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テゲバジャーロ分析 #7

3連敗でアウェイ岐阜戦に挑む宮崎。連敗だけでなく、得点もここ3試合得ることができていない。不安要素からくる負の雰囲気を脱するためにも勝利は必須。

対する岐阜は、前節は敗れたものの4試合負けなしもあり昇格も十分に狙える位置にいる。ひとつづつ勝ちを重ねていく中で、どこかのタイミングで自動昇格圏に入ることもできるため今節は勝利し、また好調を取り戻していきたい。

前節の分析はこちらから↓


前半

宮崎はスタートから山崎が先発起用。この変化が影響をもたらすだろうか。

守備の体勢と岐阜の切り口

宮崎は序盤は守備に回る時間が多い。前プレ時は蹴らせて回収という形が多くなっている。岐阜が蹴ってきているだけとも考えられるが効果的なプレスを施行できている。詰める距離と限定する方向が良いため、相手を苦しめさせているような印象を持つことができる。また、後方のラインアップもしっかりしておりコンパクトさの維持が継続できている。最終ラインは蹴られた際のダウンもちゃんと取り組み対応する。相手の攻撃を封じれているような感じだ。

岐阜はつなぐことが少なく保持時に放り込むことがほとんどで、ビルドアップを省略しロングを多用して押し込みサイドアタックへ持ち込もうとしている。起点をサイドにしそこからリズムよく崩しへ繋いでいく。良いリズムで侵入・クロスまでいきシュートを撃つという流れが定石なのか。

また、ミドルサードからも長めのボールで押し込むこともあり、ハーフスペースでの保持からポケット周辺に入れることが多く相手のブロックの背後に一発で入れる形へ。こういうシンプルな形でチャンスを作るという意識はどのエリアでも不変なものである。
敵陣で持てている中でひとつの攻撃の形として、フリックで深く(サイド深くも)へ侵入するという形も見られた。タテパスを入れることでスイッチを入れて受け手はワンタッチで捌く。相手もついていけないようなスピードの変化があるので侵入するには良いツールになっている。しかし、そこからシュートまで持っていけるかはまた別の問題であるが…。
サイドからの崩しで枚数をかけて…というのは少なく、クロスをニアに狙って素早くスピードボールを入れることが多い。触られないくらいの速いボールを入れ込んでくる。

もうひとつの岐阜の攻撃の形として、ターゲットにンドカがいる。前線で張って受けることもあれば、サイドに流れて受けることもある。はたまた、ライン間に降りて受けることもある。いろいろな形でボールを引き出したり、関わろうとする場面が印象的だった。前線に放られたボールに対する意識や攻撃へ繋げようとする気持ちが見える。自分自身の役割を確立できている。しかも今シーズンはある程度結果も残せているので、ここからの飛躍に期待できそうだ。

「不安残る前進」へのアプローチ

宮崎の攻撃に関しては、前節での不安もある中でビルドアップへは取り組みながらリスクを負いすぎないようにする意識が感じられた。持ちすぎないことを意識的にやっているような印象で、早い段階でボールを離したりタテパスを通して侵入を円滑にしている。そのための選手間の距離や離すタイミングの伺い・準備は良い。保持時に窮屈にされたとしてもリスクを負わずにロングを放って敵陣に入れる。相手ボールになったとしても前プレの再開から回収しようという動きになる。繋げないなら一度相手に渡して再回収へ…という形だろうか。

さらに、ミドルサードでは相手もコンパクトな陣形から寄せてくるがここで引き付くのでスペースへ展開できる。実際にスペースへの展開ができているシーンも今までより多くあった。引き付けてリリースを全体的に取り組めている中で前進や揺さぶりからのサイドアタックへ繋げたりと、ファイナルサードへの移行がスムーズになっている。
スペースへの展開やサイドチェンジも多く見られダイナミックな攻撃・オープンな展開にも取り組めており、前節のようにハイプレスに苦戦し自陣で停滞する or 慌てて放ってロスト するような形も少ない。チャンスへの期待と数も多い。

