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メンタルを安定させる食事法と栄養素

フォレスト出編編集部の寺崎です。

暑い日が続いていますが、みなさん夏バテしてませんか。

気分が晴れない、体調も思わしくないといった状態が続くと「いよいよ夏バテかな?」と思いがちですが、それはもしかしたら季節性感情障害(SAD)「夏季うつ」と呼ばれる症状かもしれません。

夏季うつの詳しいことはググっていただければと思いますが、これまで『聴くだけうつぬけ』(橋本翔太・著)から「うつ症状を軽くする方法」を「音楽」「心理」の面からご紹介してきました。

今日は最後の「栄養アプローチ」をご紹介します。

うつは心のアプローチだけでは治らない!

 うつから脱するには、心のアプローチだけでは足りません。心:体=50:50で体のアプローチは必須です。心の病は心のメソッドで治すのだと信じて、体をないがしろにしている人が多く、そのために長年うつ、心の不調から抜け出せない人がたくさんいます。心の専門家でさえ、心の病は心が原因で起こると信じている人がたくさんいます。私も大学院でそう学びました。
 しかし心の苦しみは、体、ホルモンバランスの不調からも起きます。それを精神論で乗り越えるのは無理です。本書では「分子整合栄養療法」をベースに、①血糖値の安定=心の安定、②うつを撃退する栄養素の摂取の2点を提案します。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』

うつをやっつけるには「心」を相手にするだけではダメなようです。「血糖値の安定」「うつを撃退する栄養素の摂取」の2点がポイントのようです。それぞれ詳しくみてみましょう。

血糖値の安定とメンタルの安定は密接にリンクしている

橋本さんは「血糖値の安定=心の安定」という法則を本書で詳しく説明しています。

◎血糖値が下がるとメンタルも落ちる
◎血糖値の乱高下で自律神経が乱れ、心を不安定にする。

いったいどういうことでしょうか。
まずは、血糖値と心の関係をおおまかにみていきましょう。

 食事を摂ると血糖値が上がります(正しくは糖質で血糖値があがります)。上がった血糖値はインスリンが分泌されることで、ゆるやかに下がり、3~4時間で空腹時とほぼ同じ数値になります。血糖値は、空腹時の数値よりも下がることはありません。これが健康で正常な状態です。
 ところが、糖質(お菓子・ご飯・パン・麺類・果物など)の摂りすぎや、ビタミンB群、鉄分、ミネラルなどの栄養素の不足で調整機能が低下すると、インスリン分泌のタイミングがずれるなどの様々な原因で、血糖値が下がりすぎてしまうことが起こります。血糖値が下がりすぎてしまっては人体の危機ですから、体は血糖値を上げるホルモンを分泌します。グルカゴン、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモンがその働きをします。
 この血糖値を上げるホルモンが、問題になります。
 アドレナリンは、興奮作用があり、不安感情を強くします。よって、血糖値を上げるために分泌されたアドレナリンの影響で、不安やイライラが強くなります。
 ノルアドレナリンは興奮作用だけではなく、やる気を起こすのにも必要なホルモンです。
 コルチゾールはストレスに対応するためにも使われます。
 しかし、これらのホルモンが血糖値を上げるために使われてしまうと、肝
心なときにホルモンが足りず、やる気が出ない、ストレスに対抗できないと
いった体になってしまうのです。
 つまり血糖値が下がりすぎてしまうことで、ホルモンバランスが乱れ、メンタル面に大きな問題が現れてくるのです。血糖値が高い状態が続いてしまう糖尿病とは違い、血糖値が下がりすぎてしまう状態。これを機能性低血糖症といいます。
 うつ症状がある方は、まずはこれを疑ってください。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』
イラストレーション:髙栁浩太郎

血糖値の乱高下がうつの原因だったとは驚きですね。

では、血糖値を上げないためにはどうすればいいのでしょうか?

血糖値を上げない食べ方

 これからご紹介する血糖値を安定させる工夫を実践することで、あなたの心を安定させていきましょう。血糖値を安定させるためには、まず血糖値が急上昇しない食べ方をする必要があります。
 では、血糖値を急に上げないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
 それは、糖質を制限することです。
 血糖値を上げるのは糖質だけです。よって糖質を減らすだけで、血糖値が
安定します。ただしその分、たんぱく質と脂質を補います。
 以下、心のための正しい糖質制限のやり方をご紹介します。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』

