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【考察コラム】問題解決の最強フレームワーク〜ありのままの姿をみせるのよ〜

キャリアコンサルタントのタルイです。

今回の記事は、人間関係であったり仕事であったり最近は新型コロナ対策でしょうか、とにかく悩んでいる人は読んでください。

問題解決のフレームワークをマスターすると、

その問題を解決するための課題が自分で設定できます。

それだけではありません。

課題ができるとわくわくする毎日になります。


ちなみに今回の記事は前回の記事の続きです。

前回の記事を読んでいらっしゃらない方はこちらをご覧になってください。

今回伝えたいテーマは前回の結論である、

自己実現欲求とは課題に夢中になることで、

その課題はどうやって見つけるか?です。

では結論から説明いたします。

課題を見つけ方を方程式にすると

理想ー現状=課題


です。

これは「As is / To be」と呼ばれるフレームワークです。

理想(To Be)現状(As is)の間にある問題(Gap)を解決するために課題(Action)を発見するフレームワークなのです。

英語だと分かりづらいので、

ここからは日本語で説明します。

図にするとこちらです。

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実際の使い方は、

最初は一人でやるよりも紙とペンを使って、

二人で確認しながらやるのがいいでしょう。

ちなみに私はキャリアコンサルタントの他に

飲食店の経営コンサルとキャリアコンサルをやってますが。

コンサルの実務ではこのフレームワークを一番使います。

経営の問題は社長と一緒にやります。

職場の人間関係の問題は従業員さんと一緒にやります。

つまり経営にも人間関係にも使いまわせる万能なフレームワークなのです。


ただし使い慣れるまでは結構コツが要ります。

コツを説明するのに事例ががあったほうがわかりやすいと思いますので

実際にフレームワークをつかった事例を紹介します。

2019年の夏。
Aさんは飲食店の開業相談で私のもとへ訪れてきた。料理人歴は8年。
27歳。前職で社長と意見が対立したのをきっかけに退職を決意。
開業を目指すも自己資金もノウハウも心許ない。
悩んでるいるところを共通の知人を通して私の元に訪ねて来られました。
これは自己資金なし、信用なし、妻子ありのAさんが開業するまでの半年間の軌跡です。

では、ここからはAさんの開業までの問題解決に使用した事例を交えながら、

活用の際の注意するポイントを4つと実際にこのフレームワークを使った事例を紹介していきます。



■注意1 「あるべき姿」は理想ではない!


理想とは「to be」あるべき姿と日本語で訳されることが一般的です。

あるべき姿とは経験則による

「こうあるべきだ」

「こうでなければならない」

という意味ですね。

私はこのあるべき姿の理由に異議を唱えます。

これは間違いですね。

あるべき姿ではなくありたい姿が正解だと考えます。

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これは言葉遊びの範疇ではなく、

立派な根拠があります。

理想=あるべき姿と考えてしまうと、

思考が硬直化して考え方の癖が生まれます。

あるべき姿とは「こうするべき」「あのようにするべき」と決めつけ、

「べき」に基づく行動をしてしまいます。

認知のゆがみに直結しやすいのです。

つまりあるべき姿を意識しすぎると「○○すべき」「○○でなければならない」と慣習や過去の成功体験に思考が固まりやすくなります。

これをべき思考、もしくはすべき思考といいます。

「考え方の癖」これを心理学では「認知のゆがみ」と言います。


飲食店の開業予定者のAさんもすべき思考に囚われた一人でした。

Aさんとの打ち合わせで、私はこのフレームワークを紙に書き、Aさんの理想を尋ねました。「美味いものを出す店にしたい」と言われた。そこから料理に対する真摯な姿勢や味へのこだわりもたくさん伺ねました。ところが、「どこで開業されたいですか?」私は出店立地を尋ねましたが「自己資金がほとんどない」「家賃は坪1.5万円以下で」とあいまいな答えが返ってきました。


