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【読書日記】ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う

本書の結論はサブタイトルそのままです。

「小さな仕事」が日本社会を救う



漠然とした不安を乗り越えて
豊かで自由に生きるには
「小さな仕事」に従事することが
大切なのでした。



どうも読書セラピストのタルイです。

前々回に高齢者の働き方
についてまとめました。


突然ですが、
あなたは定年後も働きたいですか?


「定年でやっと仕事から
 解放されるのにまだ働くのか…」



と、現役世代から
嘆きの声が聞こえてきそうですが…
ご安心ください。


どうやら定年後の仕事は
楽しいみたいです。



こちらは2019年に
リクルートワークス研究所が調査した
全国就業実態パネル調査を
ご覧ください。

https://job.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no1258/

ご覧いただいてわかるように
仕事の満足度は
50代で底を迎えたのちに


定年後、
仕事に満足してる人が
急上昇してるのです


特に70代の就労者のうち
実に約6割以上の人
前向きに仕事へ取り組んでいます。


これは一体なぜなのか?


一つ言えるのは
彼ら高齢者は定年後に
仕事の責任や権限が縮小して、

短い時間で少額の収入を得る
「小さな仕事」
従事している事実です。


現役世代の仕事観としては

「キャリアアップをして
 専門性を上げることが仕事」

と、先入観を持っている人も
多いかもしれません。


でも、そうじゃなかったのです!

年金だけに頼らず、
医療従事者、スーパー・コンビニ、
介護福祉士・保育士 や
区役所職員等々の
エッセンシャルワーカーなど。


小さな仕事で月十数万円を稼ぐことは、社会に大きな貢献をする仕事をしていることになっていました。


定年後のキャリアは
健康的に体を動かし
人の役に立つことと

穏やかにつながる仕事を
無理なく続けることが重要でした。


今回学んだ本はこちらです。


本書は定年後の人々が
「小さな仕事」を通じて
社会に貢献することの
重要性を提案する書籍です。


この本の著者は
リクルートワークス研究所の
研究員・アナリストで

社会保障制度や労働市場
高齢者の働き方などについて
研究されている坂本貴志さんです。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/313506


本書第1部では、
定年後の仕事の実態に関する
「15の事実」を紹介しています。



◆〈事実1〉年収は300万円以下が大半

定年後も高い給与を得ている人
一定数存在すると思いますが
現実的には少数派のようです。


みんながみんな
島耕作のようには働けません。


こちらの図は
給与所得者の平均年収です。

https://news.infoseek.co.jp/article/shueisha_51027/


定年後の年収は
60歳から64歳で平均410万円
・65歳から69歳で平均323万円
・70歳以降で平均282万円

と、年齢とともに減少します。

また、定年前にも50代後半に
役職定年や早期退職などの影響で
収入が下がる傾向があります。

定年後の収入が減少する理由
としては以下の3つです。

  1. 役職定年や早期退職などの影響による収入減

  2. 定年後の再雇用や非正規雇用への移行による収入減

  3. 高齢による健康面や気力・体力などの変化による就業調整


定年後も仕事を続ける人
は、
年齢とともに
収入をある程度犠牲にしてでも

就業時間を制限して
より無理のない仕事に
調整する傾向がありました。


「年収300万以下で大丈夫なのか…」

と不安に思うところですが
次の事実が収入減でも
大丈夫な理由です。


◆〈事実2〉生活費は月30万円弱まで低下する

収入をある程度犠牲にできる理由は、家計支出の内訳の変化にあるようです。


こちらの図をご覧ください。

https://news.infoseek.co.jp/article/shueisha_51056/


ご覧の通り、
高齢になると家計支出額は
大きく減少します。

その理由は、以下の4つです。

  1. 教育費の減少

  2. 住宅費の減少

  3. 税金や社会保険料などの減少

  4. 外食費や洋服費などな支出の減少

まず教育費
子供が独立して
教育費がなくなるため
家計支出額は大きく減少します。


次に住宅費は、
住宅ローンの返済が終わると
家賃の支払いが無くなるため
家計支出額は大きく減少します。



税金社会保険料など
家計の自由にならない消費は
高齢になると収入が減るため
支出は大きく減少します。

外食費や洋服費、
自動車等関係費、
通信費、お小遣いなどは、

子供が独立して
世帯人数が減少するため
これらの支出も大きく減少します。


以上のことから、
高齢期の家計に
過度な不安を抱く必要はない
と考えられますね。


私も一安心です。


◆〈事実3〉 稼ぐべきは月60万円から月10万円に


こちらの家計調査によると、
65歳から69歳までの
引退世帯の収入は
合計で月約25万円です。

https://gendai.media/articles/-/108303?page=1&imp=0

この内訳は、
公的年金:月約19.9万円
民間保険・確定拠出年金:月約2.7万円
その他収入:月約2.2万円

支出額は月約32.1万円なので、
収支差額はマイナス7.6万円です。


つまり、

年金に加えて
月10万円程度の労働収入があれば
定年後の生活は十分に回せる

ということになります。


◆事実4. 減少する退職金、増加する早期退職

これはネガティブな事実です。

2003年に2499万円あった
退職給付金額は
2018年には1788万円
近年急速に減少しています。


この背景にはバブル崩壊以降
日本では低金利などが影響しています。

また、
2020年4月から
70歳までの雇用義務化が始まりました。


企業としては、
定年以降も生じる再雇用における
人件費の補填のため
退職金を縮小させている
側面もあります。


もう退職金には頼れません。

さらに、
近年、企業では
早期退職制度の導入が進んでいます。


早期退職制度では、
退職時に割増退職金が
支払われることが多く

退職金の金額が減少する
要因となっています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/03c1eb7e5c28e0169533776ba33d9f4bd110a9c5

