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【プロセカ】ワンダショ書き下ろし曲を語る Part1

こんばんは、飛び亀です。
今回はまたまた、プロセカの記事です。

僕はプロセカ(プロジェクトセカイ カラフルステージ feat. 初音ミク)が大好き、その中でも特にワンダショメンバーが大好きです。その話は、これまでの記事で何度となく書いてきました。(他の子も好きですよ!)

ただし今回お話ししたいのは、キャラクターの話ではなく、ストーリーの話でもなく、ましてや音ゲーとしての話でもありません。そう、プロセカの誇る「書き下ろし曲」の数々について、その良さを語りたいのです。

とはいえ、プロセカ書き下ろし曲はもはや無数にありますので、今回はワンダショメンバーへの書き下ろし曲に絞っていこうと思います。それでもなお大変な数になるので、パート分けして書いていくことになりましたが……

※プロセカの「書き下ろし曲」は、基本的にキャラクターたちの織りなす「ストーリー」に対して書き下ろされます。つまり書き下ろし曲について語るということは、キャラやストーリーについて語ることも大いに含むわけです。だから、さっきのは嘘です。すみません。#ネタバレ注意

※あと、案の定えむちゃんの話が重めです。
 すみません。先に謝罪します。


※今回は実装順です。

1. セカイはまだ始まってすらいない

公式動画(3DMV)

DATA

  • ユニット書き下ろし曲(メインストーリー)

  • 作詞・作曲・編曲 ピノキオピー

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 初音ミク

語りたいこと

記念すべき最初のユニット書き下ろし曲。リリース同時実装。
プロセカ最初のユニット書き下ろし曲というのは、メインストーリーを経たキャラクターたちの「本当の想い」から生まれた歌という立ち位置です。そのため、その曲調はユニットの雰囲気をピタリと表したものですし、歌詞もメインストーリーでの出来事をなぞったり、彼ら彼女らの本当の想いを表現したりといったものになっています。

この「セカイはまだ始まってすらいない」(略称:セカ始)も例に漏れず、ワンダショらしいミュージカルショーみたいな曲調に、メインストーリーを匂わすような歌詞が特徴的です。
歌詞にある「魔法使いのキャスト」「トラウマ背負った怪物」「無神経な王様」「欲にまみれたアルケミスト」は、それぞれえむ・寧々・司・類を表すと言われています(違う解釈もあるかも)。また類の歌う「経年劣化するハートビート」、そしてえむの歌う「錆びた廃屋で夢を見てる」は、見事にメインストーリーでの二人を表現したワードチョイスです。

ところが、この「セカ始」の歌詞に関しては、メインストーリーやキャラクターたちのバックボーンを表現するに留まりません。

過去の記事でもお話ししたことですが、ワンダショのストーリーは――特にメインストーリーから続くイベントストーリーの第1部までは、「失われたもの、失われつつあるものを取り戻す」ということが一貫して描かれます。類も寧々も過去の自分を振り返って今の成長につなげますし、えむと司のお話に至っては「若者向けに変わりゆく遊園地の原点を取り戻し、みんなが笑顔になれる場所として復活させる」という軸でした。

なんと「セカ始」は、このようなメインストーリー以降のお話にも対応した歌詞があります。ラスサビの「壊せ予定調和の未来を」「鳴らせ再生を告げる鐘を」あたりはすごく分かりやすいですね。またゲーム版にはないですが、2番の「埃払って再起動する」も、失われたものを取り戻すというお話にピッタリ。もちろん、遊園地の原点の想いを取り戻したいというえむの夢は、引き続き「錆びた廃屋で夢を見てる」にかかってきます。

このように、少なくともメインストーリー~イベント第1部までのワンダショのお話は、すべてこの「セカ始」の歌詞と連動しています。ちなみに第2部以降の話すら示唆するのが、1番冒頭の「いつかみんな いなくなること知ってる」かもしれません。
他にもワンダショらしい歌詞はたくさんあるのですが、キリがないですね……。とはいえ、やはり「セカイはまだ始まってすらいない」という曲名そのもの、そして繰り返される「イッツ・ショータイム!」。まさにショーを体現するようなワンダショの波乱万丈な物語をそのまま表現していると言えるでしょう。

そしてそして話は戻りますが、このポップでミュージカル風な曲調。なぜか一抹の寂しささえ感じさせます。「セカイはまだ始まってすらいない」という曲名に反して(いや曲名のせいか?)、この曲はどうにも「ミュージカルショーのエンディング」を彷彿とさせるんですよね。この曲をキャストみんなで歌って、「イッツ・ショータイム!」で拍手喝采の中、幕が閉じる。そしてカーテンコール。何度も見た幻影です。

実際、ワンダショメインストーリーの最後の台詞は、ミクとKAITOによる「イッツ・ショータイム!」ですしね。

※ちなみにボカロ版原曲は、またキーも違うし、ゲーム版にない歌詞も相まって割に社会風刺感が強くて面白いですね。

2. potatoになっていく

公式動画(3DMV)

