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社長が押さえておくべき経営数字

 経営者の使命は、会社の永続的な存続(ゴーイングコンサーン)を実現することにあります。高い売上高をあげることでも利益を創出することは目的ではありません。それらは手段に過ぎません。
 事業継続のためには、社員のすすむべき方向(目標)を設定し、戦略を練り、実行に移すことが必要となります。
 その中でもっとも難しいのは、戦略を着実に実行することです。
 戦略や施策を実際に実現するのは、社員に他ならないからです。目標に対する進捗を精緻に管理し、都度軌道修正することが必要です。
 社内外の状況を数字で把握することによって、具体的な施策に展開することが可能となります。

1.企業活動の目的は、事業継続

 企業活動は、究極的には事業継続が目的となります。例えば1年限りの事業であったとすると、優秀な人材を採用することは難しいでしょう。
 どんなに崇高な理念を持っていたとしても1年で職を失うような会社では、ライフプランを描くことができません。大切な自分の時間を捧げることはないでしょう。

 お客様も同様です。価値のある商品やサービスであれば反復して購入したり、取引したいと考えます。それが1年限定の商品やサービスであったならばメンテナンスやアフターサービスを受けることもできません。BtoBであれば長期の計画を立てることは困難になるでしょう。

 何より社会への貢献も果たすことはできません。商品サービスを通した社会貢献や、間接的な納税も短期間では果たすことはできないでしょう。

 事業を継続するには、お金(キャッシュ)が必要となります。今年1年限りでなく、未来永劫事業を継続していくためには先々を見通した売り上げの計画が必要となり、そのための戦略を定量的に把握していくことが重要となるのです。

長い道のりには、長期的なビジョンが必要


2.ビジョンと現状のギャップを数字で把握する

 将来を見通して、事業を継続するには、行動の元となる、こころの拠り所が必要となります。
 そのために企業には、経営理念やミッションがあります。それはひと言でいうと企業の【存立意義】です。
 理念やミッションは、「社会課題を解決するために・・・」や「人々の生活を豊かにするために・・・」などの定性的な表現で語られます。
 企業経営には、そもそも何故その会社が必要なのかを明文化しておく必要があるからです。そうした理念やミッションは企業活動や社員の行動の源泉となります。トラブルや障壁に遭遇した時の指針となるものです。
 ただ理念やミッションは抽象度が高すぎて、いかようにもとれる自由度が高いというデメリットもあります。
 それ故社員の具体的な行動を促すものとはなり得ません。

ビジョン実現のために経営数字を有効活用する

 そこでもう少し手前の到達点、中間目標が必要となります。
それがビジョンです。
 5年後に売上高100億円とか、営業利益率20%とか、顧客満足度95%などの定量的な指標と
 業界内のリーディングカンパニーとなる、社員がイキイキと働く職場を実現するなどの定性的な目標を掲げます。

 定量的な指標の一番のメリットは、誰がきいても同じ認識を持つことができることにあります。
 そして納得度の高いものであることが必要です。そこでマクロ環境や市場環境、社会課題の大きさなどを定量的に把握することが有効となります。
 人口増減や地球環境、社会環境の変化を機微にとらえた生きた数字を用いることがポイントです。

 ビジョンを実現するには、将来(5年後など)を見据えて、現状との差分を認識することが重要です。
 現在のお客様の状況や、キャッシュ(お金)を精緻に把握するのです。
 差分が「見える化」できて、具体的に何をすべきか戦略を立てることができるのです。
 戦略を立てる際にも数字が必要です。ターゲットとするお客様はどれくらいの数がいて、どのような認識であるのか、それをマーケティング活動によってどの程度引き上げることができるのか、論理的に表現することが必要となるのです。
 資金面でもどこから調達し、どのように資産形成することでビジョン実現に展開していくのかを数字で表すのです。

3.可視化できれば具体的な対策に繋がる

 目標までの差分を数字で表すことができれば、具体的な行動を促すことが可能となります。

ロジックツリー

 図は、目標達成のためのロジックツリーです。現状の差分(ここでは売上目標未達3億円)は何故生じているのか「なぜ?」「なぜ?」を繰り返し検討していきます。
 深掘りする思考を繰り返すことで本質的な問題を導くことができるもので す。客観的な数字を起点として深く考えることで、効果の高い施策を検討することが可能となるのです。

 経営数字を学び、有効に活用することで、社長や社員の夢であるビジョンに対して適切に近づくことが可能となると考えています。


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