退職金が減少する理由は、
これらの要因が複合的に
影響していると考えられます。


◆事実5. 純貯蓄の中央値は1500万円


https://news.yahoo.co.jp/articles/03c1eb7e5c28e0169533776ba33d9f4bd110a9c5


定年前後の貯蓄額と負債額

〈年齢別純貯蓄額の推移〉
30代:665万円の負債超過
40代:負債超過48万円
(貯蓄と負債がほぼ均衡)
50代:1052万円
60代:2080万円

〈60代の貯蓄の内訳〉
通貨性預貯金:582万円
定期性預貯金:882万円
生命保険:495万円
有価証券:345万円

〈60代の金融資産〉
平均額:2154万円
中央値:1465万円


純貯蓄の中央値は1500万円である。

これは、
退職後の生活費を賄うには
十分な金額ではないため、

定年前から老後資金の準備を
しておくことが重要でした。


◆〈事実6〉 70歳男性就業率45.7%、働くことは「当たり前」


こちらの図は
1980年代からの就業率の推移を
まとめてます。


よく見ると就業延長が進んだのは
ここ十数年なんです。

70歳男性の就業率は45.7%で
もう働くことは「当たり前」
となっているのです。


これは、
高齢化社会の到来や
定年後も働くことで

収入や生きがいを得たいという
意識の高まりによるものかも
しれません。



2020年における
70歳男性の就業率は45.7%

つまり、
半数近くの70歳男性が
何らかの仕事についている

ことになります。


マンション管理人、これ
コンビニのレジ、
飲食店での接客など、

あらゆる場所で
シニア世代が働く姿
を見かけることも少なくありません。


労働市場を見渡しても、
高齢の方を積極的に採用する企業も
増える傾向にあります。


◆〈事実7〉高齢化する企業、60代管理職はごく少数


こちらは役職者の年齢分布です。



部長職は50代でピークを迎え
60代前半には8.8%まで減少します。

課長職は60代前半で2.9%

60代後半は0.5%まで減少します。

これは、少子高齢化による
年齢構成の変化に対応するためです。


企業は管理職よりも
現場で活躍する人材を求めています。


なぜなら将来的に、
団塊ジュニア世代が定年を迎えると
現場の人材不足が深刻化します。

企業は、年齢に関係なく
現場で活躍できる人材を
確保することが重要なのです。




◆〈事実8〉多数派を占める非正規とフリーランス


https://president.jp/articles/-/61149?page=1

選択肢は再雇用だけではない

  • 正規雇用者は年齢とともに減少し、非正規雇用者やフリーランスが増える。

  • 70代前半ではフリーランスが最も多い働き方になる。

https://news.livedoor.com/article/detail/22803021/

フリーランスはリスクも伴う

  • 報酬水準が低く不安定

  • 社会保険への加入が必要

重要なのは、自身の能力や希望に合った働き方を選ぶこと

将来はさらに多様な働き方が可能になる

  • 副業、兼業、起業、ボランティア活動など



◆〈事実9〉 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少

50代の転職市場は
厳しい状況にあります。


こちらの図は
厚生労働省「転職者実態調査」から
転職者の賃金の増減を表したものです。



これは、
高齢化社会の進展や
企業の採用縮小により

50代以上の人材の需要が
減少していることを示しています。

転職しても
賃金が減少する傾向なのです。



◆〈事実10〉デスクワークから現場仕事へ

50代以降は、
デスクワークから
現場仕事への転換が進みます。

これは、定年退職後の再雇用において、肉体労働の需要が高まっているためです。


また、
技術革新や海外進出などにより
企業の業務内容が変化していることも
要因の一つのようです。


◆〈事実11〉60代から能力の低下を認識する

https://gendai.media/articles/-/99503?page=2

60代になると
体力や記憶力の低下など
能力の低下を認識するようです。

これは、
加齢による自然な変化であり
避けることはできません。

しかし逆に
対人能力と対自己能力は伸びてます。

また、専門知識・技術は
定年後も保たれると思う人が
多いようです。


これは明るい材料です。


◆〈事実12〉負荷が下がり、ストレスから解放される


50代以降は
仕事の責任やプレッシャーが
軽減されて負荷が下がります。

また、
定年退職を経験することで
ストレスから解放される人も
少なくありません。

これは、心身の健康に良い影響を及ぼすと考えられます。



◆〈事実13〉50代で就労観は一変する

キャリアの中で、
仕事に対する意義を見失うタイミングがあります。

その多くの人は、
50代前半にその転機を迎えるようです。

https://gendai.media/articles/-/98567?page=1&imp=0

これは、
日本人が働くことで感じる
価値観の変化によっても
説明できます。

20代「他者への貢献」
「仕事からの体験」など
仕事に対する価値を強く感じています。

しかし、
30代になると
「高い収入や栄誉」など
仕事の成果を重視するようになります。

そして、
40代になると「生活との調和」など、
仕事とプライベートのバランスを
重視するようになります。

50代になると、
