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「プロセカ」のストーリーで道徳の授業をしたい! その1

こんばんは、飛び亀です。

みなさん、学校の「道徳の時間」の授業って、どんなものだったか覚えていますか。また、今なうで学生さんの方は、道徳の授業ってどんなものですか。眠いですか?くだらないですか?

僕は常々思っているのですが、道徳の時間の授業って、ちゃんとテーマと材料を準備してクラスで話し合いを行えば、実はものすごく面白くて人生に役立つものになるはずなんですよ。

何より教員側は「結論・答え」を用意するのではなく、教員側もあくまで「意見や思い」だけを用意するのです。かつ、それを伝えることが主ではなく、教員側の役割はあくまでテーマ提示と議論調整を行う司会者、あるいはファシリテーターです。結論や答えは子どもたちに委ねるのです。映画を見た後の余韻のように

(飛び亀の道徳教育持論)

ここで、道徳の時間における話し合いの素材としてピッタリだなぁと思うのが、スマホゲームであるプロジェクトセカイ(プロセカ)のストーリーなのです。

はじめに なぜプロセカ×道徳なのか

プロセカについては、僕の記事でも何度も取り上げていますね。

プロセカは若者にも非常に人気の高いゲームなわけですが、その理由は大きく2つ。ボカロ楽曲の音ゲーということ、そしてストーリーの良さです。

なぜ若者にプロセカのストーリーが受けているのか。それは高校生キャラクターたちの等身大の悩み・問題を多彩な角度から月3,4ペースで描いているから。
架空とは言え、同世代のキャラクターたちが悩み、葛藤し、時にぶつかり合い、嫉妬し、苦しみながらも手を取り合い、解決に向けて行動していく、立ち向かっていく、あるいはさらに逃げていく。

少年漫画といえばそうですが、もうちょっとリアリティ(現代感)があって、人間関係や夢、目標、気持ちの整理、アイデンティティなどにテーマを寄せています。おじさんが読んでも面白いです。心が若返ります。

あと、単純に弾が多い。さすがソシャゲ。

そういうわけで、プロセカのストーリーは単に若者受けしているというだけでなく、取り扱っているテーマが非常に「道徳的」なんですよね。こちら道徳の学習指導要領(中学校)におけるテーマの一部をご覧ください。

A 主として自分自身に関すること
[自主,自律,自由と責任]
 自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。 
[節度,節制]
 望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け,安全で調和のある生活をすること。
[向上心,個性の伸長]
 自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
[希望と勇気,克己と強い意志]
 より高い目標を設定し,その達成を目指し,希望と勇気をもち,困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
[真理の探究,創造]
 真実を大切にし,真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。 B 主として人との関わりに関すること
[思いやり,感謝]
 思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。
[礼儀]
 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとること。
[友情,信頼]
 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
[相互理解,寛容]
 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解し,寛容の心をもって謙虚に他に学び,自らを高めていくこと。

『中学校学習指導要領(平成29年度告示) 第3章 特別の教科 道徳』より一部抜粋

プロセカのストーリーは本当に自分や仲間との葛藤部分を上手に描けているので、上記のような道徳テーマを考える素材としてピッタリだと考えられるわけです。……なんだって当てはまるといえばそうなんですが。

そういうわけで、ここからプロセカのストーリーを用いた道徳の時間を実際に妄想していきます。

ただ、プロセカはお話が長いので、1時間の授業(50分)では必要なところまで話を読むことができない。そこで、現実的ではないのかもしれませんが、あえて2コマ続きものの授業とします。そうすることで、むしろ問題発生と解決それぞれについてじっくり話し合いを深められるのではないか。

……ということにして、以下2コマ分の授業展開例(略案)を大雑把に考えてみました。

例1 グループ内のすれ違い @ワンダショ「メインストーリー」

ねらい

○B 主として人との関わりに関すること(相互理解,寛容)
・グループ内で問題が起きたり、すれ違いが起きたりした際に、互いを尊重しつつ考えや意見を伝え合って解決に向かうことができる。

教材

○ワンダーランズ×ショウタイム「メインストーリー」
・第1時:12話~13話(動画1:33:30~1:43:30)(10分)
・第2時:14話~16話(動画1:48:30~1:51:40・1:56:30~1:58:10・2:00:00~2:05:10)(10分)

設定の理由

グループ行動の多くなる年代において、お互いの考え方がすれ違ったり、問題が起きてぶつかり合ったりする場面は避けられない。そのとき、自分たちで話し合い、互いをより深く知り、尊重し、協力して問題解決していくために必要なことを考える力を養う。

第1時の展開(50分授業とする)

○第1時のねらい
・グレープ内で葛藤が起きる際には、各人の思いや考えの違いがあることに気付く
・葛藤が起きている場面で、自分にできることがあるかを考える

○導入(10分)
・あいさつ
・本時のテーマ確認

・発問「友達や部活等のグループの中で意見や考え方がすれ違って、喧嘩や仲違いしたことはありますか?」
→まずは経験の有無のみを挙手で聞く。

・発問「その中で、解決や仲直りできた人はいますか?」
→同様に挙手してもらい、発表してもよい生徒1,2人にエピソードを話してもらう。
※万が一発表者がいない、解決できたという生徒がいない場合は、教員自身のすれ違いエピソードを話す。ただし、解決部分に関しては2コマ目に話すこととし割愛する。

