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#評論

論点「近代と前近代」

論点「近代と前近代」

 18世紀の産業革命以前を「前近代」、以前を「近代」と呼ぶ(「現代」も含む)。「前近代」と「近代」は対比関係にある。この対比は評論で多用されると同時に、他の論点にもつながっている。

「前近代」(精神的、閉鎖的、不自由、非科学的、非合理的)と
「近代」(物質的、国際的、自由、科学的、合理的)の対比を押さえることが重要だ。

1. 「前近代」の特徴* 神や自然への信仰

 神や自然といった「人間を超

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論点「科学と人間」

論点「科学と人間」

  前回の「近代と前近代」に深く関わっているのが、「科学」の存在だ。「科学」の普及により、人々の生活や経済、はては生き方にまで大きな変化が起こった。

1. 科学万能論 近代化による科学技術の発展で、人々は「物質的な豊かさ」を手に入れた。たとえば、工場では、1人の職人がすべての製品を作るやり方から、分業で1人ひとつの工程を担当するようになる。これにより、熟練の技の廃止、短時間・低価格の大量生産が可

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論点「自己」

論点「自己」

「自己」がテーマとなる場合、「個人と集団」「私とは何か(アイデンティティ)」「自己と他者」「自我と無意識」などが話題となりやすい。細かく見ていくと次のようになる。

① 個人と集団 前近代から近代にかけて、科学技術が発展し、「近代化(西欧化)」がなされた。近代化によって、生まれや身分によって職業や暮らしを決められるコミュニティ(共同体)は失われ、自分の人生を自分に選び取れる「自由な社会」が到来した

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鷲田清一「社会の壊れる時ーー知性的であるとはどういうことか」 解説

鷲田清一「社会の壊れる時ーー知性的であるとはどういうことか」 解説

高校3年生向け
現代文B
論点「社会」

1. どんな話なのか 社会の崩壊を防ぐためには、「煩雑さ(摩擦)に耐える耐性」が必要であり、この耐性をもつことが知性的な状態である。
 社会は、
  1. 特定の理念の共有を強いられること。
  2. 相互理解を拒否され、分裂すること。
 によって崩壊するため、異なる文化同士が共存しなければならない。

 共存に伴い摩擦が発生するが、これは社会への刺激とし

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【現代文編】おすすめの参考書

【現代文編】おすすめの参考書

 現代文おすすめの参考書を紹介する。「現代文に参考書は不要!」という人もいるが、使いやすい何冊かが手元にあるとたいへん便利だ。

1. 春〜夏 現代文の解法を知るa. 田村のやさしく語る現代文

 定番の一冊。現代文解法のルール・テクニックがわかりやすく載っている。夏までに一通り読み、実践できるようになることを目指そう。演習問題が難しく感じたら、もう少しとっつきやすいものから始めてもよい。

b.

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3分でわかる 鷲田清一「社会の壊れる時」

3分でわかる 鷲田清一「社会の壊れる時」

 鷲田清一「社会の壊れる時」がたいへん難しかったので、3分でわかるようにまとめました。
 *わかりやすさ重視で細かい部分は省略・言い換えました。