見出し画像

健全なプレッシャーと不健全なプレッシャー

こんにちは。

前回は、部下にプレッシャーをかけるのは良くないことなのか?ということについてお伝えしました。

今回はプレッシャーのかけ方の「コツ」
かけていいプレッシャーと、絶対かけてはいけないプレッシャーについてお伝えします。


アナ雪だってプレッシャーから生まれた

突然ですが、皆さんトイ・ストーリー見ました?
ファインディング・ニモやMRインクレディブルは??

これらの世界が涙する名作を生み出したのは、ご存知”ピクサー”ですが、

実はこれらの名作を生み出すために、ピクサーが行う会議が、とんでもない熾烈さで有名なことはご存知ですか?


映画制作は、公開のタイムリミットがあります。そして、制作が長引けばコストがかかります。限られた時間と予算の中で、世界が期待するピクサー・クオリティを出すための一番の肝が「ブレイン・トラスト」と呼ばれる進捗確認会議です。


この会議には、CEOなどの経営陣や、映画の監督や制作陣も毎回参加し、主に映画の「ストーリー」について、現時点での成否を率直かつ熾烈に話し合います。

会議の参加者は、役職や立場に関係なく、誰でも率直に意見やフィードバックを行うことができます。そして、監督はじめ製作陣は、フィードバックを真剣に聞くことを求められますが、出されたアイデアを受け入れるかどうかは、CEOではなく監督(現場)の判断に委ねられるという決まりがあります。

このブレイン・トラストの感想を「アナと雪の女王」の監督であるクリス・バックはこのように語っています。

「ミーティングが終わるとぐったり疲れ切っている時もあります。でも結局何をすべきか、どこに向かうべきか、わからないままといったことは絶対にありません。」

クリス・バック アナと雪の女王監督
※ちなみにアナ雪はディズニーの作品ですが、ディズニーはピクサーを2006年に買収し、
ピクサーから良い作品づくりのノウハウを吸収しています。

Story is King

なぜピクサーの製作陣はこのようなプレッシャーに耐えられるのでしょうか?

それは、ピクサーの理念が

Story is King(全ては物語を伝えるため)

だからです。


ピクサーの社員はみんなアニメーションが大好きで、人生をアニメに捧げています。

ブレイン・トラストは彼らの存在理由である「素晴らしいStory」を徹底的に
磨き上げる最重要な場なのです。ピクサーがピクサーであるためには、ストーリーを妥協することは絶対に許されません。

そのことを従業員はみんな理解しているので、このプレッシャーは必要なプレッシャーであると合意されているのです。

健全なプレッシャーとは?

プレッシャーには健全なプレッシャーと不健全なプレッシャーがあります。


健全なプレッシャーは、理念や目標に紐づいています。
また、目標を達成するためのルールや仕組み、仕事の質などもそうです。

ですので、コモンパーパスや目標、そこに紐づくルールや仕事の質に対して、メンバーが相応しくない行動をとった時にはリーダーは見過ごすべきではありません。しっかりとプレッシャーをかけるのが健全な姿です。


では不健全なプレッシャーとはなんでしょう??


不健全なプレッシャーとは?

不健全なプレッシャー、それは、上司の心の中だけに秘めらている個人的な理想や基準に部下が反したと時に与えられるプレッシャーです。

ルールや基準が事前に明示されていないので、非常にフェアではありません。後出しジャンケンで怒られることほど、人を不愉快にさせることはありません。


明示されたルールや基準ではないリーダーの個人的でしかない基準でプレッシャーをかけられてしまうと、部下は何を信じていいかわからなくなり、

結果、怒られないために、あなたの顔色を見ることに全てのエネルギーを費やす保身部下が量産され、あなたもポンコツ量産機のダメマネージャーと烙印を押されることになります。


また、どこがコモンパーパスや目標に紐づいているか説明できないルールを「決まり事だから」とプレッシャーをかけるのも感心しません。


説明できないようなルールや仕組みは、形骸化している可能性もあります。残念なことですが、上に聞いても「決まりだから」で片付けられるようなルールも会社にはあるでしょう。


そして、自分はそんなルールを変えたくても、権限がないため、不本意だけど、守らねばならないというシチュエーションもあるでしょう。

そんな時はクソ真面目になりすぎず、適当にあしらうのも一つです。

目標達成の役に立たず、遵守をしいることによって自分が部下から悪者にされるだけのルールはやり過ごせる要領の良さも時には必要です。


日常に規範を示す

いずれにしろ、健全なプレッシャーは、理念、コモンパーパス、目標に紐づくルールや基準、品質から生まれます。

これらは日常の中で、部下に基準を明示し、反した部下がいる場合は、リーダーとして妥協することなく、適切にプレッシャーをかける必要があります。

Story is Kingやブレイン・トラストも最初から浸透していたわけではありません。ピクサーの創業社長である、エド・キャットムルが時間をかけて積み重ねた産物であることが、彼の著書を読むと伝わってきます。


では、リーダーは常に監視を続けなければならないのでしょうか。

リーダーが基準を示し続けることで、基準が浸透し、コモンパーパスに相応しくない行動に対して、メンバー同士の主体的な責任感から自然発生的に相互にプレッシャーが生まれます。

その瞬間が、明示された「ルール」が不文律の「カルチャー」に進化し、あなたのチームのStory is Kingが生まれた瞬間であり、あなたの監視は卒業を迎えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?