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東野圭吾の小説、全100作品からオススメの20冊を選ぶ

非常にむずかしい。

東野圭吾の作品をお薦めする、という行為は非常にむずかしい。

まずもって作品の数が多い。テーマもバラバラ。王将とみよしのの餃子を比べることは出来るにせよ、王将の餃子と信州庵の味定天丼は同じ土俵には乗らないだろう。

もう一つ、危惧していることがある。「東野圭吾」と書くことは失礼に当たらないのか。「東野圭吾さんの作品って面白いよね」とは言わないから、やっぱり「さん」はつけない。我々が口にする「東野圭吾」は、もはや個人名とは別のブランド的な扱いなのかもしれない。


不安を書き出したところで、本題に入りたい。

はじめに
「この記事の想定読者」
「この記事でわかること」
を書いておこう。

【この記事はどんな人にオススメ?】
・最近、東野圭吾を好きになった
・東野圭吾には詳しいが他人の意見も見たい
・東野圭吾の「ひ」の字も知らないけど、少し気になる
・おまえの知識がどんなもんかお手並み拝見してやるよ、と思ってくださる方

【この記事でわかること】
・東野圭吾の主要作品リスト
・東野圭吾の主要作品のあらすじ・総評
・東野圭吾の作品を選ぶヒント
・筆者の人生における東野圭吾の役割

※ここまで、イトーダーキさんの「ビートルズの全13アルバム完全網羅。」の書き出しをほぼ丸パクリさせていただいた。深くお詫び申し上げたい🙇‍♂️💦


さて、東野圭吾の「主要作品」の選び方だが、わたしの独断と偏見で選抜試験を実施。

一次選考の選考基準は以下
・ストーリーと結末を覚えているか
・面白かったか
・思い入れがあるか

一次選考を通過した35作品

仮面山荘殺人事件
変身
分身
天使の耳
秘密
白夜行
幻夜
探偵ガリレオ
予知夢
容疑者Xの献身
片想い
手紙
ゲームの名は誘拐
さまよう刃
赤い指
夜明けの街で
ダイイング・アイ
流星の絆
聖女の救済
新参者
プラチナデータ
白銀ジャック
麒麟の翼
真夏の方程式
マスカレードホテル
夢幻花
祈りの幕が下りる時
疾風ロンド
虚ろな十字架
ラプラスの魔女
人魚の眠る家
恋のゴンドラ
雪煙チェイス
魔力の胎動
白鳥とコウモリ

概ね発行順だが一部順不同

注)初期作品は大学生の頃に読んで記憶が曖昧なため、本選考基準では実力を発揮できずにほとんどが落選する結果に・・・orz


二次選考では20作品以下に絞る。一次選考はこちらのまとめサイトを見ながら好きな作品をサクサク選んだだけなので楽だった。本題はここから。


二次選考の選考基準
・1時間以上語れるほど思い入れがあるか
・余命1週間の人にオススメできるか
・涙を流すほど感動したか / 膝を打つほど感激したか
・2回以上、読んだか

二次選考を通過した20作品

仮面山荘殺人事件
変身
分身
秘密
白夜行(幻夜)
容疑者Xの献身(探偵ガリレオ、予知夢)
片想い
手紙
さまよう刃
流星の絆
聖女の救済
プラチナデータ
白銀ジャック(疾風ロンド、雪煙チェイス、恋のゴンドラ)
新参者
麒麟の翼
祈りの幕が下りる時
虚ろな十字架
ラプラスの魔女(魔力の胎動)
人魚の眠る家
白鳥とコウモリ

おぉ。たまたま一発で20作品になった!

一部「シリーズでまとめる」というせこい手法も駆使しているが、詳細は各パートで紹介したい。


それでは、行ってみよう!


