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上司と部下のマネジメントスタイルを決めるシンプルな方法

フォレスト出版編集部の寺崎です。

人を育成する、人材を育てるって、とても難しいことだなぁと最近痛感します。時間がかかるし、ときには面倒だし、ついつい「自由放任」という名の「ネグレクト(虐待)」をしがち。

いまちょうど編集作業を進めている佐藤優さんの1月新刊『したたかに生きろ。』のなかにもこんな一節が登場します。

他者を自分の思いどおりに動かすことは至難の業である。相手が従
っていても、腹の中で恨みを蓄積していて、機会を見て反撃してくる
かもしれない。部下の心情がデリケートであることを理解し、強圧的
姿勢を取らない人が最終的に出世し、世間からも尊敬される。
                       『ケンカの流儀』より

とりあえず、全部仕事を部下に放ってやらせてみる。

こういう昭和なスタイルでは、いまはなかなか人が育たないそうです。

そこで「権限移譲」をどうするか、です。

上司が部下に権限を委譲する、経営者が現場のリーダーに権限を委譲する……といった権限移譲が職場ではよくみられることですが、これとてなかなか難しいものです。

今日はこの「権限移譲」について、中尾隆一郎さんの新刊『現場が動くマネジメント』から探ってみたいと思います。

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権限移譲のよくある勘違い

 リーダーが現場の見える化を阻害することの1つに「誤った権限移譲」があります。
 それは、リーダーも権限移譲されたメンバーも双方ともに「権限移譲」を勘違いしているケースです。

勘違い❶
リーダーは、権限委譲したので、細かいことを聞いてはいけない。

勘違い❷
権限移譲されたメンバーは、権限移譲されたので、リーダーに報告せずに自由にやってよい。


 ちなみに、リーダーとメンバーのマネジメントスタイル(上司の関与の仕方)は「委任(権限移譲)」「援助」「コーチ」「指示」の主に4種類あります。
 最も大事なのは、業務単位でマネジメントスタイルを使い分けることです。大半の人が間違っているのは、「業務単位」ではなく、「人単位」でマネジメントスタイルを決めてしまっている点です。例えばこの人はベテランだから「委任」、この人は新人だから「指示」と、マネジメントスタイルを決めています。
 しかし、ベテラン社員でも初めて取り組む業務は、上司のアドバイスが必要です。
 逆に新人でも学生時代に経験した業務(例えばプログラミングなど)であれば、必ずしも「指示」はなくても大丈夫です。
 それを判別するためのツールが、図11に示す9BOX(ナインボックス)です。

 9BOXは、モチベーションとスキルの2軸のマトリックスです。
 横軸にモチベーション(やる気)を高中低で3分割し、縦軸にスキル(コンピテンシー・能力・経験)を高中低で3分割し、合計で9分割された図を準備します。
 9つの象限=箱=BOXなので9BOXと呼んでいます。
 この図を使って、上司とメンバーが、業務ごとに9BOXのどこに当てはまるのか確認します。
 例えば、メンバーが担当する主要業務について、上司とメンバーそれぞれが9BOXのどこに該当するのか事前に考え、持ち寄ります。
 そして、上司、メンバーが同時に9BOXの該当するBOXを指で指します。上司とメンバーが同じBOXを指させば、ミッションに対する認識が同じであることが分かります。BOXが異なる場合は、認識の差を確認し、すり合わせていきます。
 すり合わせる際に、一般的には、モチベーションの軸はメンバー本人の意見を、必要なスキルの軸は上司の意見を優先すると合意がとりやすいと思います。
 合意した9BOXにより、適切なマネジメントスタイルが分かります。

◎やる気を示す横軸は「高」だが、実行に必要な能力を示す縦軸が「低」の場合は「指示」

◎実行に必要な能力を示す縦軸が「中」であれば、横軸にかかわらず「コーチ」

◎縦軸が「高」で、横軸は「低」「中」の場合は「援助」

◎両軸とも「高」を示す場合、つまり本人にやる気もあり、必要な能力・経験も持っている場合は「委任」

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【今日のポイント】
①リーダーとメンバーのマネジメントスタイル(上司の関与の仕方)は「委任(権限移譲)」「援助」「コーチ」「指示」の4種類
②「人単位」ではなく「業務単位」でマネジメントスタイルを決める
③4つのマネジメントスタイルを判別するためのツールが、モチベーションとスキルの2軸のマトリックス「9BOX(ナインボックス)」

この4つのマネジメントスタイルという捉え方はとてもシンプルなので、すぐに仕事に役立てられるのではないでしょうか。

さて、部下とのマネジメントスタイルが決まりました。

では、実際にどうマネジメントしていくか?
それについては月曜日の投稿で改めてご紹介したいと思います。

なお、明日の10時から著者の中尾さん主催のオンライン読書会があります。第1回目は終了してしまいましたので、これが最後のチャンスです。参加費無料なので、ぜひご参加ください!

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