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◇盗みの露呈③ ~ 続く憂鬱 ~

実際にはどのくらいの時間が経ったのか分からないが、とても長く続いたあやかの攻撃が終わると、ようやく顔を上げることができた。

あやかは再度ベンチに座り、ゆっくりと足を組むと口に開いた。

「何か言うことないの?」

「えっと…あの~…その~…」

「うん?」

「自分が言うことも分からないのかなぁ~」

「すみません」

「申し訳ございません。だね、そこは」

「言うことは3つでしょ。1つ目は盗みをした上にやってないようにごまかそうとしたことへの謝罪」

「2つ目は盗みの動画を誰にもバラさないで下さいというお願い」

「3つ目はたいしくんからの攻撃を私が守ってあげることに対する感謝」

「盗みをして申し訳ありませんでした。動画は誰にも言わないで下さい。たいしくんから守ってくれてありがとうございます。」

「誰に言ってるの?」

「あ、あやか様です。」

「まっ、はじめはこんなもんでいっか。良くできましたね~」

あやか様は僕の頭を撫でた。そして頭に付いた砂を丁寧に払ってくれた。

「最後に私の靴にキスしてくれない?」

僕は足を組んだあやか様のスニーカーの表面に口づけをした。頭を踏みにじったかと思うと、たいしくんから守ってくれると言ってくれたり、あやか様の気持ちが分からなかった。

「ちゃんと顔の赤みが取れてからお家に帰るんだよ」

そう言うとあやか様は立ち上がり、公園を去っていった。

僕はどうしたら良かったのだろうか?そしてたいしくんとあやか様の攻撃はどちらが辛いのだろうか?

そんなことを考えながら、あやか様が座っていた場所に腰を下ろし、頬の腫れが引くのを待った。

この公園は僕たちの家から離れた上に人通りが少ない廃れた場所だ。この場所はこれからも人が入ってくることはないだろう。

あやか様から何かされる時はここに呼び出されることになるのだろう。

たいしくんはただただ辛いだけだが、あやか様は優しさも持っている。僕の選択は正しかった。そう自分に言い聞かせながら、暗くなる直前の空を見上げながら帰路についた。

たいしくんとあやか様。どちらからの攻撃が辛いのか。明日からの小学校生活で徐々に分かってくるだろうが、どっちにしろ「辛い」生活になることは決まっていることに、また憂鬱になった。

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