1. 仮面山荘殺人事件

あらすじ

8名の男女が、山奥の山荘で強盗犯に監禁される。あらゆる方法で脱出を試みるも失敗におわり緊張状態が続くなか、ついに被害者が・・・。しかし、状況から見て犯人は強盗グループではない。パニックに陥る7人。そして、物語は驚きの結末を迎える ーー

オススメ度 :★★★★☆
読みやすさ :★★★★★
どんでん返し:★★★★★+++

わたしが東野圭吾作品を漁るきっかけになった一冊。

ミステリーが中心だった初期作品の中で一番読みやすく、ミステリーだけどポップさも含んだ作品。2人の強盗と監禁された8人の思惑が交錯する物語の結末は、驚きの大どんでん返し。騙される快感を味わえる名作。


2. 変身

あらすじ

成瀬純一は銀行強盗事件に巻き込まれ、頭に銃撃をうける。担ぎ込まれた病院で行われたのは、世界初の脳移植手術。手術は成功し、純一は順調に回復しているように見えたが・・・

オススメ度 :★★★★☆
読みやすさ :★★★★☆
不気味切ない:★★★★★+++

脳移植を受けた男の苦悩と、変わりゆく姿を描いた作品。

初期の作品は純ミステリーが中心だったが、徐々に医学や科学といったサイエンスをテーマにした作品が増えていく。その先駆けとなったのがこの「変身」。切なく、怖い。正直、読後感はよくない。でも何回も読んじゃう。そういう小説。


3. 分身

あらすじ

札幌に住む大学生の鞠子は、亡くなった母が自分を愛していなかったことに疑問を抱いていた。東京に住む双葉は、音楽バンドのボーカルとしてテレビに出ることを頑なに許さない母に違和感を抱いていた。鞠子と双葉。2人を繋ぐものとは?現代医学のグレーゾーンを描く、長編ミステリー。

オススメ度 :★★★★★+
読みやすさ :★★★★★++
引き込まれ度:★★★★★+++

鞠子と双葉。2人の視点が入れ替わりながら描かれる物語は、あまりに美しく一気読み必須。

分身はわたしに「長編小説」の面白さを教えてくれた一冊。こんなに長い小説を読んだことがなかったのに、ブックオフで買ったその日に読み始め、寝るのを忘れて読み終えた。残ったのは爽快な読後感と多大な睡眠負債。


4. 秘密

あらすじ

妻と娘を乗せた長距離バスが転落事故に遭い、妻が亡くなった。娘は意識不明の重体から生還。しかし、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。誰にも言えない二人だけの秘密。その生活の先にあるものは・・・

オススメ度:★★★★★++
読みやすさ:★★★★★+++
泣ける  :★★★★★+++

奇妙で不思議な家族の物語。ラストシーンの切なさは、全作品中No.1。

甲乙つけがたい東野作品ですが、わたしの中で5本の指に入る超名作。設定がファンタジーなのに、世界観に深く引き込む叙述クオリティはもはや異次元。ラストシーンは涙なしでは読めません。大好き。


5. 白夜行(幻夜)

あらすじ

大阪の廃墟ビルで一人の男が殺された。容疑者はあがるものの、事件は迷宮入り。被害者の息子と容疑者の娘は大人になり、2人の間には怪しい接点が見え隠れしていた・・・。事件の真相、そして彼らが辿る運命とは ーー

オススメ度:★★★★★+
読みやすさ:★★☆☆☆
読みごたえ:★★★★★+++

東野圭吾、不朽の超大作。ドラマもオススメ。

2つ前に紹介した「分身」の比じゃないくらい長い。だけどずっと読めちゃう。先が気になって、寝れなくなる。オススメしたいけど、できない。そんな問題作(笑)

姉妹作品の「幻夜」もオススメ。白夜行よりも一つ一つの出来事のインパクトが大きく、読みやすい。



6. 容疑者Xの献身

あらすじ

冴えない中年男・石神は隣室に住む花岡靖子が営む弁当屋の常連客だった。ある日、靖子と娘が2人で暮らす家に別れた夫が押し入る。何度も繰り返される金の無心。言い争いになったはずみで、親子は男を殺してしまう。そのとき、男のうめき声は隣室の石神に聞こえていて・・・

オススメ度 :★★★★★++
読みやすさ :★★★★★++
切なすぎる愛:★★★★★+++

不器用な男の切なすぎる愛。ぜひ、映画も観てほしい!

