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文化的資本と学校教育

このnoteは「2017年度 特別講義・落合陽一 『ユビキタスからデジタルネイチャーへ:アート・エンターテイメント・デザイン』」から想起したものです。

現在の教育と社会の問題点

この動画では現在の学校教育(近代学校教育)を「時代に合っていない」と評していました。僕としてもそれは強く感じています。ではどうすれば良いのでしょうか。そのヒントは動画の最後の質問にありました。

生徒からの質問の内容は「学校の教育がよくても生徒によってモチベーションに差があるが落合陽一さんはどのように考えているか」というものでした。

それに対する落合さんの答えは文化資本の再分配関係にあるとのことでした。
落合さん自身も現在はモチベーション格差が問題であると考えており、それを打破するのは、

1.文化的な資本を継続しているか
2.よりモチベーテッドな教育を受けているか

であるとおっしゃってました。その一方で、文化資本の格差は経済格差よりも大きいことを問題視していました。YouTubeなど、文化資本自体は世の中にあふれているが、それに触れようとしない人たちをどのように触れてもらうようにするのかが問題であるということです。

文化資本格差の解消

文化資本の解消のためには何が必要なのでしょうか。落合さん自身はテレビやメディアに出ることでそれをしようとしているようです。
では他にどのような方法があるのでしょうか。僕は学校がカギになるのではないかと思います。

学校教育というのは元々国民全員が一定の行動をできるようにするためのものです。しかしこれからの時代は一人一人が考え行動していく必要が出てきます。そのため以前のような目的の教育では時代遅れになっているのです。(落合さんの現在の学校教育への評価もそこから来ているのではないかと思います)

そのため僕はこれからの学校教育は「人々が文化的資本を得られる場・得られるきっかけを作る場」として存在していくのではないかと考えています。

かつての学校の役割はどこへいくのか

ではかつての学校の役割であった「教育を受けられる場」はどこにいくのかという問題が出てきます。もちろん学校はそのような役割も持ち続けるのでしょうが、その役割を担うのは主にYouTubeの解説動画やその他解説サイトになっていくでしょう。なぜならそちらの方が質の高い教材であるからです。そして教師はそのような教材では理解が不足した生徒を補助する、いわば塾のチューターのような役割になると考えます。

また先に挙げた動画では「反転教育」というものが登場しました。反転教育とは、新しい学習内容を自宅でビデオ授業などで予習をし、学校の教室では個々の生徒に合わせた課題を取り組んだり、他生徒と協力して課題に取り組むという形態の授業です。これらのように学校は「教育を受けられる場」としての役割を持ち続けることは可能でしょうが今までの「多数の生徒が同時に同じ授業を受ける」というのは少なくなっていくと考えられます。

学校の新たな役割

では学校の新たな役割、「人々が文化的資本を得られる場・得られるきっかけを作る場」について説明していきます。
それは

他の文化的資本を持っている組織(※)と連携し、生徒が簡単にそれらの資本を使えるようにすること

(※ 図書館、科学館、博物館、美術館、大学、研究所など)
です。

文化的資本を持つ組織はそれぞれがネット上に資本を公開しています。しかしすべての資本を公開しているわけではありません。その文化的資本を維持するためにかかる費用を捻出するためあえて公開しないという手段をとることがあるからです。また小規模の組織ではそもそもネット上に公開することが技術的・経済的にできないこともあります。

このような資本は基本的に入手するのがなかなか難しいという問題点があります。しかし学校ならば教育機関であること等の理由により、比較的容易にそれらの使用ができます。その利点を生かし、学校が文化的資本の総合的な提供場所となることが可能であると考えられます。また学校は基本的に子供が通う場所となっており、今まで文化的資本に触れる機会がなかったような子供も気軽に文化的資本に触れることができるようになります。

もちろん今までも社会見学などでそれに触れることができましたが、情報通信技術の発展やネット上のサイトの充実化で触れられる資本の量はぐっと増しましたし、VR・AR技術の登場により新たな方向での文化資本の提供も広がっていくでしょう。そのためには、今まで以上に学校とその他の文化的資本を持つ組織とのつながりを強化していく必要があります。

このように、学校にはモチベーション格差を打破する方法

1.文化的な資本を継続しているか
2.よりモチベーテッドな教育を受けているか

二つを同時に果たすことができると考えられます。
このように学校には現在でもとても大きなエネルギーを秘めていると考えられます。しかしこれからの学校教育方針によってはそれがうまく機能せず現在のような「社会にとって無駄なもの」になってしまう可能性があります。そうならないよう、これからの学校教育についてさらなる議論が必要になっていくのではないでしょうか。

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