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◇生徒会長の支配① ~ 初当選 ~

僕の学校では半年毎に生徒会選挙が行われる。
生徒会は学校のイベントなどを運営する生徒の中心人物となる。
僕は3年生に進級したこのタイミングで生徒会選挙に立候補すると決めていた。
理由は2つある。


1つ目は最上級生になり、先輩に気を遣うことなく学校運営ができるためだ。
やはり先輩がいるとその先輩の想いを優先してしまうと思う。


2つ目は受験への影響が少ないためだ。
後期になると高校受験があるため生徒会に時間を使うことができない。
制度上は3年生後期にも立候補することは可能だが、過去に立候補した人はいないと聞いている。


選挙は全校生徒の前で演説をして、それを基に候補者の中から2名を選んで投票する。
その結果で生徒会員6名が選出される。


僕らの学年に1年生の後期から立候補を続けている女子がいる。
クラス替えで同じクラスになったあすかだ。
毎回選挙演説を完璧にこなしているが、なかなか当選には至っていない。
噂では内申点欲しさと言われているようだ。


進級してしばらくして、選挙演説の当日となった。
全校生徒が体育館に集まり、3年生6名、2年生4名の計10名の立候補者から6名を選ぶ選挙が始まった。


そして3番目、僕の演説の番だ。


「私が生徒会員になったら、この学校に入学して良かったと思える最高のイベント作りに尽力します。特に私たち最上級生は残り1年の学校生活を一緒に盛り上げたいと思っていますので、是非とも投票、よろしくお願いいたします」


緊張により、マイクを持つ手が震えてしまっていたが、想いは伝えられたと思う。


「私が生徒会に立候補した理由は快適な学校生活を過ごす制度を整えるためです。そのために、、、」


あすかは特に緊張した様子も見せず、スラスラと演説していた。
4回目の選挙となれば、もう慣れたものなのだろう。


10名全ての演説が終わり、あとは結果を待つだけだ。
そして昼休みの放送でその結果は発表された。


「得票数236票:〇〇あすかさん」

「得票数93票:▲▲だいきさん」


やったー!!


選ばれたー!!


何とか6番目で滑り込みセーフだった。
これで楽しいイベントを作ることに携われる。


喜びに浸っているとあすかが僕のところへやってきた。

「だいきくん、おめでとう。」

「あすかさんこそ、やっと初当選だね」

ちょっと余計なことを言ってしまったかと思ったが、彼女は全然気にしていないようだった。

「もう、やっとだよ。集まったメンバーも私の想定通りだし、楽しくなりそうね。ふふふ」

彼女はニヤリと笑みを浮かべながら、そう言った。
なんだか僕ではなく、遠くのだれかに話しているような違和感を覚えた。


彼女はそのまま去っていったが、そういえばなぜこれまで落選していた彼女が断トツ1番で当選したのか?
そして私の想定とはいったいどういう意味なのだろうか?


そんな疑問もあったが、今は自分が当選した喜びの方が勝っていた。

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