〈○○フリー深堀シリーズ2〉そもそもアレルギーフリーって何だろう?


1 アレルギーフリーとは

アレルギーフリーは食品分野では食物アレルギーの原因となる特定の原材料を使用していない食品のことです。一般的に特定のアレルギー食材を除いている場合には食材ごとに「○○フリー」「○○不使用」と表記されることが多く、「アレルギーフリー」と表記される場合には、食品表示基準で表示が義務付けされている「特定原材料」および、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」28種類(※1)をすべて使用していない商品に対しての名称もしくはアレルギー原因食材を除いた食品の総称として使われることが多いです。

※1 特定原材料(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)およびそれに準ずるもの(アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)

2 アレルギーフリーで広まった背景

日本では現在国民の推定1-2%程度が食物アレルギーを持つと考えられています。欧⽶では、フランスで3-5%、アメリカで3.5-4%、3歳の6%に既往があるとする報告があります。(※2)年々、世界的に食物アレルギーを罹患している人の割合が増え、それに伴ってアレルギーフリー食品への需要が高まっています。大手食品会社をはじめとしてアレルギー食材を除いた関連食品の普及や外食産業でもアレルギー対応が求められていることも大きな要因につながっていると考えられます。


※2 引用元:食物アレルギーの診療の手引き2020 食物アレルギー研究会 

https://www.foodallergy.jp/care-guide2020/cg2020-2/#6

(閲覧日:2023年12月20日)

3 アレルギーフリーのメリット・デメリット

(メリット)

1 食への安心感や選択肢の広がり

アレルギーフリー食品は食物アレルギーの原因となる食材を使用することなく製造されているため、誤って摂取する心配がなく食物アレルギーを持つ人にとって安心して使うことができる食品となります。また、これまで食べることができなかった食品の代替としても機能するため、食材や料理の選択の幅が広がります。


2 みんな同じ料理を食べることができる

アレルギーフリー食品は食物アレルギーを持つ人のみが食べる特有の食品ではありません。「アレルギーの原因食材を使用していない」というだけなので、食物アレルギーを持つ人と一緒の食卓を囲んだり、一緒に料理を作ったりする等食材を取り扱うイベントにおいて、食物アレルギーを持つ、持たないに関わらずみんなで同じものをシェアすることができます。


(デメリット)

1 「アレルギーフリー食品」の対象となる原因食材は異なることがある

「アレルギーフリー」という表示のみの場合、例えば「本品には鶏卵は含まれていません」と特定の食材を除いた食品なのか、「特定原材料8品目不使用」もしくは「アレルゲン(28品目対象)」の食品なのか、その範囲は食品によって異なります。購入時には「アレルギーフリー」という表示のみではなく、成分表を確認し対象食品を必ず確認する必要があります。


また、日本と同様に海外でも食品表示として食物アレルギーに関する表示が規定されています。しかし、日本と海外では食習慣や食文化などの環境要因、遺伝要因が異なるため、食物アレルギーの原因食材として義務や推奨表示を指定されている食品に違いがあります。したがって、アレルギーフリー食品といっても、その対象がどの食品のことを指しているのか注意が必要です。


(例)

アメリカ 
【義務表示】小麦・甲殻類・鶏卵・魚類(バス・ヒラメ・タラ等)・落花生・大豆・乳・ナッツ類・ごま

EU   
【義務表示】小麦・大麦・ライ麦・オーツ麦(交雑種を含む)・甲殻類・鶏卵・魚類・落花生・大豆・乳・ナッツ類・亜硫酸塩・軟体動物・ごま・マスタード・セロリ・ルピナス

韓国
【義務表示】小麦・えび・かに・鶏卵・サバ・落花生・大豆・乳・ナッツ類・亜硫酸塩・そば・いか・かき・あわび・いがい・もも・豚肉・牛肉・鶏肉・トマト

「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」p.7参考 諸外国での食物アレルギー表示対象品目より一部抜粋(消費者庁 令和5年3月作成)

4 日本での広がり

最近では、自分自身もしくは自分の身近な人が食物アレルギーを持っているというケースが多いこともあり、日常的に利用するスーパーやコンビニでもアレルギーフリー食品が数多く取り扱われています。また、SNSでも関連する情報が数多く掲載され、日本でも普及率が高いフリーフロム食品です。


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