ただ、岐阜の守備もあまりはっきりしていない印象で、前プレの詰めも甘く簡単に剥がされたりマーク(ホルダー)への厳しさがない。そのため、相手との距離が空きすぎて自由にもたれ自由に展開されている。
意味のなさないような前プレならブロックで引き込ませてからの奪取でも良いのでは。それをやりたくないならプレスの掛け方と狙いの設定をはっきりさせる必要がある。形だけのハイプレスは守備の破綻である。


中盤に入っていくと宮崎ペースで試合は進みチャンスもさらに増加していった。シュートを撃つ回数も増えていった。

チャンスへ向かう中で先発起用された山崎の仕掛けやタテへの速さを出すことができている。ドリブル(Regate)を活かすことができるプレイヤーがいることが攻撃の鋭さを生み出している。その雰囲気が伝播しチームの全体的な攻撃への厚みも生まれてくる。
攻撃時の枚数や厚み・工夫も見えてきて、スピーディーな侵入からゴール前のバイタルへという形が多い。さらに、スルーやワンツーというアクセントで崩しシュートの難易度を低くしようと試みる。あとはワンテンポ早くシュートを撃てれば…というところか。
厚みに関しては、北村(椋)のオーバーラップが印象的であった。ゴールへの迫力の加担になっており、ホルダーに対するサポートやスペースへの飛び込みが見られた。相手にとってもいきなり飛び込んでくるプレイヤーに対しての管理が難しく対応しにくいため、攻撃への参加はやはり有効である。

宮崎の守備も安定を維持しておりスタイルは変わらず。押し込まれる中でもブロックを組んで堅く守る。ライン間に入れられたとしても枚数を繰り出して対応し、飛び込まずに冷静に対処する。ボールを見ながらストップすることを一番にして対応する。
もし、ゴール前まで攻め込まられチャンスを作られたとしてもシュートをゴールに飛ばさせずコースを切る・飛び込まないを徹底し死守する。無闇にボールに飛び込み交わされては、ゴール前だけでなくあらゆる守備の場面で意味がなくなってしまう。このゴール前ではゴールへのコースを切ることとGKの視線を遮らないくらいの対応をすべき。

一方で岐阜は、一貫してロングを放って押し込む形を続けるがチャンスになる回数はまばら。チャンスのためにというよりかは、前プレを脱するための手段になっているように見えてしまう。そして、その後ロストしたとしても前プレはかからず前進・保持を許してしまう。結局ただ失っただけになってしまっている。

ビルドアップに関しても自陣で引っかかってしまうことが多く、スムーズな前進が行えていない。1,2枚剥がせるだけでも良い形に持っていけるのだがそこまでに至らないという現実。関わり方や距離感などのポジショニング、タッチ数の工夫が求められる。

宮崎が優勢に試合を進めるもチャンスを決めきれないことが続き、岐阜はチャンスを作れないという状況。そのまま0-0で前半を終える。

後半

保持時の変化

後半も序盤から宮崎が保持する時間が長い。下から繋ぎながらチャンスを伺う。
しかし、欲が出始めてしまったのか、低い位置でロストするシーンが見受けられた。安全に逃がすことができていた前半に比べ、余裕を勘違いしてリスクを負ったプレーにチャンレンジしてしまったのか。圧力をかけられ一定のゾーンで数的不利にされているなら長めのボールで脱することが安全に思える。失ってもそこからプレスを再開すれば良いという流れは前半からあるが…。

繋ぎの部分でチャレンジすることは良いことではあるが、状況や場面に応じてそのチャレンジが不適切になることもある。サッカーは状況が変わっていくので、どういう時にどういうプレーをすべきなのかを考えながらプレーする必要がある。判断が難しい時もあるが、相手の方が優位に見える時は無理なプレーは避けたい。そういった感じでケーススタディを身につけることが大事になる。選手だけでなく指導者も同じように。

