![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93915620/rectangle_large_type_2_7da66586a69042a7837ca6a72817093b.png?width=1200)
Photo by
pianoman3sasagu
執念第一『#毎週ショートショートnote』
駅の改札前でナナは悟が帰ってくるのを待っている。
上から落ちてくる白いフワフワがキレイで、上を見上げるとフワフワが目に入ってビックリした。
体に積もるフワフワを払いながら体を丸め、悟の帰りを待つ。
悟は帰ってこない。
落ちてくるフワフワが増えてきた。キレイと思っていたフワフワが視界を遮り、体をより丸めさせる。
悟は帰ってこない。
周りの誰かたちがナナのことを見ながら帰っていく。
ナナに近づこうとする誰かもいたが、ナナはそっぽを向いた。
悟は帰ってこない。
フワフワは増えるが、周りの誰かたちはどんどん減っていく。
絶対帰らない。ナナは悟の帰りを待つ。
「ナナ!?なんでここに?」
悟がナナの元へ駆け寄ると、ナナの足元に傘がある。
「ナナ、届けてくれたのか?」
「ワン!」
「体こんなに冷たくして、ありがとう」
悟に撫でられナナはしっぽを激しく振っている。
途中何回もいい匂いにつられそうになったけど、我慢してよかった。
ナナの執念が実った瞬間だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?