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ちまっと可愛い「いきもの賞玩」@皇居三の丸尚蔵館

  コンパクトな展示ではありますが、最近ではお手頃感のある一般1,000円かつ国のお宝ばかりということで、リニューアルしてからお気に入りの皇居三の丸尚蔵館。今回は「いきもの賞玩」。感動!というよりも気軽に楽しめました。

  最近見た?という展示品もありましたが、私は好きなものは何度でも見たいタイプなのでよし。そして「あ、こんなところにいる!」という発見が楽しいので、展覧会でもすみっこまで拡大して見ては楽しんでました。是非、ちまちまっとした可愛らしさを堪能してください。単眼鏡持参を推奨(私は持ってなかったので携帯で拡大してました)。

羽箒に子犬:これは開館記念かどこかの展覧会で見た。このとぼけた顔は忘れない。象牙の丸彫りとは思えないくらい羽根がリアル!
正面から見ると、垂れ耳、垂れ目、お口のきゅっとしたところが最高。
トカゲ型カトラリーレスト:ダホメ共和国大統領からの贈り物。しっぼの感じがいい!展示を見た時はカトラリーレストとは思わなかった。このしっぽの長さの分、広いテーブルが必要というか、私は袖にひっかけるだろうなあ。
横から見ると平べったく作ってあるのがわかる。でもしっぽのゆらっとしたところが妙にリアル。
インクスタンド 雛と蝸牛:初めて蝸牛を見た雛が興味津々なところ、という「なぜこれがインクスタンドのデザイン?」という感じですが、こんなのが机の上にあったら和むし勉強頑張れるかも。
兎:これは多分卯年の天皇一家新春公式写真で机にいた子(あるいはその仲間?)。いいなーと思ってニュースを見ていた記憶がある。シンプルな造形でありつつ、兎の仕草をとらえているところがいつ見ても良い。撫でてみたい一品。お伽噺に出てきそうなのが日本のウサギらしい。
兎:同じウサギでもパリから来たのはこんな感じ。前足を浮かして走り出せる体勢を取り、警戒している姿、とのこと。確かにウサギは臆病な動物ではありますが、そこなんだ!と日本のウサギとの方向性の違いが面白い。狩猟民族的な視点?
ジャガー形石臼:パナマ大統領からの贈り物。中南米でジャガーは信仰の対象とされていたことから、宗教的儀式で使われたものらしい。6~7世紀のものということで、歴史ある逸品。シンプルで力強さを感じる素朴な石臼がいい感じ。今回のお気に入り。
コリントス式アンフォリスコス:ギリシアの都市コリントスでつくられた陶器。紀元前7-6世紀につくられたというもの。ギリシア・ローマの技術って紀元前とは思えない。動物のポージングが流れるようでデザイン的にも素敵。

  と、可愛いものが沢山ですが、生き物と言えばやはり若冲。今回も前後期で1幅ずつ動植綵絵が展示されていました。私が行った後期はこちら。

国宝《動植綵絵 池辺群虫図》

  毎度ではありますが、これこそ細部を見ないと、ということで、目を凝らして気になったところを拡大すると・・・

かえるちゃん。皆が同じ方向を向いてじっとしている。
玉砂利かと思ったらオタマジャクシ。お腹の赤いのはイモリ?毛虫やバッタも。
この違う虫が4種類並んでいるのは何なんだろう・・・他の鑑賞している人も「見てみて!」と注目してたが、不思議なセレクション。うーん・・・若冲、不思議。気になる。
アリが虫の死骸を運んでいるのも左下の隅っこに描かれていた。これぞ虫の世界。
左上には蜘蛛が捕食しているところも。結構、シビアな絵だな。

  ということで、あまりの暑さに行くまではちょっと躊躇しましたが、涼しい美術館の中で、動物たちに癒やされました。あと、古来日本人は虫を愛でてきたんだなあ、というのを再認識。結構、バッタとか虫系の絵もあるので、苦手な方はご注意を(でも若冲のが一番リアルでそれ以外は和歌だったり、それほどではないです)。

<おまけ>やはり1つくらい和歌も載せておこう。やまとうるわし。

和漢朗詠集:うーん日本の心・・・虫は季語ですねー「蝉」「蛍」が詠まれています。
おまけのおまけ。これがないと読めない・・・上の和歌の現代語と意訳。

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