開業の打ち合わせなのに料理の話しか出てこないパターンです。

料理人の方に多いのですが、

料理以外の知識と情報が少ないので、

打ち合わせが停滞します。

しかし情報や知識が少ないのは、

そんなに問題ではございません。

そのために私のような職業があるのでサポートできます。


問題はAさんの思い込みの部分です。

「店は美味しくなければ繁盛しない」

これは誤った思い込みで、

まさに認知のゆがみです。

もちろん味は大切な要素ですが、

それでも大切な要素のひとつでしかないのです。


開業で一番大事なのは値決め(価格設定)です。

「値決めは経営である」とは京セラの創業者・稲盛和夫氏の言葉ですが、

「お客様が納得し、喜んで買ってくれる最大限の値段を見つける。

まさにこれは真理です。

まずは、自分の技術や経営資源で客単価いくらの店ができるのかをしっかりと決めることです。

結果、おのずとターゲットの客層が決まります。

そしてターゲットが回遊する立地も見えてきます。

価格設定からスタートして次に最適な立地を決めて、

それからメニュー(味)を決める。

この順番が重要なのです。

意外にこの順番を守らない経営者の方は多いです。

稲盛和夫氏の著書を読みまくって経営12か条も暗記していて、

いざラーメン屋の開業のプラニングでスープの味ばかり気にしていた社長をみたことがあります。

ちなみにそのラーメン屋さんは3ヶ月で閉店しました。


■注意2  現状は「あるがままの姿」で認知する〜酸っぱい葡萄と甘い檸檬〜

理想ありたい姿とした場合に、

現状とはあるがままの姿であるといえます。

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現状を考える時にとても大切なのは事実をあるがままにみることです。

しかし私達の目とは目の前の事実を見ているようで、

脳の中の認知を見ています。

Aさんも現状を自分の脳の中の認知で見ておりました。

Aさんとの話し合いで「客単価一万円以上取れる店にしたい」開業の候補のエリアを3つに絞り物件探しが始まりました。
ですが人気エリアばかりなので物件の空きが少なく、見つけた物件も先約がいたり、オーナーさんが重飲食不可(煙や臭いが大量に出て大掛かりな排気排煙設備が必要な飲食業種はNG)をだされたり、法人格で実績がないと貸さないと言われたりと散々な目に逢いました。
そうこうしているうちにお子さんが生まれ、手持ち資金を目減りが続き、日に日に疲労と焦りがAさんを襲います。Aさんの口からも物件オーナーへの悪態が目立つようになりました。

始めての開業前に物件がなかなか決まらない不安と焦りはなんとも嫌なものです。

ビジネス寓話に酸っぱい葡萄と甘い檸檬のお話があります。

〈酸っぱい葡萄〉
キツネが、おいしそうな葡萄を見つける。
食べようとして跳び上がるが、ぶどうは高い所にあり届かない。
何度跳んでも届かなかったのでキツネは怒りと悔しさで、「どうせこの葡萄は酸っぱくて不味いだろう。
誰が食べてやるものか。」と捨て台詞を残して去りました。
めでたしめでたし。

