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世の中を変えた屁

僕が小学生の時の話である。
僕は小3からサッカーを始め
週3回の練習とたまに週末に
試合があった。


このサッカーの監督は
とてつもない鬼監督であった。


とある土曜日の練習の話だ。
全員が一定間隔に仰向けに
寝そべるように指示をされた。


僕は恐怖のボールを使った練習から
一時的に開放されたことに安心していた。
空を見上げる余裕があった。
その日はとても天気が良かった。


グランドには芝生ではないが
適度に草が生えており
寝そべっても汚れない。
空も青い。
この時間がこのまま続けばいいと思っていた。


監督「笛に合わせて起き上がれよー」


今から腹筋運動をするようだ。


監督「ピッー」


みんな一斉に起き上がる。
ペースはそこまで早くなく
僕は楽勝に起き上がることができる。


そんな贅沢な時間は
鬼監督の制御不能行動により
この世から消し去られた。
僕は耳を疑った。

監督「おーい、今からお前らを踏んでいくぞー。」

踏む???どういうことだ。
そう思ったのは僕だけではないだろう。

しかし横から


「ウォーーッッ!!」


何やらとんでもない嗚咽が聞こえる!
何が起こっているのかわからない。


しかし僕は上空を見ながら
必死に状況を確認した。


すると僕の目に衝撃映像が
飛び込んできた。


監督に思いっきり腹を踏まれている。
マジかと思った。
超強席的腹筋運動にレベルアップしたのだ。
とてつもなくやばい状況だ。


しかも何故だかわからないが
踏まれる人物はランダムに
選択されている。


僕は必死に神に祈った。
しかし微笑んでくれたのは
死神だったようだ。


鬼監督がやってきた。


「腹に力入れろよー」


といいながら腹を足で踏んできた!
僕はこの世の力全てを
腹筋に集中した。

しかしいとも簡単に
監督の力に押し込まれた。


「ゴボゴボッー!!」


一瞬息ができなくなり地上で溺れた。
だがなんとか意識を取り戻すことに
成功し事なきを得た。

監督は次の獲物に向かう。

そして次の獲物を踏んだ瞬間


「ブフォーー!!」


獲物から強烈な屁が出た。


恐らく本来なら爆笑の瞬間であるだろう。
しかし、場は静寂に包まれていた。

時間とはすばらしい。


今この世において
こんなことは許されることは
絶対にない世の中になった。

どの時代にも
勇気ある者が声を上げ立ち上がり
世界を変えてきたのだ。

彼の強烈な屁は確実に
世の中に伝わったと僕は確信している。


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