○展開(35分)
・教材の説明(3分)
→テーマ同様、グループ内でのすれ違い、葛藤を描いたエピソードであることを伝える。
→ワンダショというユニットとメンバーの概説。
「遊園地でショーをするための高校生のユニット」「司は世界的スターを目指す少年でその初舞台のシーン」「もともと遊園地で働いていたえむが司を誘い結成した」「寧々は幼少期から劇団に入っていたが、とあるきっかけで人前に出られなくなり司とえむには対面していない、ショーも本人は隠れて操作するロボットに演じさせている」「類は演出家で寧々の幼馴染であり事情をよく知っていて、ロボットを作って寧々に機会を与えた」
→大まかなあらすじとして「練習を積んで迎えた初めての舞台。最初はうまくいっていましたが、終盤に寧々のミスがきっかけでトラブルが起こり、結局ショーは失敗に終わります。その場面から見てみましょう」と伝える。

・動画(12話終盤~13話部分)を見る(10分)

・発問「『司』『寧々』『類』どれか1つの立場を選び、それぞれの発言の理由を考えてみよう」ワークシート記入(5分)
→司:初めてのショーで失敗してショックだった、ショーを大切にしているから準備を怠らずに取り組んでほしかった、スターになりたかった など
→寧々:本当に申し訳なかった、ちゃんと自分が確認すればよかった、本気でやったつもりなのに悔しい、悲しい、もう嫌だ、自分は向いていない など
→類:真剣に取り組んだ仲間に対して酷すぎる、客も大事だが仲間を大切にしてほしい、自分だってミスをするかもしれないのに、ショーや仲間は踏み台なのか など

・発表、共有(7分)
※選んだ人数、意見の少ないものがあれば、書いていない考えでもいいとして募る。
→最後に3人の立場それぞれ理解できる、受け入れられるものに手を挙げる。(複数可)

・発問「自分が『えむ』の立場だったらどうしただろうか」ワークシート記入(5分)
→何も言えない、落ち着いてと止める、喧嘩しないでと怒る、司に怒る、逃げる、泣く など

・発表、共有(5分)
→他の意見もワークシートにメモし、良いと思ったものに丸をつけるよう促す。

○終末(5分)
・自分の感想を書く、数名発表する


・あいさつ

第2時の展開

○第2時のねらい
・グループ内葛藤後の解決策を考えることができる
・友人関係や部活等で葛藤が起きた際に活かすための方針を立てる

○導入(10分)
・あいさつ
・前時の振り返り
→動画のあらすじ、各発問で出た意見を確認する
※間が空いていればプリント等で配布、2時間続きなら板書をそのまま利用し、振り返り後に写真を撮って消す

・発問「『ワンダショ』は、このあとどうやって問題を解決するだろう」
→司が謝る、えむがもう一度集めて説得する、寧々が謝る、類が冷静になって仲間を説得する など

○展開(33分)
・動画を見る(10分)
→誰の気持ちが変わって、どうやって解決していくかを途中まで見ていこうと伝える
※前回の続きから、また途中も飛ばし飛ばしなので内容補足する。
(司は初音ミクたちがいる『セカイ』という場所に来て、スターを目指した理由を思い出した。それは、病弱な妹を笑顔にさせるためだった。/司は最初にえむと再会して再びショーに誘った。次は寧々を見つけるところ。/類の話は今回は時間がないので見られない)

・発問「どうして『えむ』や『寧々』は、もう一度『司』とショーをやろうと思ったのだろう」ワークシート記入(3分)
→謝ったから、スターになりたい理由を聞けたから、自分もショーをやりたかったから、自分も悪いと思ったから など

・発表、共有(5分)

・発問「グループでの問題が起きたあと、それを解決するために必要なことはなんだろう」(7分)
→正直な気持ちや理由を話すこと、相手の立場を考えること、自分の悪い点も認めること、誠実に謝ること など

・発問「友達関係や部活等のグループの中で、自分がこれから大事にしていきたいことはなんだろう」ワークシート記入(5分)
→上記の発問で出た意見を用いるのを基本とするが、改めて自分で考え直してもよい。

・発表、共有(3分)
※数人の発表とする。

○終末(7分)
・教師からの説話(3-4分)
→自身のグループ内葛藤と解決のエピソード

・感想記入(3-4分)

・あいさつ

作ってみた感想

しっかり作り込まれたお話から抜粋して1時間の授業で使うの難しいねぇ。特に見て終わりじゃなくて、ちゃんと授業にしようとすると、いくら時間があっても足りません。

また喧嘩の場面で何もできなかったえむちゃんを、あえて生徒側と重ねることにしました。おかげで一番好きな15話(観覧車)を飛ばす羽目になりました。悲しい。

ちょっと道徳のいち授業としては凡庸になりましたが、とにかくプロセカの各ストーリーは、中学生高校生くらいの子たちの人生にぜひ参考にしてほしい要素が詰まっています。他ユニットのストーリーでも、引き続き書いてみたいと思っています。よろしくお願いします。

例2 友達の成功を素直に喜べないとき @ビビバス「Bout for Beside You」

鋭意立案中!
2,3ヶ月以内には……

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