もはや、現代人の常識となりつつある「糖質制限」がここでも登場しました。炭水化物の食べ過ぎは体によくないだけではなく、心にもよくないようです。

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食べ方の順番を変える

 空腹時に、いきなり糖質の高いものから食べると、血糖値が跳ね上がります。よって、血糖値が上がりにくいものから食べていきます。例えば生姜焼き定食なら、サラダ(食物繊維)→味噌汁→生姜焼き→主食(ご飯)の順番にします。
 一口だけ食べるのではなく、サラダ一皿を先に食べます。給食のときに指導された「おかずも、ご飯も、汁物も、バランスよく食べる三角食べ」ですが、これは心の安定のための食べ方にはなりません。
 懐石料理やフレンチのコース料理のように食べてください。前菜、メインの魚肉、主食……という流れと同じです。お盆の上の定食を、コース風に食べましょう。主食(ご飯やパン)はいつでも最後に食べます。
 ただし、小食の方で、サラダやスープを食べているうちにお腹がいっぱいになってしまってメインの肉や魚にたどり着けない方は、肉や魚を優先して食べてください。
 たんぱく質の摂取が一番大切だからです。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』

「野菜から食べると太らない」

これなんかもそれなりに健康に関心の高い方であれば、もはや常識かもしれません。

「野菜だけ食べる」
「肉だけ食べる」
「ごはんだけ食べる」

こういう食べ方をすると「ばっかり食べはやめなさい」と親に叱られたものですが、心の安定のためにはぜんぜんオッケーなんです。

野菜⇒たんぱく質のメイン⇒白米

「ごはんは最後!」と覚えてください。

主食と甘いものを減らしてたんぱく質を増やす

 食べる順番に慣れてきたら、ご飯、パン、麺類など、主食を極力減らしていきましょう。ご飯は大盛りにしないことからはじめて、少しずつできるだけ減らしていきます。うどん、パスタ、ラーメンなども控え、少なくとも麺類やおにぎりだけの食事や、果物、スムージー、パンだけの朝食は控えましょう。
 果物やスムージーは健康によさそうですが、果糖も血糖値を跳ね上げます。まして、一番の空腹時である朝一番に口にしてしまうと、血糖値を乱し、不安やうつの原因になります。どうしても食べたい方は、食後に少量だけに切り替えましょう。
 そして甘いものはいったん絶つくらいのつもりになってください。
 では、減らした主食の分、何を増やすかというと、肉や魚、卵に大豆、つ
まりたんぱく質です。たんぱく質は、あなたのうつや心の不調を回復させる
ための必須栄養素なのです。心の安定に関係する神経伝達物質に、たんぱく
質は欠かせません。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』

私は甘いものはほとんど食べませんが、ラーメン、パスタの類がだいすきなので、これを絶つのはなかなかつらいものがありますが・・・たしかにラーメンばっかりとか、糖質メインの食事を続けるとメンタルもいまいちな気がしないでもありません。

イラストレーション:髙栁浩太郎

「食べ方」の続いて、では、どんな栄養素を摂ればよいのか、最後にみていきます。

うつを撃退する栄養素とは?

 血糖値の安定と並んで大切なのが、うつを撃退する栄養素を摂取することです。本書では次の3つに絞ってご紹介します。
 
①たんぱく質(分解されてアミノ酸になりますが、まとめてたんぱく質とします)
②鉄分(特に体が吸収しやすいヘム鉄を摂取します)
③ビタミンB群(ここではB1・B12のような詳細を省きB群としてまとめます)

 この3つが、うつを撃退するために必要なほとんどの神経伝達物質の原材料になります。
 例えば心の安定ホルモンの代表セロトニン。このセロトニンを自分の体に生成してもらうには「たんぱく質(アミノ酸)」「鉄分」「ビタミンB群」の栄養素が充分摂取されている必要があります。カレーを作りたいのに、人参や玉ねぎ、カレールーなどの材料がない空っぽのキッチンでは何も作れませんよね。それと同じです。
 一般的な抗うつ薬(SSRI, SNRI など)は、このセロトニンを再利用する薬です。減ってしまったセロトニンをリサイクルするのです。
 でも、もし体が新しいセロトニンを作れたら、そもそもセロトニン不足にならないはず。材料不足を補えば、本来は体がセロトニンを作ってくれるのです。
 やる気のもとになるノルアドレナリン、睡眠サポートのメラトニンなども、先の3つの栄養素が基本材料になります。
 現代の食事は、カロリーは充分足りています。しかし、心や脳のための栄
養素が足りないという、新しい栄養不足が起きているのです。
 この必要栄養素の補給には、サプリメントがおすすめです。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』

大事なポイントなので繰り返します。

メンタルを安定させる3つの栄養素は・・・

①たんぱく質
②鉄分
③ビタミンB群

・・・です。

なぜ、この3つが必要なのか。この3つが減るとどうなるのか。このあたりについては、いささか記事が長くなりましたので、ぜひ『聴くだけうつぬけ』をお読みいただけますと幸いです。


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