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マックの裏側 第9回

 フレッド・ターナー氏に大きな影響を受けたジョン・朝原氏が日本マクドナルドに与えた、店舗マネージャー向け教育内容やシステムをもう少し見てみよう。マクドナルドのマネージャーの基本は、お店の状態QSCの管理だ。具体的には、マネージャーが店舗で働いている時の基本がフロアーコントロール(店舗営業中の客席・厨房などの店舗状態管理)だ。以前説明したが入社時、よくわからなくて、忙しい時にクルー(アルバイト)のやるべき作業を手伝っていて怒られた。高い給料をもらっている正社員マネージャーが、賃金のはるかに安いアルバイトと同じ作業をするのは採算が合わないという理由だ。マネージャーは文字通りマネージメント(管理)、具体的にはクルーの作業指示だということだ。店舗クルーの仕事ぶりを観察し、最適の状態にすることだ。忙しい時にはアルバイトの習熟度や適性により、その作業に向いていない場合がある。各クルーの作業と店舗の状態を観察し、最適の人員配置により効率は20%以上も向上する。ピーク時にはクルーの作業の習熟度を瞬時に見分け、最適の位置に配置替えをする。マクドナルドはクルーの作業を細かく分類し、それぞれの仕事内容を細かく決めている。仕事を始めたばかりで慣れないクルーであっても、すぐマスターし、得意な作業が必ず出てくる。私が入社したころは、レジを6~10台ほど並べていた。お客様が均等にレジに並べばよいが、真ん中等の並びやすいレジに集中しがちだ。なれないクルーが真ん中の忙しいレジにいると遅くなる。配置換えをし、ベテランのクルーを忙しいレジに入れると、客裁きが向上する。接客の作業を考えてみよう。作業を分解すると、あいさつと注文受け、商品の代金の授受、商品の取りそろえ、商品の持ち帰り用への袋詰め、商品の手渡しと再来店の挨拶だ。暇なときには一人でやる作業もピーク時には複数の作業に分けられる。ベテランのクルーをトレーナーとして組ませ一つの作業をさせる。そうすれば労働力として作業させながらトレーニングができる。この仕組みはドライブスルーに活用されているし、最近の接客にも使われている。注文受けと会計、商品の準備、商品の受け渡し、を分ける形だ。暇な時間になったら慣れないクルーを少しづつ忙しいレジにつけたり、難しい作業をやらせる。
 この作業を分解し、それぞれ手順を明確にし、どのような順で行うかを決めた、S.O.C.(ステーション・オブザベーション・チェックリスト)に発展し、全作業を30か所以上に分類し、きめ細かく作業を学ばせた。このシステムの完成により新人アルバイトを15時間で戦力化できた。

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