人間には自分が傷つくのを防ぎ、

自分自身を維持しようとする心の動きがあると言われています。

本音と建前というのがありますが、

口からでる言葉が全て本音とは限りません。

いろんな感情から出てしまうこともあると思います。

Aさんとの物件探しも酸っぱい葡萄だらけでした。


もう一つ甘い檸檬というものがあります。

これは酸っぱい葡萄の逆で、

「どんなに酸っぱいレモンでも、自分の力で手に入れて自分のものである限り

「これは甘いレモンだ」と思い込もうとする心理的メカニズムのことです。

人間は「自分の持っているものがより良いものである」と考えたがるという経験的法則に基づいた理論ですね。

物件探しでも、

大家さんがめちゃめちゃいい人で内覧中に挨拶に来られたり、

開業計画に興味をもって訊いていただける方もいらっしゃいます。

そういうときはAさんも物件の契約に乗り気になれます。

ですが、その大半の物件は、

いわゆるクズ物件と呼ばれるものでした。

物件探しではつねに酸っぱい葡萄と甘い檸檬のエピソード満載なのです。

大切なのは物件をあるがままに見ることです。

物件をあるがままに見るとは、

エリアのマーケットサイズですし、

店前交通量だったり、

視認性であったりです。

物事をあるがままに見ることを「メタ認知」ともいいます。

「メタ認知」はもともとは認知心理学で使われていた用語でジョン・H・フラベルというアメリカの心理学者が定義した概念でした。

日本でも室町時代初期に「能」の世阿弥が離見の見(りけんのけん)と唱え、

役者が、観客の立場になって自分を見ること。

客観的に俯瞰して全体を見る力が重要であることを説いてました。

コンサル業界では「一つ上のレベルから考える」スキルと言われています。

メタ認知力が高まると、

他人からの批判や指摘、出来事に対して

「ただ、そうなんだ」と受け止めることができます。

私とAさんは現状を客観的に書き出してみました。

①重飲食不可の物件が多い

②物件情報を入手するのが遅すぎて、良い物件は契約前に取られてしまう。

③オーナーさんが個人事業主との契約を嫌がる

④手持ち資金がどんどん減っていく


自分自身を知りひとりよがりにならない為にも、俯瞰して自分を見る習慣をつけましょう。

そのために現状を書き出してみることは必要です。

客観視しやすいのは数字やデーターを揃えることです。

私は物件探しには自前のチェックリストに沿って淡々と進めます。

数字やデーターも客観視しやすいですが、

エビデンスも忘れずに調べましょう。


注意3 ギャップがある問題とその他の問題に分ける

ここまで説明記事をツラツラ書いておいてなんですが…

そもそも理想ー現状=課題の方程式。

この方程式、実は間違っています。


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・・・・・えっ⁉


あぁすみません。

最初に説明すればよかったのですが、

このタイミングで説明するのにも理由があります。

正確には

理想−現状=問題です。

理想から現状を引いたら問題ではなく

課題になるのはどう考えても論理が飛躍しすぎていますね。

ですので

理想−現状=問題→課題

が正解だと思うのですが、

方程式で考えると等号が成立しなくなるので

理想−現状=(問題→)課題

と省略されているとお考えください。


さて、問題には2種類あります。

理想に対してギャップがある問題と、

理想とは関係のない問題です。

ここでもう一度Aさんの現状のまとめを見てみましょう。

①重飲食不可の物件が多い

②物件情報を入手するのが遅すぎて、良い物件は契約前に取られてしまう。

③オーナーさんが個人事業主との契約を嫌がる

この問題の中で理想とのギャップは②物件情報の入手の問題だけです。

それ以外は乱暴な言い方ですがただの出来事です。

よって課題とするべく問題は、

どうやったら物件情報を早く入手できるか?だけです。

それ以外はただの出来事です。

本当につらくて嫌なこともありますけど…ただの出来事です。

死の最後まで自分らしくありたいのが理想であるならば、

死ぬこと以外はすべてかすり傷といっているのと同じかもしれません。


■注意4 課題とは自分でコントロール可能なもの

いよいよ最後の問題→課題のパートの解説です。

重要なのは

課題とは自分でコントロール出来ないものは

課題にはならないといういことです。

Aさんの問題であった

物件情報を入手するのが遅すぎて、良い物件は契約前に取られてしまう。」

そこで私たちはある秘策を実行することにしました。


Aさんが不動屋さんでバイトして物件情報を直接入手する!


これぞ裏技ですね。

しかもバイト代も入るので一石二鳥ですよね。

これを思いついたときのAさんの晴れやかな顔は印象的でした。


ではここで課題とは何かの解説です。

理想とはありたい姿

現状がとはあるがままの姿でした。

そして課題とはありのままの姿です。

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いま頭のなかで「Let It Go」が聴こえてきたでしょうか?

私だけではないかも知れませんが、

ネット記事やSNSをみていると、

「ありのままの姿」の解釈が誤解されていると思うときがあります。

「素のままの自分でいたい」とか

「努力しなくても良い」とかは大誤解です。

前回の記事でお伝えしました。

自己実現欲求とは、

目の前の課題に夢中になることです。

『アナと雪の女王』でも自分の個性を受け入れて自分を好きになり、

どこまでできるか自分を試して個性を隠すこともなく、

みんなのために活用していくという物語でした。

よって、ありのままの姿をみせるとは課題に夢中に取り組むことなのです。



ちなみに、

ありのままの姿をみせて

飲食店開業の夢に取り組まれていたAさん。

その後はどうなったかというと…

ここで見事に開業して繁盛店になっていれば

ハッピーエンドですが…


残念ながらコロナ禍で開業計画自体が中止になりました。


まさにノンフィクションなのです。


ただAさんはもちろん諦めておりません。

計画を後ろに倒しましたが、

いまでも虎視眈々と次のチャンスを狙っています。


■最後にまとめ

またしても説明が長くなってしまいました。

整理する意味でチェックリストっぽく書き出してみました。

□問題を解決するフレームワークは理想−現状=課題です。

□理想はあるべき姿ではなくてありたい姿、こだわりも度が過ぎるとただの囚われ

□現状はあるがままの姿で分析すること。客観的に冷めた目で自分をみる

□問題とは理想と現状のGAPであるもの。それ以外はただの出来事。

□課題とはありのままの姿。自分でコントロール可能なものを選択する

今後にご活用いただければ嬉しいです。


最後まで読んでいただけて感謝です。

あとがきにかえて一言。

今回の理想としては「課題に夢中になることがありのままの姿だよ」を伝えることで、最後は読み手の脳内に「Let It Go」がBGMとして流れるような読後感で書きたかったのですが…

私のふりかえった現状では、Aさんのノンフィクション話が強くなって、脳内BGMに「サンサーラ」が流れてしまいました。中 孝介バージョンね…


私の理想とちょっと違ったので、

いつかまた同じテーマで書き直すことを課題とします。


私から皆様にお願いがあります。

一つは、良かったらスキかコメントいただけると記事を書くことへの意欲に繋がります。

特にコメントを通じてnoteの皆様と交流が出来たら嬉しいです。



















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