大学生の頃、少ないバイト代で新書を買い、映画館でむせび泣いた思い出の作品。正しさとは?美しさとは?そんな正解のない問いを正面から受け止めることができず、涙になって溢れた。映画では冴えない中年男・石神を堤真一さんが好演。感涙のラストシーンは、日本映画史上に残る名場面。

※先に小説を読むことを推奨します。細かい描写が後半に効いてくる作品なので、深く味わうには小説→映画の順序が吉。


7. 片想い

あらすじ

10年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに彼女をかくまうのだが・・・。10年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長篇ミステリー。

オススメ度 :★★★★★
読みやすさ :★★★☆☆
考えさせられ:★★★★★+++

もっと評価されてほしい「ジェンダー問題」を扱った作品。

ジェンダー、性差、不平等な男女社会。「性別」に関わる難しい問題を、深いところまで掘り下げた良書。アメフト部だった主人公と旧友たちの間で繰り広げられる、熱く儚い友情も見どころ。ただテーマが難しく、読みやすくはない。だから、何度も読んじゃう(笑)
そんでもって、この作品を「2001年」に発行しているから東野圭吾はえげつない。


8. 手紙

あらすじ

兄が人を殺した。身寄りのない弟・直貴は、逆境のなか1人で強く生きていこうとするのだが…。希望が見えるたびに消え、何かを掴みかけては逃げていく。犯罪者の家族に、幸せになる道はあるのか。罪とは何か。償いとは何か。直貴が見つけた「答え」とは・・・

オススメ度 :★★★★★+++
読みやすさ :★★★★★+++
読むべき一冊:★★★★★+++

わたしはこの本のことを「人生のバイブル」と呼んでいる。面白いとか、いい話とか、そういう次元ではない。全人類が読んで考えるべき「幸せ」への道標。
この本を「救いがない」と評する人もいるけれど、わたしはどんな状況になったとしても「この本のおかげで前を向いて生きていける」と思っている。そして、この本で描かれる「厳しすぎる現実」からは、誰も逃れることはできないだろう。


9. さまよう刃

あらすじ

一人娘・絵摩の死体が荒川で発見された。未成年の少年グループによって蹂躪された末の死体遺棄。謎の密告電話によって犯人を知った父・長峰は、娘の復讐のため動き出す。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察が追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える ーー

オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
救いのなさ:★★★★★+++

重く悲しい、救いようのない話。

高校生の一人娘が、花火大会に行ったきり帰ってこない。翌日、強姦された末に遺体となった娘と対面する。もし自分にそんな状況が訪れたら、同じように復讐すると思う。是非など知ったことではない。この本を読んで、わたしはそう思った。そう思ってしまった。あなたは、何を思う?


10. 流星の絆

あらすじ

「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」
何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。三人で完璧に仕掛けたはずの復讐計画。その最大の誤算は、妹の恋心だった ーーー

オススメ度:★★★★★+
読みやすさ:★★★★★++
心温まる話:★★★★★+++

「兄弟っていいな。家族っていいな。」読み終えたら、きっとそう思う。

手紙、さまよう刃、と超重量級作品のあとに流星の絆がきてくれてよかった(笑) 温かい作品って、やっぱりいいよね。ドラマも最高。長男のニノ、次男の錦戸くん、末っ子の戸田恵梨香。みんな最高。極め付けは中島美嘉が歌う主題歌「ORION」。最高 of 最高。

※この作品は「ドラマ先」を推奨。もしくはドラマを見た後に読み返してほしい。ORIONが抜群のタイミングで脳内再生されるはず。


11. 聖女の救済

あらすじ

資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが…。

オススメ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★☆
伏線回収 :★★★★★+++

あらゆる伏線の回収が美しすぎる傑作ミステリー。

正直、主人公の女性(妻)には共感できなかったし推理小説として面白いな、くらいの感覚で読んでいた。しかし、ラストシーンで描かれる驚愕の真実と、伏線回収の美しさに感動。ガリレオシリーズを読んでいなくても、初見で十分楽しめる作品だ。


12. プラチナデータ

あらすじ

国民の遺伝子情報から犯人を特定するDNA捜査システムを操る神楽龍平。検挙率が飛躍的に上昇する中、新たな殺人事件が発生。殺されたのはシステム開発者である天才数学者の兄弟。彼らはなぜ殺されたのか?真相を追う神楽は現場に残された毛髪を解析。しかし特定された犯人データに打ちのめされることになる。犯人『神楽龍平』――。 追う者から追われる者へ。神楽は警察の包囲網をかわし、真相に辿り着こうとするが・・・

オススメ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★++
ドキドキ感:★★★★★+++

読みやすくて面白い、ドキドキハラハラ系の一冊。

テーマが特徴的なので好みが分かれそうな気もするが、警察から逃げながら真相に辿り着く疾走感はたまらなく気持ちがいい。ライトな読書を楽しみたいときにオススメの一冊。


13. 白銀ジャック(疾風ロンド、雪煙チェイス、恋のゴンドラ)

あらすじ

ゲレンデの下に爆弾が埋まっている――
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあった・・・

オススメ度:★★★★★+
読みやすさ:★★★★★+++
ハラハラ感:★★★★★+++

東野圭吾と言えばゲレンデシリーズ!