DATA

  • 類イベント書き下ろし曲(1曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 Neru

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 初音ミク

語りたいこと

記念すべきワンダショ初のイベスト曲

「ハロウィンショーの練習中に司がケガをしそうになったことをきっかけに、類が無意識的に本気の演出ができなくなってしまう」というストーリーに書き下ろされました。

これ以降もそうなのですが、類が主役になるイベントの書き下ろし曲は、やっぱり「カッコいい!」が強いですね。この曲調に対して、(動画でも分かるとおり)なんと3DMVではステッキを使ったダンスを披露。後にも先にも(今のところ)ないこの演出は、唯一無二のクールさです。運動の苦手な寧々ちゃんだけ1回転は有名なネタ。

「potato」はポテトですが、スラングとして「怠け者」といった意味もあるとか。ぐたぐだして本当の想いを諦めて、一人でショーを続けていた頃の類をそこはかとなく示唆しているようにも聞こえます。
逆に、「このショーに『浸り散らかして』、一緒に夢の世界にとっぷり浸かっていようぜ」みたいな(ワンダショとしては)ポジティブなメッセージなのかもしれません。

ちなみに、ストーリー内でワンダショが演じるハロウィンショーのタイトルは「ポテトゴースト」。リリース初期のお話なので、曲とどっちが先なんだろう。

3. ニジイロストーリーズ

公式動画(2DMV)

DATA

  • 寧々イベント書き下ろし曲(1曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 OSTER project

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム(草薙寧々、神代類) × MEIKO × KAITO

語りたいこと

リリース初期の頃ならでは特殊な曲で、イベント書き下ろし唯一のバーチャルシンガー2名×キャラ2名の歌唱となっています。色々思うところのある方もいるようですが、えむ推しの僕としては寂しくはあったけれども大好きな曲の1つです。OSTER氏の曲が良すぎる。
(カバー曲の方では司えむ×リンレンがある一方、類寧々×バチャシンはないので、そことのバランスというのが実際のところでしょう。あまりカバーと書き下ろしの差異を考えていなかったであろう初期ならではですね。)

この曲が書き下ろされたストーリーは、クリスマスショーを作ることになり、司とのW主演を任された寧々のお話。ショーの鍵となる歌唱の練習を繰り返すも、ライバル劇団の歌姫の歌にどうしても敵わないと感じる寧々。ワンダショメンバーとの他愛ない過去バナをきっかけに、小さい頃のショーへの純粋な想いを取り戻し、それを歌に乗せて聖夜に奇跡を起こすのでした。

まず曲調の荘厳さ。クリスマス曲の中のクリスマス曲であり、なおかつワンダショの歌姫である寧々に歌わせるに相応しいノビとハモリの美しさ。類やMEIKO、KAITOに優しく支えられながら、寧々が楽しそうに伸びやかに歌う様は聞いていて心洗われます。公式で明言されておりましたが、この曲以降、寧々の歌い方が少し変わるんですよね。決して初期曲で手を抜いているという感じはないのですが、すごい演出です。

歌詞に関しても、どこを切り取っても「ワンダショの歌姫 草薙寧々」の歌としてぶっ刺さってきます。「臆病な心に鍵をかけた」「隣で歌う声 怖がりな背中を押して」「瞳の奥の本当の私が 今歌いたいと 急かすように声を上げた」「昨日までの私を変えて めくるページの先で今 眩い夢の続きがはじまる」……相変わらずキリがない。

あと「みんなで紡いだ夢 小さな一歩だとしても いつか世界を照らすこと 信じているからもう恐れない」。これ、後に再びOSTER氏が書き下ろすワンダショのユニットソングに引っかかってるんですね。すごい。。。
※PART2の記事があがったらご確認ください。

4. ワンスアポンアドリーム

公式動画(2DMV)

DATA

  • えむイベント書き下ろし曲(1曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 YASUHIRO(康寛)

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 鏡音レン

語りたいこと

えむちゃん……(泣)

あのどこまでいっても元気少女に見える鳳えむのストーリーとして書き下ろされた1曲目が、この切なくて優しい曲調とは。えむの本質をはっきりと表したエモさの爆発の楽曲です。

えむ推しとしては鳳えむ一人で歌うアナボも大好きなのですが、でもやっぱりこの曲は、ワンダショ4人+レンくん歌唱がストーリーと相まって最高なんですよね。夢を否定され笑顔を失ったえむ、そんな彼女を優しく勇気づける寧々、司、類、そしてレン。順番に歌い、そしてサビ前で重なる声。まさにこの曲が書き下ろされたイベント「スマイルオブドリーマー」を表現した演出と言えるでしょう。

あとは、レンくんの声がえむ・寧々の女性陣の声とビックリするくらい気持ちよく重なるんですよね。ハモリパートすごく好き。加えて、アウトロを筆頭に遊園地……というかパレード風の音が鳴り響くのも最高。

また、この曲の歌詞はかなり直球で青春応援ソングなんですよね。夢や希望を追いかける人への言葉が全編にわたって詰まっています。特に2番は具体的で分かりやすいので、えむちゃんと同じように夢を追う人はぜひヘビロテしてくださいね。特に「君が思うより”魔法”は 傍で待ちくたびれてる」「君が思うより”セカイ”は 都合が良い様に出来てる」がすごく勇気づけられて好き。えむに語りかけたい言葉。

