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『First Love 初恋』が飛行機とタクシーの話である理由

#ネタバレ を含む記事です。個人的な考察であり、製作者の意図とは異なることがあります。

晴道と也英の象徴としての飛行機とタクシー

Netflixで配信中のドラマ『First Love 初恋』はCAを目指していたものの、不慮の事故で夢をあきらめた野口也英と、前職は航空自衛隊のパイロットで現在はビルの警備員の仕事に就く並木晴道の初恋と再会から始まる運命の物語です。

二人はともに高校時代に空を飛ぶ職業に憧れながらも、さまざまな理由により、現在は地上の職業に就きます。也英はタクシー運転手、晴道は地下フロアを含むビルの警備員です。晴道の回想シーンでは飛行機に乗るシーンも多くありますが、也英は飛行機に乗って空を飛ぶことはありません。そして、現在の二人の移動手段として出てくるのがタクシーです。

タクシーという言葉の意味


晴道の回想シーンでは自衛隊として任務についていた期間に飛行機に乗るシーンが何回か登場します。その中で、自衛隊の輸送機に乗る晴道が管制官とやりとりをしながら、「タクシーライト、オン」と言うシーンがあります。このシーンでは、晴道の手元にはタクシーライトと表示のあるレバーが映されます。

飛行機のタクシーライトとは地上走行中に使用するライトのことです。飛行機が自らの力で地上走行をすることをタキシング(Taxing)と言います。また、離着陸以外に、滑走路などをゆっくり動いている状態をタクシーと呼びます。なお、航空機が駐機場と滑走路との間を移動するために設けられた通路である誘導路は、別名「タクシーウェイ」とも呼ばれます。

つまり、『First Love 初恋』で也英が地上をタクシーで走っているのは、飛行機で言えば、滑走路から飛び立つまで自力で走行している状態にあたります。そして、本編の最後で明かされるように也英の運命は飛行機で空を飛ぶことでした。
 このように『First Love 初恋』は飛行機の地上走行を示す「タクシー」という航空用語を巧みに使い、一度、空を飛ぶ夢を失った主人公たちを地上走行を意味する「タクシー」に乗せ、再び空を飛ばせるという構造になっているのです。

註:この内容は2022年12月7日にTwitter スペースにて話した内容を文字化し、一部内容を加えたものです。



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