子どもにとって公園とは?(公園の歴史と存在意義)

公園で元気よく走り回っている子どもたちの姿をみていると、子どもはどのような環境でも楽しめる遊びの天才だと感じます。

子どもにとって「公園」とは、言うまでもなく「遊び場」です。

しかし、どのような「遊び」が子どもたちにとっては良いのでしょうか。

一般社団法人日本公園施設業協会では、遊びの本質を次の4つに定義しています。

「自由な活動」
「自発的な活動」
「自己目的的な活動」
「楽しさや緊張感を伴う活動」

まさに公園では、これら4つを満たしてあげることができます。

そもそも「公園」という言葉は、明治初期につくられた新造語です。

日本で初めて「公園」という言葉が使われたのは1873年(明治6年)で、日本初の公園として、以下の5つの公園が指定されました。

・上野公園(東京都台東区)
・浅草公園(東京都台東区)
・芝公園(東京都港区)
・飛鳥山公園(東京都北区)
・深川公園(東京都江東区)

これらの公園に共通するのは、人が多く集まる景勝地または名所で、当時の政府は公園のことを「永く万人偕楽の地(いつまでも多くの人と共に楽しめる場所)」と表現しています。

つまり公園は、江戸時代の遺産でもあるわけです。

現代使われているブランコや鉄棒などの遊具は、もともとは軍隊の訓練目的に使われていたもので、徐々に教育現場(体操の授業)にも用いられるようになりました。

つまり遊具は、運動神経を鍛える目的で、体育用具から派生・進化してきたのです。

そして1956年(昭和31年)の「都市公園法」で、「児童公園にはすべて遊具を義務つける」とされました。

日本幼児体育学会会長の前橋明氏は、公園の遊具を使った遊びで伸ばせる力として、以下をあげています。

筋力・瞬発力・持久力・協応力・バランス感覚・すばやさ・器用さ・柔軟性・リズム感・スピード感覚・身体認識力・空間認知能力など

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私は子どもの頃、ブランコが好きでよく漕いでいたのですが・・

ブランコを漕ぐと三半規管が揺れるので、揺れの刺激(前庭感覚刺激)が、幼少期の私には楽しかったのでしょうね。

ジェットコースターなどの強い揺れ(強い前庭感覚刺激)は、脳を覚醒させる快感がありますが、ゆりかごなどの弱い刺激は脳を落ち着かせる刺激があります。

またそれぞれの遊具毎に、培われる力も異なってきます。

お子様と公園に行く際には、「この遊具で何が鍛えられているのか」「何が得意で何が苦手なのか」「なぜこの遊具が好きなのか」など意識しながら観察することで、新たな気づきにつながるかもしれません。

ブランコ:バランス感覚、様々な動作の調整力
滑り台:平衡感覚、外からの力に対応する能力、下半身の筋力
ジャングルジム:全身運動、考える力、空間認知能力
鉄棒:腕力、身体認識力、バランス感覚
砂場:協応性、器用さ
うんてい:全身の筋力、空間認識力

緊急事態宣言下で、子どもたちと旅行やイベントなどに行けなくなりましたが、「公園」という最高の遊び場所はどこにでもあります。

公園に連れて行き、あとは何もせずに見守っているだけで良いのです。公園で、子どもたちは本能のまま自由に、個性豊かな遊びをはじめます。

子どもの運動指導の研究を続けてきた杉原隆氏(東京学芸大学名誉教授)の調査によると、「幼稚園の保育時間で、決められた運動種目を指導されている子どもたちよりも、指導を受けずに自由に遊んでいる子どもたちの運動能力のほうが高い」ことがわかりました。

参考記事:遊びでアップ!運動能力

そして杉原隆氏は、「子どもの遊びで大切なこと」を次のように述べています。

「"遊び"は、大人が決めたり教えたりするものではなく、子どもたち自らが考え作り出していくもの。よく考えてみると、昔から子どもたちはそうやって遊び、成長してきたように思います。何もかも大人が決めてしまったら、やる気をなくし、何も決められない子どもになってしまうでしょう。」
「子どもは自分で考える力もある、道を切り開いていく力もある。私たちは、もう少し子どもの遊びの力を信じ、彼らがその力を思いきり発揮できるように支援していけばいいのではないでしょうか。」

港助産院 城野

http://www.minato-josan.jp

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