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テゲバジャーロ分析

ある日、Twitterでテゲバの試合が面白いと見かけたので見てみることにしました。J3はあまり見ないのでこれを機にたくさん見てみるためにもやってみたかった企画です。
※この分析記事は前節分のものとなっておりますので、ご了承ください。また、最新の試合版も投稿予定ですのでそちらも是非チェックしてください。

現在(第18節終了時点)、テゲバジャーロ宮崎はJ3リーグ15位。直近5試合で、1勝2分2敗とイマイチな結果。ただ、J3は参入3年目とまだ若いチームでチャレンジしているチーム。石津選手や山崎選手といった経験がある選手も多く、ガンバ出身の南野選手など若手の選手も多い。

という宮崎の試合を早速見てみる。
最近の試合をチェックすることにし、アウェイ讃岐戦を見ていきます。今何を取り組んでいるかを探ります。


前半

システムの確認

宮崎の基本システムは4-4-2。もちろん、攻守において可変はあります。特に攻撃時はかなり変化がありました。
下の図のような形がイメージとなります。図の左上にあるように要点をまとめています。これについて解説していきます。
まず、ビルドアップ時は最終ラインは3枚ぎみのイメージで、右SBは高さをとって幅も担保します。逆サイドは左SHが張っています。こうして両サイドの幅を保ちます。プラスして、両サイドにおいて同レーンに2人いることを避けているようで、常に前後で角度をつけているようでした。SBとSHがタテ位置で被らないようにしている。しかし、右サイドはSBのみがいることがほとんどです。
前線に目を向けると、2トップはタテ関係な感じで、1枚は頂点で留まります。もう一枚は落ちて中盤の厚みに関与します。中盤はCH,右SH,FWで枚数をかけます。こうして多くのコースを持てます。また、中のポジションチェンジにより、マークをずらすことができます。
全体の動きをみると、ポジショナルプレーへの取り組みが明確に出ています。流動性が多いというのも関わっているでしょう。

攻撃時のイメージ
※オレンジ:宮崎  ブルー:讃岐

では、具体的にどのような試合運びをしているのかを紐解いていきましょう。

ビルドアップ

組み立ては先程の説明のような形なのですが、WCHのうち一枚(⑮内薗選手)がアンカーぎみになって受ける回数が多くありました。こうして、CB+アンカーで開始します。ビルドアップ時の可変は多くあり、4-4-2から2-3-2-3や3-2-2-3への変化が主体となっています。
プレスをかけられても簡単に放ることは少なく、繋いで前進することにチャレンジしている印象でした。そうでないと、ポジショナルプレーの意味や立ち位置等を工夫する意味がなくなってしまいますからね。果敢に繋いでプレスをはがして…と良い流れが生まれていました。

ビルドアップ時のイメージ


後方での保持から次はサイドへ散らします。右サイドへの展開がほとんどで、ファーストチョイスとして右サイドで崩そうという意識が見えます。しかし、右から左へ展開することももちろんありました。サイドで持った時には、ホルダーに中盤の複数のプレイヤーが絡んで崩しに関与していました。ボールサイドに枚数をかけます。流動性やポジションチェンジを経て関わりを増やします。関わった際には、テンポや連動、展開のイメージが合致しているように見えました。
サイドを変えて攻めることはあるのですが、ほとんどは同サイドでの崩しで、ポケット(深さ)をFWや右SHがとってクロスや数的優位にしたり…。単純なクロスも多くありましたが、前半ではあまり決定機にはなっていなく、崩しもチャンスには繋がっていないような感じでした。このサイドからの崩しにアクセントや工夫が加わってくると得点力がUPしたり、攻撃力が上昇していくように考えられます。

守備

守備に関しては、4-4-2のゾーンディフェンスです。ゾーン2より自陣側では、一人一人が自分のマークにボールが出たら強くいくという手法で守っています。敵陣ではセットすることと前プレをかけることを併用していて、状況によって使い分けているようです。
セットしている時は安定して守れていますが、被カウンター時は危険があります。どこのクラブもそうですがなんとか封じたい。または、攻撃をやりきってプレーを切ることでセットした状態から守備を開始できると良いですね。

失点シーンはスローインからヘッドで決められてしまいました。ヘッドで決めたのは、森本ヒマン選手でした。彼の強さに負けてしまいました。ストロングがある選手に2枚つけるか、深い位置まで入らせずに事前に対処することが大事になります。