多くの人が仕事に対する意義を見失い、将来への不安を抱えるようになります。

その理由は、
定年という大きな節目を迎えることで、「高い収入や栄誉」を追い求める
従来のキャリア観では

今後の人生を支えていくことが
難しくなるからです。

これまで積み重ねてきた
キャリアや経験は
確かに大きな価値を持っています。

しかし定年後は
これまでの延長線上にあるような
働き方をすることが
難しくなる場合も多く

新たな目標や生きがいを
見つける必要があるのです。

◆〈事実14〉6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活

定年後の生活に満足している人は
全体の6割程度です。

定年後の生活に
満足している人の特徴は
以下のとおりです。

・趣味やボランティア活動など、
仕事以外のことに打ち込めている

・定年後も働き続けている

・経済的な不安がない


定年後の生活に満足するためには、
仕事以外のことに打ち込めるように

趣味やボランティア活動などを
見つけることが大切です。

また、
定年後も働き続けることで、
経済的な不安を解消し、
生きがいを感じることもできます。

◆〈事実15〉経済とは「小さな仕事の積み重ね」である

経済は、
多くの人々が小さな仕事を
積み重ねることで成り立っています。

50代以降は、再雇用や副業など、さまざまな形で働き続ける人が増えています。

これらの働き方は、以下の2つの点で、経済の活性化に貢献しています。

  1. 消費の拡大

再雇用や副業で働く人は、賃金を得ることで、消費を拡大します。これは、経済の成長につながります。

  1. 技術革新の促進

再雇用や副業で働く人の中に、新しい技術やアイデアを持つ人がいる可能性があります。これらの人々の活躍は、技術革新を促進し、経済の成長につながります。

総務省の国勢調査年齢別の
就業地の割合によると、

80歳就業者に至っては
9割弱が自宅近くで働いています。


これは仕事人生の締めくくりとして
地域社会に貢献している

といえるのではないでしょうか?


◆まとめ.「小さな仕事」が日本経済を支えてる


年収は300万円以下

本当に稼ぐべきは月10万円

50代で仕事の意義を見失いがち

60代管理職はごく少数

70歳男性の就業率は45%

80代就業者の約9割が自宅近くで働く



本書を読むまでの私は、
定年を迎えて引退すると

多くの人が
「これからの人生どうしよう?」

と不安に感じるものと思ってました。


しかし、
実際のところ

70歳の就業者の5人に3人が
現在の仕事に満足している

という結果が出ています。


これは、
責任ある仕事を失い、
低い給与で働いている

という表面的なイメージとは
大きく異なるもののようです。


本書の15の真実をまとめて感じたことは

⚫️ 仕事に対する価値観の変化がある

私もそうでしたが、
若い頃は出世や高収入を求めて
仕事に邁進する人が多いと思います。

しかし、
年齢を重ねるにつれて
仕事に対する価値観は
変化していきます。


定年後の「小さな仕事」は
責任やプレッシャーが少なく
自分のペースで働けることが魅力です。



また、
社会とのつながりを維持したり
新たなスキルを身につけたり
自己実現を叶える場にも
なっているのではないでしょうか。


⚫️支えられる側から支える側へまわる

長い間、
会社で支えられてきた立場から
今度は自分が社会に貢献する側
になることで

大きな生きがい
感じられるように
なっているかもしれません。


定年後の仕事は、
若い世代の指導や教育
地域社会の活性化など
様々な形で社会に貢献することが
できます。


⚫️日本の経済に役立っている

定年後の就業者は、
高齢化社会における
労働力不足解消や

社会保障制度の維持など
日本の経済にとって
重要な役割を担っています。


また、仕事を通して
社会とのつながりを維持することで
心身ともに健康で、
豊かな老後生活を送ることができます。



いずれにしろ、
定年後の「小さな仕事」は
決して単なる収入源ではなく

人生をより豊かに彩るための
重要な選択肢のようです。




本書は私たちに
「定年後の生き方」の
新たな可能性を示してくれてます。


今回は第1部のみまとめてみました。


第2部では、定年後も「小さな仕事」を通じて、幸せに過ごす人々の事例を紹介しています。

第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍
事例2 週末勤務で会社を支える
事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立
事例4 近所の学校で補助教員として働く
事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
事例6 幕僚幹部から看護師寮の管理人に
事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する


第3部では
定年後も働き続けるためのポイントや、高齢社員の人事管理・労働供給制約時代における経済社会のあり方について解説されています。

第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済
1.定年後も働き続ける人に必要なこと
2.高齢社員の人事管理をどう設計するか
3.労働供給制約時代における経済社会のあり方



最後まで、お読みいただき
ありがとうございました。

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