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苦境打破へ クラブ・レオン、試練の時

創設80周年のクラブが苦しんでいる。
メキシコ中部グアナファト州レオン市に本拠地を構えるクラブ・レオン。
昨年、クラブW杯で浦和レッズとも対戦した、メキシコ国内屈指の名門クラブだ。
クラブの節目の年となる今シーズン。ここまで、リーグ戦、リーグスカップ(MLSとのカップ戦)計10試合で勝ちがない。今シーズン未だに勝ちがないのは、国内1部クラブでレオンのみとなった。
今、名門クラブに何が起きているのか、クラブの状況を分析してみた。


特徴的な戦力構成

レオンは、長い歴史を持つ名門クラブではあるが、クラブ・アメリカやモンテレイのような財力のあるクラブとは言い難い。

クラブの市場価値を表したデータでは、国内15位。
シーズン開幕前は、10位前後であった。

この状況で特徴的なのが、下部組織出身選手の多さである。
現在、28人中8人がレオンの下部組織出身。
また、クラブの外国人選手にも特徴がある。
レオン以外のメキシコクラブの在籍経験を持つ外国籍選手は、9人中わずか1人。
つまり、半分以上の選手が、育成などを通して、レオン独自のルートで獲得されたのだ。

さらに、オフシーズンは、名門クラブ(アメリカ、チーバス、モンテレイ、プーマスなど)と比較しても、選手獲得の動きが少なかったレオン。
国内からの主な新加入選手は、トルーカからマウリシオ、アメリカからレジェスとヒメネス。
マウリシオは、レオンでプレーデビューした選手で古巣復帰となった。アメリカからの両選手は、2対2のトレードのような形で加入した。この状況から見ても、オフシーズンの積極的な動きは、少なかったと言える。
レオンは、新たな海外選手の活躍と、若手の台頭に期待を込めた、そんな狙いも見えた戦力でシーズン開幕を迎えた。

しかし、ふたを開けてみると、0勝5敗5引き分け。
それは、活発な移籍市場が影響していた。

相次ぐ主力の移籍

この1年間、レオンの戦力で特に目立ったのが、主力選手の流出。
昨年のクラブW杯浦和戦の先発メンバー11人のうち、7人が他のチームに移籍をした。
この中には、以前、浦和戦の前に、別の記事で取り上げた ”レオンの注目選手3人” GK コタ、MF メナ、FW ビニャスも含まれている。
(その記事はこちらから)

移籍市場が活発なメキシコで、多くの選手が入れ替わることは、他クラブにも起こり得るが、核となる選手が3人が移籍したことは、クラブにとって大きな痛手だろう。
こうした状況については、今シーズン開幕前から懸念されていた。

"A tres semanas de comenzar el Apertura 2024, el conjunto esmeralda sigue en construcción, y es que Jorge Bava ha dejado en claro que buscará a un León renovado y joven."
「2024アペルトゥーラ開幕を3週間後に控えている中、チームはまだ構築中である。ホルヘ・ババ監督も、チームの若返りと新たなチーム作りを進めていることを明言している。」

https://amp.milenio.com/futbol/liga-mx/club-leon-apuesta-plantilla-joven-apertura-2024

この記事は、ホルヘ監督が就任してから、チームの若返りによる底上げを目指していたことに言及。
そして、主力選手の移籍にも触れた。

"Tras querer un León renovado, se realizaron bajas importantes de jugadores que tuvieron que dejar la institución, tal fue el caso de Elías Hernández, Willian Tesillo, Rodolfo Cota y Ángel Mena, quienes ya venían varios años con el Club."
「”新しいレオン”を目指した矢先、数年間チームに在籍したエリアス・ヘルナンデス、ウィリアン・テシ―ジョ、ロドンフォ・コタ、アンヘル・メナがチームを去ったことが非常に大きな損失となった。」

相次いだ主力選手の移籍。これが、今シーズンのレオンを苦しめているのだ。

ユースから昇格した若手選手
メキシコはトップチームに参加したら、このような髪型をするのが恒例行事だと言う

新監督の就任

リーグ開幕後の3試合で勝てず、MLSとのカップ戦「リーグスカップ」でも結果を残すことができなかったレオンは、ホルヘ監督が解任された。

新たな指揮官として招聘されたのは、エドゥアルド・ベリッソ氏。
アルゼンチン人の54歳は、現役引退後、スペインのセビージャやビルバオといったクラブチームだけでなく、チリ代表、パラグアイ代表の監督を務めた。
経験豊富な指揮官に大きな期待がかかる。

ベリッソ監督は就任後、レオンの現状をこのように言及した。

"Debemos haver un esfuerzo por elevar el nivel del equipo a partir de elevar el nivel individual."
「個々のレベルを上げることで、チーム全体のレベルを上げていかなければいけません。」
"Confío en que entre todos podemos hacer un León competitivo."
「我々は、力を合わせ競争力のあるレオンを作り上げることができると信じています。」

https://paginacentral.com.mx/hay-que-mejorar-el-nivel-individual-pide-toto-berizzo/

また、ベリッソ監督は、ファン、サポーター、クラブ全体の団結の重要性を強調した。

"Más está decirles que necesitamos el apoyo de todos, de la afició, del primer empleaado del club hasta el último jugador hay que estar unidos, pensar en positivo, hacer que esto funcione con una energía buena."
「最も彼らに伝えたいのは、我々は、ファン、スタッフから選手まで、全てのサポートを必要としています。我々は団結し、前向きに、良いエネルギーでこの仕事を進めなければなりません。」

https://fieramania.mx/noticia/el-mensaje-de-eduardo-berizzo-a-la-aficion-del-club-leon
監督に就任したベリッソ氏

ベリッソ氏の監督就任を受けて、ファンも前を向いている。

"¿Va a mojorar el León con Berizzo?
Seguramente sí ¿Cuándo ocurrirá esto? No será pronto, y por lo tanto, los aficionados leoneses deberán tomar una buena dosis de paciencia para lo que se viene en el resto del torneo."
「レオンはベリッソ監督の下で成長できるだろうか?
間違いなくそうなります。ではそれはいつ?すぐにではないでしょう。何が起こるか分からないリーグ戦を、十分な忍耐力を持ち、見ていかなければなりません。」

https://www.soyfiera.com/losexpertos/2024/09/19/mejorara-el-leon-con-berizzo-seguramente-si-cuando-no-sera-pronto-20872.html

クラブ創立80年目は、大きな試練を迎え、我慢の戦いが続く。
来年2025年には、クラブW杯の出場も控えるレオン。
大舞台で結果を出すためにも、厳しい現状を乗り越えたいところだ。
新指揮官が求める団結力で、まずは、今シーズン初勝利を目指す。

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