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兄弟・姉妹の比較は「ほめるとき」にもしないほうがいいという話。
フォレスト出版編集部の寺崎です。
先日、買い物で「お菓子買って!」とねだる子どもにどう対応すべきか、新刊『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(渡辺弥生・著)からご紹介しました。
今日は兄弟や姉妹のいるご家庭でありがちな「お兄ちゃんとの比較」「お姉ちゃんとの比較」という兄弟間で比較する問題を取り上げてみたいと思います。
私事ながら恐縮ですが、私には2コ上の兄貴がいて、けっこう子どものときから比較して育てられた記憶があります。ボーっとした無口なタイプの自分と比べて、おしゃべり上手な兄はなにかと場の中心になることが多く、なぜだか肩身の狭いを思いをしたものです。
こうした生い立ちはなにかと人格形成に影響を及ぼすと思われ、兄弟間のこうした「リスク」は「兄弟リスク」と呼ばれるそうです。
では、どういう声かけが親として適切なのか、発達心理学の観点から見てまいりましょう。
ここでのポイントは「ほめるときも比較しない」です。
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できなかったことができるようになった子どもをほめるとき
![](https://assets.st-note.com/img/1667193097240-PlvaAxCqH2.jpg)
きょうだいを育てるとき、親がきちんと自覚しておきたいことがあります。
それは、きょうだいとは、親の愛情を取り合う関係であるということ。そのためにお互いにコンプレックスを持ちやすいので、注意が必要です。大人になってからも「きょうだいでよかった」という仲のよいきょうだいに育てるには、親の工夫がとても必要になります。
その工夫の第一歩となるのが、きょうだいで比べないこと。これは、叱るときだけでなく、ほめるときにも大事な心得です。
子どもの頃にきょうだいで比べられて嫌な思いをした経験のある親は、このあたりのことをよくわかっていて、「お兄(姉)ちゃんはできるのに、どうしてあなたはできないの?」という叱り方をしないよう気をつけていると思います。
では、ほめるときにはどうでしょうか。
「お兄(姉)ちゃんはあなたの歳にはまだできなかったのに、すごいね!」
こんなほめ方をしていませんか。
下の子をほめるうえで、上の子と比較してみせることは、具体的でわかりやすいと感じられます。もちろん、こうしたほめ方をするときには、上の子がいないところでするという配慮はしているはずです。
それでもやはり、きょうだいで比較することは、ほめるときでもしないほうが無難です。
親の愛を取り合う環境の中で育っているきょうだいは、互いに嫉妬しやすく、ライバル意識を持ちやすい、ということを親は忘れてはいけないのです。
|きょうだいを
|比較することの弊害
「お兄ちゃんよりすごい」とほめられれば、その子の自尊心は満たされるでしょう。しかし、ライバル意識を刺激する形で自尊心を満たすことをしていくと、成長とともに上の子をバカにするような態度をとることが出てきます。下の子にも、親はきょうだいを比較するんだという態度を勘繰らせることになります。
また、あるとき、「お兄ちゃんって私より成長が遅いって、お母さんが言っていたよ」と不意に言ってしまうことも起こりかねません。そのとき、上の子は「お母さん、ぼくのことをそんなふうに思っていたんだ」と傷つくでしょう。それはきっときょうだいで比較された忌まわしい記憶となって、きょうだい間の仲を悪くする原因になるかもしれません。
そもそも、親が子どもに伝えたいこととは何でしょうか。
きょうだいを比べることではないはずです。大切なのは、親の思いを具体的に伝えること。何かをほめるときにも、何がどんなふうにできているから「すごいね」と具体的な言葉で共感することです。そこにきょうだいを登場させる必要はこれっぽっちもないのです。
×「あなたはお兄ちゃんなんだからがまんして」
×「お姉ちゃんなんだから、下の子の面倒を見るのが当たり前でしょ」
こんな言い方も、つい、してしまうことがあるかもしれません。第一子は、親にとって初めての子どもであるため、繊細で真面目な子に育ちやすいことは、研究でも示されています。そこに弟や妹の責任を背負わせるようなことを親がすれば、上の子は少なからず悲しみを心に抱くことになります。
もちろん、きょうだいの関係から、子どもが社会性を身につけていくこともあります。ただ、健全な社会性とは、「子どもは一人一人が別の人格」と親が尊重する中で育まれます。きょうだい間で比較することは、その子たちの人格を否定することになってしまうのです。
|きょうだいのいない
|一人っ子の場合
一方、一人っ子の場合は、どうでしょうか。一人っ子の親の中には、きょうだいをつくってあげられなかったことへの引け目を感じている人がいます。
でも、心配はいりません。社会性は家の中だけでなく、家の外でも育まれるものだからです。
また、一人っ子は親の愛もオモチャもおいしいものも、誰かと取り合うことなく、すべてが自ずと自分のものになります。サイズの大きいハンバーグをきょうだいに取られる可能性もゼロです。そのため、どちらかというとのんびりした性格になりますが、それは情緒が安定している証拠。
その長所を大事にとらえていきましょう。
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「お兄ちゃん(お姉ちゃん)はできたのに、なんであなたはできないの?」といった声がけがまずいことは大部分の人が理解できると思いますが、ほめるときも「きょうだいで比較する」のはNGといいます。
たしかに、比較する必要はどこにもないですよね。
いまでこそ、「ナンバーワンよりオンリーワン」みたいな考え方が主流になってきていますが、かつては誰もがナンバーワンを目指す社会でした。
社会の変化とともに、子育ての常識も変わってくるんですね。
このように『子どもに大切なことが伝わる親に言い方』には、親の声かけのサンプルに加えて、発達心理学的観点からみた2000文字程度の解説が盛り込まれています。
みなさんの日々の子育てにお役立てください。
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