ブロックを組まれて…

失点し攻めに出たい宮崎でしたが、リードした讃岐はブロックを組んで堅く守る形に。すると、そのブロックを崩すことに苦戦を強いられるようになってしまいます。持たされているという印象です。

という中で

・中盤でのポジションチェンジを繰り返しマークをずらす
・引き出して受ける・フリック・3人目の動き
・タテパスを有効に使う

などを取り組み崩しに工夫をかけていきます。しかし、なかなかうまく崩せることは少なかったです。サイドからは厳しかったのですが、中央からの崩しでは良い形になるシーンが2,3度ありました。特に、フリックからの3人目の動きや出し入れから抜け出してスルーパスを入れるシーンは理想的な形でした。スルーパスを供給する際には、受け手はダイアゴナルの動きで出し手とのタイミングを合わせられていました。


後半

1点ビハインドで後半へ。
やることは変わらず、まずは果敢に仕掛けていきます。
ですがなかなか決定機は生まれず、得点のチャンスもそれほど多く作れては
いません。

2失点後

53分に2失点目を喫してしまい、ビハインドが広がってしまいます。
このあたりから、讃岐は完全にブロックでカウンター狙いで来ます。その後に、5-4-1のブロックを敷くことも多くありました。そんな中で、宮崎は2-4-1-3のような形で攻撃に厚みと圧力をさらに掛けます。
石津選手が前半よりも降りて受けるシーンが多く、前後のパイプ役になろうという意図が見られました。

他に、前線に5枚位置しパワープレーへの取り組みもありました。パワープレーをするために、67分に大型FW ⑦青戸選手を投入しターゲットとします。クロスやロングを放って前線での収め・引き付けを託します。これはオプションとして大きなカードになっていました。この試合ではFWが足元で受けるシーンが多かった中で、強引にも点を取りに行くため青戸選手の存在は大きいのでしょう。

57分の選手交代では

57分、最初の選手交代を行いました。
OUT ⑬北村・⑮内薗
IN ⑱山崎・⑧東出

この交代後、アンカー的なポジションには⑩下園選手が入り、⑱山崎選手は右SH(ワイドにも中にも位置取る)へ。⑧東出選手は左SHへ入り、今まで左SHに入っていた永田選手は右サイドへ。という配置の変化がありました。
⑱山崎選手はドリブルが特徴的でそのストロングをサイドで活かそうという狙いがあったように思います。

前半と比べて

後半は全体的に流動性がなくなってきて、らしさを出せていない感じでした。敵陣でのプレーが多く、ブロックも崩さないといけないという中でアクションが少なかったのは少し残念でした。前半にバイタル付近でのアクション+3人目などがあっただけに…。
しかし、長身選手の投入で割り切って放って何が何でも点を取ろうという意識は見られたので、そこはひとつの攻撃方法としてアリかなと思います。また、外回しで持たされている中でも果敢にクロスを入れるためのボールの動かし方など工夫があり、相手を動かしながらサイドにスペースを作ったりとそこでの狙いも見えました。

総括

結果は1-2の敗戦で、PKだけの得点のみで少し物足りない試合結果だとは思いますが、戦術的には面白味が前半から見えたと思います。これほどのポゼッションサッカーが見れるのは良いことですね。ゾーンディフェンスもしっかり取り組めていて強度も良い程度でした。J3もそういったサッカーが増えると面白いリーグになると思いますが、そのサッカーをするための技術や相手との相性などを考慮する必要はありますね。
あとは、ブロックをどう崩すかです。どのチームもブロックを崩すのは難しいことであると思いますが、その中でアイディアが出てきて崩す回数が増えるとどんな相手でも勝つことができるのではと思います。
プレスをかけてくる相手なら、ポゼッションやビルドアップではがしてゴールへ。ブロックを組んでくる相手なら、持ち前のアイディアで崩すしてゴールへ。と戦い方もはっきりしてくるでしょう。大まかなケーススタディから細かいケーススタディまで。いろいろな場面に対応できることが理想です。

これほどのサッカーを継続し強度を上げられれば宮崎もさらに上のカテゴリー・レベルで戦うことができると信じています。リーグもまだまだ続く中でJ2昇格を達成できるか見物です。さらに追跡していきたいと思います。





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