クレイジーに配色を
東京に来て5ヶ月目に突入しようとする月。
個性あふれるカラーリングを身に纏った青年たちで、今日も溢れかえるトウキョウ
彼女は言葉を発することなく、その画面を私に見せてきた。
それが私たちの出会いだったみたいだね。
下北沢のゴミだめのような喫煙所にいた彼女はSNSからそのまま飛び出してきたような子だった。
初めて2人で遊んだのは渋谷のワンカン
緑ハイ片手に20%オフのイワシの唐揚げ、ウィンストンのキャスター
美味しそうに煙とアルコールを体内にながしこむ
初めて会った気がしないその懐かしさを感じさせてくれる彼女。
次いつ会えるん?
誘うのが苦手な私をすぐに外に連れ出してくれる。
シチューの具材買ったから、作りにきてや。
ここ可愛い、行こ。
チャリで紅葉観に行こや。
てめぇ、なんでそんなに親しみやすい?
少しだけの口の悪さは彼女のチャームポイント。
2人で撮った証明写真は白目で決めポーズ。
シチューの代わりにくれたリンガーのロンT。
私不在の家で書いてくれた置き手紙
貸した本に挟まったまんまの栞代わりのストローの袋
出会って2ヶ月ほどしか経っていないのに、こんなにも安心感と高揚感をくれる彼女。
私が作ったご飯をうまいうまいとかき込んで、笑顔でおかわりを催促。
私、あんたのことを写真に収めるの好きなの。すごくいい顔するよね。
でも、あんたのカメラと私は相性が悪いみたい。もう少し写り良く撮られたいから、練習しとくね。
言葉は乱雑なくらいがちょうど良くて、性格は大雑把でいい。それらでは隠せないほどの気配りと優しさが備わっている事。あんたを取り囲む私たちは知っているから。
私ね、そんな簡単に本貸さないんだよ。
私の一部だから。
私が本を貸すっていう行為は、好きなものを共有したい表れと自己紹介みたいなもので、仲の良い人にしか貸せないんだ。
貸した本を返す時に、次の本貸してと言ったあんたに、喜んで私は本を貸すわ。
まさか大人になって、こんなにも気の合う友達が出来るなんてね。
お酒飲みすぎないで、たまには家で大人しくしてなよ。
タバコの代わりに飴を舐める日があるのも悪くないと思わない?
そんなこと言っても、私のことなんて聞かずに好きにするんでしょ。
そのまんまが1番だね。
私はあんたで、あなたはてめえ。
そう呼び合うのが1番心地いいみたい。
また来週、あんたの笑い声に誘われて、町中華へ繰り出すとしよう。
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