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心臓を修理する(1) 心臓弁膜症治療日記

はじめに

自動車や無線機の修理が趣味の私が、まさか自分の心臓を修理に出すことになるとは・・・。この記事はその顛末です。タイトル写真はシャレですが、心臓の修理には本当に大工道具的なものが使われます。
私は医学は全くの素人、病院でもらった書類や信頼できるサイトなどでできる限り正確に書こうとは思いますが、あくまでも一患者の体験談としてお読みいただければと思います。

6月:要精密検査

勤め先では、毎年5月か6月に健康診断があります。今年は5月中旬でした。結果は3週間後くらいに来るのですが、その問診で「心雑音」の所見がありました。実はその前の2年間、同じ指摘で「経過観察」となっていたのが、今年はかなり大きいということで「要精密検査」になりました。

まずは、近所のかかりつけ医に。そこでも聴診で心雑音が確認され、レントゲンで心臓肥大、心電図の波形異常が確認されたので、その場で大病院送りに、近くに行ったことのある大病院がなかったので、一番近い隣の駅にある大学病院あてに紹介状を書いてもらいました。

健診の結果、問診で要精密検査、レントゲンでも異常が見えていた。
視力低下というのは当日眼鏡を忘れたためで別に異常ではない。

教訓その1:
自分で経過観察はできない。経過観察と指示されたらまず医者に行くこと。

かかりつけ医でよいが、できたら症状に対応する科を看板に出している医者に。
(私の場合は専門外の医者から降圧剤を処方されていたので見逃されていた)

7月28日(金) 診断を受ける

7月末に大学病院の循環器内科へ。初診なので紹介状を出して診察券を作ってもらう。レントゲン、心電図と血液検査を受けてから診察へ。それにしても大学病院は待たされます。心臓や脳の関係は救急車が来ると緊急で外来は中断するのですがこれは仕方ありません。この日も1時間の急患の中断があって10時半の予約で診てもらったのは13時半、まともに食事ができないお医者さんは大変です。
穏やかな年配の医師から、心臓の模型などを使って丁寧に説明を受けました。検査結果からは、かかりつけ医で発見された心電図の異常はここでは出ませんででしたが、心雑音と、高血圧で上の血圧が高いのに、下の血圧が不自然に低いという特徴から心臓弁膜症の疑いとの説明を受けました。
心臓の弁がうまく閉じずに血液が逆流しているとのこと。下の血圧が下がるというのが弁膜症の典型的な症状だそうです。自動車のエンジンもバルブが大事です。弁膜症というのはバルブが閉じずに圧縮が上がらず、白煙を吹いているエンジンみたいなものか。エンジンだとオーバーヒートすることがありますが、無理して動いているので心臓肥大になっているということです。

検査の予約をもらって帰宅。心臓弁膜症という病名になじみがなかったのでネットで色々調べてみます。さすがに心臓弁膜症を直す民間療法や健康食品はないようで、怪しい情報がほとんどないのは助かります。病院のサイトにはどこも大体同じようなことが書いてありました。結構深刻なようです。

10年ほど前から高血圧で降圧剤を処方されていました。おかげで毎日血圧を測っていたので過去の記録をひっくり返してみると、確かに上の血圧は140前後と立派な高血圧ですが、下の血圧はずっと90くらいだったのが2021年から2022年にかけて80から70に下がり、23年には60台に下がっていました。これは健康診断で心雑音が指摘された時期と一致します。元々激しいスポーツはやらず、仕事もデスクワークなのに加えて、ちょうどこの時期コロナで、より動かない、出歩かない生活になったのも自覚症状を見えにくくしたのかもしれません。

8月22日(火) 精密検査

さて、健診で要求された精密検査です。そうは言われても特に自覚症状はなく、お盆休みは田舎でのんびり過ごして休み明けに冠動脈CTと心臓超音波の検査、CTは造影剤を使うので同意書にサイン、これが山ほどサインすることになる同意書の1枚目となりました。

冠動脈CTは点滴で造影剤を入れるだけで検査自体は普通のCT、ただ、朝に脈を遅くする薬!を飲みました。ちょっと怖かったですがこれ自体は特に問題はありませんでした。心臓超音波は以前に胆石の疑いで受けた時の検査と似たようなもの。ただ、見る場所が違うのであおむけではなく、横向きに寝て抱きかかえられるようにして検査されます。それにしても最近の超音波の進歩はすごい。一昔前だと、こんな縞模様をどうやって読むのだろうと思ったものですが、今では素人でも心臓の大体の形がわかるくらいに見えます。それに自動で色分けされるようになっていてかなり見やすい。なんてことを考えながら検査を終えました。1週間後に結果が出ます。

9月1日(金) 診断を受ける

検査結果を待って受診、血管に大きな異常はなかったものの中等~重度大動脈弁閉鎖不全、重度僧帽弁閉鎖不全の診断を受けました。手術となる可能性があるとのこと。循環器内科での診察はここまで。

不思議なもので病院に行くときには何とも思わなかったのが、帰りには少し息苦しいような気が・・・。正直しばらく眠れない日が続きました。やめとけばよいのにやっぱりネットで調べてしまいます。『2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン』という本格的な資料があったのでダウンロードしました。医師向けの資料なので、難しくてわからないのですが、どうやら今回の診断結果では手術しか選択肢がなく、自覚症状がなくても放置すれば急速に悪化して死に至る、ということだけはわかりました。治療する医師向けの文献で一般向けではないので徹底的に客観的で優しさや配慮はゼロです。こういう資料を科学的な文献を読む素養の無い当事者が見るのは考え物かも。
まあ、理系人間なので専門外でも論文の読み方はわかります。理屈で説明されたほうが納得できます。機械的な動作不良?をほっとけば死ぬぞ、と言われれば覚悟するしかないようです。

教訓その2:健康診断はしっかり受けよう
健康診断など役に立たないという人もいますが、重病が見つかることもある。体力や健康を過信して受けないのは問題外。健診の前だけ節制するのもやめよう。バツが付いたら必ず医者へ。

この先の治療に向けて翌週、循環器外科の診察を受けることに。
そこから先は次回。


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