ご本人がスキーが大変お好きなようで、雪山を舞台に描かれる細やかな描写は、雪山育ちのわたしのアドレナリンやらノスタルジーやらを刺激しまくってくる。
ゲレンデシリーズは続き物になっているので「白銀」→「疾風」→「雪煙」の順に読むのが吉。恋のゴンドラは番外編的な扱いでOK。どの作品もポップでファニーなので重たいのが苦手な人には特にオススメ。


14. 新参者

あらすじ

日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく ーー

オススメ度 :★★★★★+
読みやすさ :★★★★★+
人間の奥深さ:★★★★★+++

人っていろんな面を持ってるんだなぁ、と考えさせられる作品。

ここから「加賀恭一郎シリーズ」が続きます。まずは「新参者」ですが、ある事件の真相を追う中で、日本橋の人々の人情味に触れていく刑事・加賀。一つ一つの章がそれだけで物語として成立しているから、感覚としては短編集なんだけど、最終的に一つの結末に繋がっていくという素敵な物語。


15. 麒麟の翼

あらすじ

「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。

オススメ度:★★★★★+
読みやすさ:★★★★★+
父の愛  :★★★★★+++

死んでいく者のメッセージを受け取るのは、生きている者の義務だ。

父親とは、なんでこんなに理解されにくい存在なんだろう。もちろん父親側にほとんどの原因があるのだけれど。わたしが父になれたときには子どもとまっすぐに向き合おう。愛を言葉にして伝えよう。そして、我が父にもう少し寄り添ってみよう。そう思った。


16. 祈りの幕が下りる時

あらすじ

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。近くで発見された焼死体との関連を疑う刑事たち。遺品に刻まれた日本橋を囲む12の橋の名。それは孤独死した加賀恭一郎の母に繋がっていた・・・

オススメ度:★★★★★++
読みやすさ:★★★★★+
父娘の愛 :★★★★★+++

親が子を、子が親を思う気持ちに、正解なんてない。

残酷で、どこまで読み進めても悲しさしか生まれない。読みはじめて早々、物語の冷たさに触れる。その冷たさが温まることはないだろうと気づきながらも、最後まで読みたくなる。彼女たちの結末を知りたい。そして最後まで読んで理解する。人の温かさや幸せを、他人が判断することなど出来ないのだと。

※小説、映画、どちらも名作です。どちらが先でも、楽しめると思います。

17. 虚ろな十字架

あらすじ

中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた―

オススメ度:★★★★★++
読みやすさ:★★★★★++
問題提起 :★★★★★+++

死刑制度を題材にした社会派作品。

個人的にとても好きな作品。登場人物がそこそこ多く人間関係も複雑なはずなのに、物語としても問題提起としてもインパクトが強いので、ストーリーがしっかりと記憶に残っている。死刑制度をテーマに物事の正否を考える題材として、教科書に載せてもらいたいくらいの名作。


18. ラプラスの魔女(魔力の胎動)

あらすじ

遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きた。検証に赴いた地球化学研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――

オススメ度:★★★☆☆
読みやすさ:★★★★☆
広瀬すず :★★★★★+++

好みがハッキリ分かれる、現実離れしたサイエンスフィクション。

わたしは好きだ。冒頭で地元の北海道が出てきたり、円華の超人的な能力に感嘆したり、ツンデレの円華がひたすらに可愛かったり。男はああいうタイプ好きだよね。わかるわかるーーって女子に言われてしまいそうな作品。映画で主人公・円華を演じるのは広瀬すず。最高♡


