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夏の思い出

 酷暑である。と思えば、台風がやってき、九州などではまた災害となっているのだが、わたしが暮らす静岡県浜松市あたりでもその天候に右往左往する日々だ。
 そんな日々、暑さを避けるためにこどもを連れて行くところといえば、やはり涼しい川がいい。そしてできれば山間の、水のきれいなところがいい。というわけで、台風6号の影響が止んだ8月8日、こどもとその知り合いを連れて、川遊びと生き物捕りへ行ってきた。

 ここは小さな農村集落のなかを流れるどこにでもありそうな川なのだが、前職(県立森林公園の自然解説員というのをやっていました)の際に入ってみて驚いた。幅1~2メートルなのだが、澄んだ水が滔々と流れ、深みや浅瀬、淀みなんかがあって、サワガニはあふれるよう、ほかにもモクズガニやスジエビ、ミズカマキリにイシガメ、ドジョウやカワムツ、さまざまなヤゴなんかが棲んでいたのである。この日は若干、雨の影響か水が濁ってはいたけれど、さほど気にならず。こどもたちも網を持ってどんどん進んだ。


 浅瀬ではサワガニを探してみるが、あまりおらず。

 大人はこんな流れをいろんなものを味わいながらゆっくりゆっくり進むのだが、こどもはとにかくなにかを探し、捕まえたい。「おーい 待て待て」

 だんだん水も澄んできていい感じ。夏を堪能。

 こどもたちがかなり食いついたのはカエルだった。ここではすぐそばに田んぼがあったからかアマガエルがたくさん。素手では触れないようで、網を使って必死に捕まえる。なぜかカエルはこども(とくに男子?)に人気。

 ここまでメダカ、カワムツ(?)の幼魚、ヤゴ数種、スジエビ、サワガニを捕まえる。最初は自分たちで捕まえた獲物をバケツに入れて持っていたのだが、いつのまにかバケツはわたしが持つ羽目に。こどもらは捕まえることしか考えていない。

 流れの速い瀬があったり、こどもたちの腰以上ある淵があったり、淀みがあったり、こんな小さな川でもさまざまな微環境があり、そこには様々な生き物たちが暮らしていた。この日に捕ったのは、カワムツとその幼魚(大量)、スジエビ、サワガニ(子持ち)、ヤゴ(数種)、アマガエル・・。大人は捕れたものに興味津々だったのだけれど、こどもらは捕ったことに満足で、あとは急激に襲ってきた空腹にやられておりました。

 きれいな水が流れるのは上流にちゃんとした森があるからだし、いろいろな生き物が暮らしているのは、三面工法をしていない、さまざまな微環境のある川だからこそ、なんてことをつい言いたくなってしまいますが、この日はもちろん、そんなことは言わず(前職のときは言っていたけれど)。こどもたちのどこかにきれいな水と川の流れ、そしてそこに棲む生き物たちやまわりの緑の美しさなんかが刻み込まれれば、夏の思い出としては充分。
 暑い夏に冷たく澄んだ水の中に腰まで入り、いろいろな生物を採ったり見つけたりして、普段、なかなか使わない感覚を研いでほしい。それが、成長してからもきっとなにかに役立つはず、と最近のわたしは強く思っています。

 川から出てもこどもらは、空腹を忘れて水遊びでした。

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