりません。本の編集もそのくらいの覚悟を持って向き合いたいものです……。
ところが、チームリーダーが「責任感が強くてキッチリしている人」だった場合は考えもの、というのが、これからお伝えする津田典子『最強のチームリーダーがやっている部下との距離のとり方』で語られている4つのケースのダメリーダーのうちの1つの姿なのです。

どういうことでしょうか? 以下、該当箇所を一部掲載させていただきます。


リーダーシップの方向性を間違えて、管理しすぎた「きっちりリーダー」

 大学のキャリアセンター勤務時に、きっちり管理しすぎるリーダーと出会いました。
 部下の仕事を詳細にチェックし、把握し、リーダーシップのあるリーダーともいえるのですが、部下はとにかく「大変」な思いをせざるをえなくなります。
 もともとの性格と責任感の強さから、このような管理気質が発揮されるのだと思うのですが……。

 キャリアセンターのセンター長でした。明るく人当たりの良い性格で、普通に話していると、とても楽しくいい上司でした。就業してしばらくはそう思っていました。
 しかし、半年ほど経った頃、私が毎月発行の学生向け情報ペーパーと教員向け就活支援資料の作成をすることになったあたりから、雲行きが怪しくなってきました。
 学内向け資料は、6000人の学生が対象、教員向け資料も12学科すべての教員に配布するため、間違いがあってはいけないのは十分理解していました。そのため、作成にあたっては誤字脱字がないか何度も見直し、読みやすい文章になっているかなどもチェックしてから、上司に最終チェックをお願いしました。
 すると……、赤字で修正があるわあるわ、真っ赤に添削されて戻ってきたではありませんか。
「こんなに間違っていて申し訳ないことをしたなあ」
 そう思いながら確認すると、間違いというより、体裁や見せ方の修正でした。
「タイトルの書体を〇〇フォントで、左に5ミリずらす」
「図表の罫線を細く」
「〈、〉の位置を変える」
「この文字はカット」
「ここの表現を変えて」
「ここ1行あける」
 ……実に細かく修正が指示されていたのです。本当にドラマに出てくるいじわる姑かと思うほどで、「いやいや、変える必要ある?」と思うものも多々ありました。繁忙期でもお構いなし。就活が佳境の時期でキャリア相談枠が満席のときでも、同じように真っ赤になって戻ってきたときには、本当にがっくりしました。
 この状況は、他の職員も同様で、むしろ多くの報告書や文書(大学は文書がとても多い)を作成する職員の方々も相当ご苦労されていた様子でした。もちろん読み手にとって読みやすい文書を作成するのはいいと思うのですが、毎回チェックの観点がずれていたり、「どっちでもよくない?」という修正を指示されたときは、ストレスがたまるばかりで、うんざりしたものです。

 いわゆる「重箱の隅をつつく」タイプです。合理性のある価値のあるつつきは歓迎ですが、個人の嗜好的な指摘や非合理な指摘は、部下のストレスをため、信頼を失うことにつながります。
 また、何よりも、重箱の隅をつついている間に、もっと重要な仕事をする時間が減ってしまうということがチームにとって問題となります。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 石 黒 )



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