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◇後輩からの誘惑④ ~ 奇妙な関係 ~

「足好きな先輩にご褒美です。汚れてるからどうぞ」

その言葉に従ってゆり様の足元に跪いて靴を磨き始めた。通常であれば仕事の手伝いをしたお礼が靴を磨かせられることというのはありえない。しかし、私の中でも彼女の中でもそれが「ご褒美」であるという認識を共通して持っていた。

「先輩、やるからにはピカピカにしてくださいね」

「承知いたしました」

もちろんこのシチュエーションなので、自然と敬語になる。これまでははっきりしない関係が続いておりモヤモヤしていたが、これで立場が確認できた。

「先輩おかしいですよ。この状況を言い返すこともなく受け入れているなんて笑」

「ほら、ご褒美あげているんだから、もっと楽しそうにしてくれない?」

「すみません」

「すみません?申し訳ございませんでした。ではなく?」

「申し訳ございませんでした、ゆり様」

「ゆり様だって笑」

彼女に小馬鹿にされながら、必死に靴を磨き続けた。室内で履いていたのでたいして汚れてはいないのだが、よりきれいになるよう磨き上げた。

「先輩、また踏まれたいですか?」

「...」

「残念ですが、今日は疲れたのでこれで終わりにしましょう」
「今日は本当にありがとうございました」

「お疲れさまでした」

私は気の利いたことも言えず、そのまま女子更衣室を後にした。その日の帰り道はなんとも言えない高揚感に包まれ、かなり疲れていたのだが帰宅後ベッドで横になってもなかなか寝付けなかった。

翌日、彼女は朝早く出社していた。

「先輩、昨日はありがとうございました」

「いえいえ、お疲れ様」

相変わらずみんながいる前では真面目で一生懸命なゆり様であった。私はというと変に意識してしまい、なかなか普段通りとはいかなかった。これは男性と女性の違いなのか?それとも個人の資質によるものなのか?

その後も彼女は私を誘惑し続けた。デスクでちょっとでも彼女の方を向くと人がいないところで「また足見ているんですか?」と耳打ちをしたり、給湯室に呼び出して、靴を磨くように指示をしたり、、、

そんな奇妙ま関係が続いたが、しばらく恋人がいない私にとって、とても刺激的な楽しい日々となっていた。

他の社員にバレそうになったときには2人で笑いあったり、業務では協力しあったりと距離も少しずつ縮まっている。

今後ゆり様とどのような関係になるのか楽しみでもあるが不安でもある。そんな会社生活であった。

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