というミスがあった中で、それ以降は無理に繋ぐことはなくなっていった。GKからは繋がずに放ることが多くなり、簡単に前線に入れて押し込む・収めるを重要視し、実際にマイボールにできることが多くなっていった。サイドに放る際はほとんどが左サイドだった。
先ほどのミスはGKから繋いでのミスだったので、そこを修正していった感じか。

ビルドアップや自陣からのポゼッションはトップや前線サイドを出口にし、収まればサイド起点にしてここから仕掛けへ持っていく。サイドでは出し入れや連携で繋ぐか保持からスペースへ抜け出す。これでチャンスへ向かうか、高い位置でのファウルを受けてセットプレーからゴールへの期待が高まる。
関わりや連携・崩しの質は高められている。ポゼッションサッカーを志向する中で良い傾向がみられる。持ち味をしっかり発揮できている。
しかし、チャンスメイクの数が多い割にはシュートを撃てない、撃てても期待値が低い。

岐阜のコンセプトは?

後半もやり方自体は変わっていない岐阜。
ただ、変化があるとすればサイドで持つ時間を作り、そこから枚数をかけた攻撃を開始している。ポケットへの侵入を狙うことが増え、ポケットへの侵入後は素早く中へ入れる。シュートやゴール前への意識が高まっている。
ミドルサードからの攻撃でもサイドの深い位置へ入れるシーンは多くなっていて、相手の高いラインをひっくり返してチャンスへ。

前半からの狙い目は変わっていないが、ファイナルサードへ侵入するためのアプローチやそこでの枚数をかけることは意識的に変化している。FKでもファーのスペースへ入れている。スペースを突くことは共通認識としてある。
しかし、シュートで終えることやクロスを上げきる(折り返す)ことは不十分で精彩を欠いているよう。

敵陣侵入しブロックに対しては揺さぶりからどこかで引き出しボックス内で勝負に出る。連携や細かい繋ぎを活用しながら。
また、外回りからサイドへの仕掛けに持っていきたいというのも感じ取れる。が、出しどころがなくコースも切られていると最終ラインまで戻してやり直しになる。タテパスを出そうとしても遮断されたりカットされたりで有効的なパスも少なくなる。パスを出せないと孤立することもほとんどなのでどちらにしても苦しい。サポートや判断が重要になる…。

宮崎はウラのスペースを突かれ続けている。高いラインを保てているが、その背後のスペースのケアをはっきりさせる必要がありそうだ。または、中盤でのホルダーへの寄せをはっきりし供給されるボールの自由度を下げさせたい。この時に出るなら出るでチャレカバを必ずつける。ボールへのチャレンジ(限定・コース切り)とマークの監視を。

ミドルサードではインターセプトや相手の触らせずにマイボールにしようというプレーも見えていたり、停滞させてから奪取のタイミングを伺うなど安定感は出てきているようにも感じられる。

終盤

お互いに深い位置まで入り込めるシーンは多いものの、決定機は作れていない。そのため、どこか退屈さを感じるような展開が続いてしまう。

終盤になってひとつやふたつのチャンスが岐阜に生まれるもネットを揺らすことはできない。

結局0-0のスコアレスドローに終わる。

総括

宮崎としては、連敗を止めたことや上位から勝ち点を得ることができたのは大きなこと。チャンスも最近の試合より多く作れており、そこに至るまでのアプローチや流れは良くなっている。ただ、ゴールを奪えなかったことは深く受け止めなければならない。これで4試合無得点になってしまった。
最後の精度やシュートを決め切るための気持ちが必要。我慢が続く。

次節は松本戦。
勝機はある。コンセプトを変えずにチャンスメイクを続け、ゴールを奪うことから。そろそろ勝利を掴み上位進出への名乗りを上げたい。
上との差が少ないが下との差も意外にも少ない。危機感と上位への勢いを出しながら。

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