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Tくん と やまもの一日

どうも、主任やまもです。

幼稚園教諭をしたり、大学で講義をしたり、主任やまもの園内研修室を運営したりしています。


先日、年少組の園児が外遊びから園内に戻らないとごねる姿がありました。

今日はその対応について、こうやってみたよ。という話と考え方を書いてみます。なかなか見ない実践かと思います。


逆のことを言うTくん

年少組のTくんは、普段から逆のことを言います。

朝は園に行かないと母に抱かれて泣き、帰りは家に帰らないと言う。

外遊びに行かないと保育室で動かなくなり、外に出ると保育室に戻らないと砂場から出てこない。

こんな子いますか?


いるんですよ。

いますよね。

というか、「こんな子もいるよね」と受け入れられるかどうかが、まず保育者としてのセンスだと思います。

話が逸れるので、そこの深掘りはまたします。



Tくん。どうしましょう。

1学期からそのような状態であり、気分を乗せ、手伝えるところは先生たちが妥協してやってきたようです。お疲れ様です。


先日もクラスのみんなは園庭から保育室に戻ったのに、Tくんは戻らないと園庭から動く気はありません。

その日は私の手が空いていた(基本空いている)ので、Tくんを置いていけず園庭に残っていた担任を保育室に戻し、Tくんと私の一騎打ちを始めました。


「クラスのみんなも先生もいなくなったら、Tくんはどうするのか」


泣いて保育室に行くのか、一人でも遊び続けるのか。

気になりません?

というか、その後の行動によってTくんの心や発達まで分かると私は考えます。

そのあたりは後述し、まずはTくんの姿を書きますね。


Tくんと私

一人になったTくんですが、すぐに助け舟がきます。

年長組の園児が外遊びに出てきたのです。私にとっては誤算です。

年長組が遊び始めたので、Tくんは自分のクラスの子がいなくても普通に遊び始めてしまいました。

「くっそ。私が試してるのになんで出てきて邪魔するの!?ほんと年長組の担任わかってない!!状況読めや!!」

とは、なりません。

年長組の子にも年長担任にも保育がありますのでね。

ただ、一騎打ちではなくなりました。

どうするか。


「まあ、じゃあ遊ぶか」とTくんと私と年長組で遊びました。

年長組が遊んでいるタイミングで「保育室に戻ろうよ」と言ったって聞かないでしょう。それができるなら担任は困らない。


そして、年長組が遊び終わるまでTくんも遊びました。

いよいよ年長組も保育室に戻ります。

年長組の担任もTくんに一緒にご飯食べる?と粋な声かけをしますが、Tくんには届かず。年長組も退場です。



ついにきました。一騎打ちです。

「部屋に戻る時に声をかけてね」とだけTくんに伝え、私は芝生の雑草を抜きます。

Tくんはどうしたか。


どうしたと思います?

つまらなさそうにベンチに座っています。

あとは、こちらを見て!と言わんばかりにおもちゃをあれこれ散らかします。私は無反応です。


そんな時間が続き、そろそろ根負けして「お部屋に戻る」と言うのではないかと淡い期待を持ったその時、、、

なんと今度は年中組が外で遊ぼうと玄関に来たではありませんか。


これではさっきと同じ展開にしかならない!

そう直感で感じた私は、Tくんの根負けを今日は諦めます。

「今日のTくんの外遊びの時間は終わりました。」

シンプルな声かけで玄関に連れていきます。

もちろん納得しないTくん。

ですが、年中組が遊びだす前に今は対応せねば。と不本意ながら玄関までお連れします。

ここから玄関でもう一勝負です。

「Tくんの今日の外遊びの時間は終わっちゃったけれど、あとは何しますか?」

私から質問をし、あとは黙って待ちます。

中のおもちゃで遊ぶ、ご飯を食べる、絵本を読む、ホールで遊ぶ…

正直、なんと言っても叶えてあげようと思っていました。

でもTくんの答えは黙。年少なら仕方ないかな。

「え、先生が決めていいの?」と聞くと「うん」と。

「じゃあ、ご飯食べますか」に頷くTくん。


しかし、そこからまた動きません。

外靴を履いて座ったまま。

私は自分が上靴に履き替え、しゃがんで待ちます。

声はかけません。目も合わせません。

「早くいこう。先に行っちゃおうかな。ご飯なんだろうね。」なども言いません。

散々担任たちが言ってきたでしょう。そして今の現状なのでしょう。

なので、今日はだんまり。その時のTくんがどうするかです。


Tくんは目を合わせない私に靴をバンバン鳴らします。

私は見ません。しゃがんで目線の高さは合わせていますが、あっちを見ています。(もちろん視界にTくんを入れています)

そうしていると、靴で気を引くことが私に対して無意味だと悟り、靴を脱ぎ始めます。おそるおそる脱ぎます。



お、いいぞ。何か調子のつく言葉でもかけようかと思いました。が、

「ここで声をかけるのはダメです。」

私の直感がその時は言っていました。

まだ待て、と。

おそらくそこで声をかけると、またTくんがだらんと動かなくなってしまうタイミングだったのですね。

私は決めました。

外靴を靴箱に入れるまでは、目を合わせないで待つ。

Tくんは私のそんな姿に見かねて?立ち上がり外靴を靴箱に入れました。


そこで、すかさずTくんに手を差し伸べます。Tくんは手を繋ぎます。

そして、目を合わせて「おかえり」と声をかけました。



ここからは対応に失敗したので手短に話します。

クラスに戻ると、結局いつもの姿に戻ってしまいます。

寝っ転がって「給食食べよう。今日のからあげ美味しかったよ。手を洗っておいで。一緒に行こう。スモックどうぞ。」の全ての言葉に反応せず。

そして、そのまま床で眠りました。

食後に毎日寝てしまうそうですが、この日は食べる前に寝ました。

外の時間も長かったので、疲れたでしょう。

でも、これは失敗です。

あのタイミングでクラスに戻さない方が良かったかなと思っています。



考察…?

大変な長文になってしまいました。

状況が分かりましたか?


考察は次回にします。

みなさんも考察してみてください。


ポイントは3点

1.Tくんの心や発達をどう見るか

2.この日の対応は有効なのか

3.これからどう対応をしていくのがいいか


また次回お会いしましょう。


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