19. 人魚の眠る家

あらすじ

娘がプールで溺れ、意識不明になるという突然の悲劇に襲われた夫婦。植物状態の娘の回復を願いつつも、決断を迫られる夫婦。人の死とは何を指すのか ーー

オススメ度:★★★★★++
読みやすさ:★★★★★++
感情移入 :★★★★★+++

脳死をテーマにした社会派作品。

「脳死」「植物状態」というテーマはありきたりではある。しかし、その状態になった娘と向き合う親の決意と覚悟に、心が震える。細かいことは書かないので、ぜひ読んでみてほしい。きっと感情がグルングルンに揺さぶられるだろう。


20. 白鳥とコウモリ

あらすじ

遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決――のはずだった。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の"告白"、その絶望――そして希望。「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」私たちは未知なる迷宮に引き込まれる――。

オススメ度:★★★★★+++
読みやすさ:★★★★★+++
読後感  :★★★★★+++

近代東野圭吾史上、最高傑作。

これまで19の作品を紹介してきた。長編ミステリーの代表作と言える「白夜行」、広末涼子が主演で映画化もされた「秘密」、熱狂的なファンに愛され続けている「手紙」。他にも「ガリレオシリーズ」や「加賀恭一郎シリーズ」など、東野圭吾はこの30年余りの間に数々の名作を生み出してきた。

描かれてきたテーマは数多く、物語の根底には人類が向き合い続けてきた「答えのない問い」が埋まっている。罪と罰、償うことと許すこと、生と死、希望と絶望、虚構と真実・・・

それらを一つの物語に無理なく盛り込み、人の奥深さと慈愛を感じさせてくれる作品が「白鳥とコウモリ」だ。ぜひ読んでみてほしい。読み終えた後の気持ちよさ、微かに残る希望に、学びと感動がある。


おわりに


以上、20作品でしたー!めっちゃ疲れたー!6時間半、ノーストップで書いたー!すごーい!

よっしゃ。サウナ行こ♡


あとがき

バッキバキに疲れたんですけど、これ、最後まで読んでくれる人なんておるんか???9,000文字超えたぞ。自己満だからいいんだけどさ、読んでくれた人がいたら、君は相当やばいよ。仕事しなさい。

「あらすじ」について

大変だった。書くのが。8番目の「手紙」くらいまで自作したんだけど、それ以降はAmazonの説明文から引っ張った。てゆうか、最初からそうすればよかった。でも、あらすじ書くの楽しいかも。という発見はあったから良しとする。


総評

a) わたしの読書の「好み」について

-「メッセージ性がある作品」が好きだ。社会派作品や、正解のない問い。これらに触れることで、自分の人生に奥行きを持てるようになった気がしているのだが、はたして・・・?

b)東野圭吾作品の魅力

- 「読みやすい」と思う。個人的な好みではあるが出来事や背景を事実ベースで伝えてくれる作風が好きだ。それもシンプルがいい。かっこよく文学的に、とかは好みじゃない。そういう意味で、シンプルかつ王道を行く東野圭吾の小説は、多くの人に受け入れられやすい作品なんだと思う。
(わたしは「会話が中心」の小説は肌に合わない。「君の膵臓を食べたい」の作者・住野よるさんだけは、なぜか別格で好きなのだけれど…)


- 「先見の明」がある。ジェンダー問題が騒がしい昨今の日本だが、ジェンダーを扱った「片想い」は2001年に発行。紹介しなかった作品だけど、原発をテーマにした「天空の蜂」は1995年に発行している。先見の明があるというか、是非の境界が曖昧なこと、正義と正義がぶつかりやすいことを察知し、向き合い続けるから出来ることなんだと思う。それにあやからない手はないだろう。

- 「大人の教科書」と言っていい。ふだん読書をしない人も、たまに東野作品を読んでみたらいいと思う。だんだん慣れていくものだし、社会派の作品は教養として多くの学びがある。先述したジェンダー問題なんかは好例だ。多面的に物事を見れるように、わたしも引き続き東野作品を読んでいきたい。


なぜこんなnoteを書いたのか

単純にわたしの好きなものを知ってほしいというのが一つ。もう一つは「この問題ってさ、東野圭吾の手紙の『区別』の話だよね」みたいに共通言語を使える人が増えたら嬉しいから。

わたしが思う、日本人が扱うべき新三大言語。日本語、英語、東野圭語・・・

おあとが、よろしいようで。

(いや、マジでここまで読んだ人は強者。大好き。愛してるぜベイベー)



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