データも使って楽しむカタールW杯 その1
強化されたサッカーインテリジェンスを導入、って?
FIFA(国際サッカー連盟)は、カタールW杯で「大会史上最も現代的な洞察、指標、パフォーマンスデータを、参加チームと選手とともに、世界中のテレビとオンラインの視聴者と共有する」「FIFAハイパフォーマンスチームが開発し、FIFAグローバルサッカー開発チーフのアーセン・ベンゲル氏が率いるこの強化されたサッカーインテリジェンスサービスは、FIFAワールドカップ2022の全試合の中継と分析を充実させるための新しく刺激的な指標を提供する」と発表しました。
どうやら、以下のような可視化された11の指標が、試合中継で見られるようです。(日本語訳はFIFA公式サイトの説明資料より引用)
Possession control(ボール支配率)
Ball recovery time(ボールリカバリー時間)
Line breaks(ラインブレーク)
Defensive line height and team length(ディフェンスラインの高さとチームの長さ)
Final third entries(ファイナルサードへの侵入)
Forced turnovers(フォースドターンオーバー)
Pressure on the ball(ボールへのプレッシャー)
Expected goals(ゴール期待値 (xG))
Team shape(チーム陣形)
Receptions behind midfield and defensive lines(ミッドフィールドおよびディフェンスラインの背後でのボールの受け取り)
Phases of play(プレイフェーズ)
どの指標がどのタイミングで表示されるのかは分かりませんが、ハーフタイムや試合終了後に見られるだけでも、試合の様子や選手の活躍ぶりが結構把握できそうだなと感じています。
ただ、この指標を使うことの効果を十分に味わえるのは、一部の人に限られそうな気もしています。サッカーに詳しい人にとって、これらの指標は馴染みがあったり、何となく分かるような言葉かも知れません。でも、そうでない人にとっては、なんのこっちゃ!?なものが多いのではないでしょうか。
そこで、できるだけ多くの人にとって、この指標がカタールW杯をもっと楽しむための道具の一つになったら良いのになーという想いとともに、私の解釈とオススメの使い方を数回に分けてご紹介してみることにします。
分かりやすく言うと?
それぞれの指標の紹介は次回以降に回して、まず今回は、このFIFAの記事の内容を分かりやすく解釈してみようと思います。
このプロジェクトのリーダーであるベンゲルさんは、こうコメントしています。
サッカーデータ分析とプレー面の専門家との解釈を組み合わせることで、新しいサッカーインテリジェンスを生み出し、誰もが試合をより理解できるようにする
強化されたフットボール・インテリジェンスは、今後のサッカー分析方法の青写真になる。新しい洞察を発見したら、それをサッカーの世界と共有する
オンラインのFIFAトレーニングセンターは素晴らしく、パフォーマンスデータ、映像、技術的な説明とを組み合わせた試合の新しい理解を共有するために、新しく洞察に満ちたサッカー分析コンテンツを提供し続ける
なんだか理解するのが難しい感じがします。結局のところ、11の指標を共有してもらった世界中のテレビとオンラインの視聴者には、どんないいことがあるでしょうか。
ということで、FIFAの記事内にある画像と文章とをレッツエンジョイカタールW杯視点で私的に解釈すると、
複雑で分かりにくくなりまくっているサッカーの試合の見どころを、誰でもパッと見で分かりやすい形にしたよ(データや現場に詳しい人が一緒に作ったよ)
各チームがいろんな戦い方をしてるけど、狙っていることはこの辺を見ると分かりやすいよ(この先のサッカーの分析にも役に立つよ)
みんな、カタールW杯を見てね(切なる願い)
という感じです。
道具が使えるように
これによって試合をより理解しやすくなる、というふうにFIFAは言っていますが、それでもまだまだまだまだ難しいのではないかと私は思いました。
特に、普段あまりサッカーは見ないけれど今回のW杯は楽しみにしている!とか、サッカーは見るけどあんまり詳しくないんだよなー、という人にとっては、「そもそもこの単語の意味が分からない!」「つまりそれを見ることで何が分かるの?」「このデータは多い方がいいの?少ない方がいいの?」というようなことが起こりそうです。そして、少なくとも日本で放送される試合において、ここら辺の詳しい解説はたぶん無いんじゃないかという気がしています。
データは、サッカーをもっと楽しむために、もっと理解するためにとても便利な道具です。扱いに慣れていない人でも、少し知識を得ることで使いやすくなるものです。
そこで、次回から、上記の指標に関して私視点での解釈と使い方をちょっとずつお話ししていきます。データも使いながらカタールW杯をもっと楽しめる人が増えるといいなーと思っています。
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