さあ、後悔が済んだら期待を背負って旅に出ようよ。

5. トンデモワンダーズ

公式動画(3DMV)

DATA

  • 司イベント書き下ろし曲(1曲目)

  • 作詞・作曲 sasakure.UK
    編曲 sasakure.UK(Key 岸田勇気〈有形ランペイジ〉)

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × KAITO

語りたいこと

大人気のイベントストーリー「ワンダーマジカルショウタイム!」の書き下ろし曲です。発表当時にTikTok等でバズり倒した楽曲でもあります。確かに流行りやすい曲調かもしれませんが、それはこの曲がまさにワンダショを体現したようなアツい曲だからというのもあるでしょう。なにせ「ワンダーマジカルショウタイム!」というイベントのストーリーそのものが、ワンダショの1つの集大成を見せたお話ですからね。そのため「トンデモワンダーズ」は、セカ始に次ぐワンダショのテーマ曲と言っても過言ではないわけです。

テンポよく早口気味に畳み掛けるメロディ、ショーを見ているかのような楽しく盛り上がる展開、言葉遊び豊富な歌詞。そのどれもがエンターテイナーとしてのワンダショを、そしてショーを通して1つの遊園地を救ったストーリーを表現しています。

歌詞を見ると、それが殊更よく分かります。一見分かりづらい部分や当て字の多くが、そのまんまワンダショのストーリーを表しているのです。特にラスサビの「ぜったいぜったいね、消せない笑顔どうじゃん! ∞回(なんかい)オチても不死議は鳥壊せない!」は未だに泣きそうになる。
※このときのストーリーの舞台が「フェニックスワンダーランド」=不死鳥を冠する遊園地でしたので、「不死議は鳥壊せない」という当て字になるんですね。

曲全体で「敵も味方も成功も失敗もみんな受け入れて、笑顔にハッピーに」というハピエンの精神を歌っているのが最高です。あとは3DMVで「“どうして!?”も“ああして!!”も 君らしくないな?」の部分、類がえむに向かって語りかけるのが好き。

6. Glory Steady Go!

公式動画(2DMV)

DATA

  • 寧々イベント書き下ろし曲(2曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 キノシタ

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 巡音ルカ

語りたいこと

ワンダショのストーリー第2部では、遊園地を飛び出して外部での宣伝公演をするといった話が中心になります。その先陣を切るこの楽曲が表現するのは、「『今』この青春を生きていることが最高じゃん?」というようなキノシタさんらしい明るいテーマ。ただしそれは、お話の中で寧々が気付いてしまう「ワンダショとしての今を楽しもう」という前向きながら切ない想いを表現したものでもあります。

セリフも多く入ったポップな曲で、「トンデモワンダーズ」から続けての「ワンダショのテーマ曲」だなぁというのが第一印象でした。もちろん、その印象は今でも変わってはいません。ただ、この曲はより一層「ワンダショへの愛」を直接的に含んでいると思うのです。それは文字通り「ワンダーランズ×ショウタイム!」という掛け声が、曲中に繰り返し出てくることからも分かります。

言葉にすることで愛を伝える。もちろんキノシタさんからワンダショへの愛でもあると思いますが、ストーリーを踏まえると、これはワンダショメンバーそれぞれが仲間への愛を叫んでいると取れます。特にこのイベントのお話においては、寧々からの仲間への愛ですね。詳細はイベストを読んでいただければ分かると思います。また、セカイ版のフルにおいては、間奏でハッキリと寧々から仲間たちへのメッセージが入っています。そこからのラスサビ転調。こんなに明るい曲なのに何度泣いたことか。

あとDIVA、mirai、カラフルなセカイ。おしゃれに入れ込みますよね、歌詞。
(歴代の初音ミクのゲームタイトル)

7. ショウタイム・ルーラー

公式動画(3DMV)

DATA

  • 類イベント書き下ろし曲(2曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 烏屋茶房

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 鏡音リン

語りたいこと

まさに類のカッコいい演出がふんだんに使われたショーのような、激しくアツい展開のエンターテイメント。ノリノリで愉快で痛快なライブ向きの1曲。「トンデモワンダーズ」以降の「ワンダショらしさ」全開な傾向はまだまだ続きます。

ストーリーとしては、「僕のやりたい演出で、やりたかった演出で、ワンダショのみんなとなら笑顔を生み出すことができる」という改めての気付きを得る類くんのお話です。歌詞としては2番あたりの「二度と孤独になんてなれないよ」が象徴的ですね。

ただまあ、この曲は類の書き下ろしらしい「カッコいい曲調」を全開にしつつ、女性陣の超高音もハチャメチャに使って盛り上げていくというのを合わせ、非常に気持ちよく演出されています。まさに類が演出したかのような楽曲で、聞いているだけで気分が高揚しますよね。

実際、セカライで歌われたときの盛り上がりはものすごかったです!

8. にっこり^^調査隊のテーマ

公式動画(3DMV)

DATA

  • えむイベント書き下ろし曲(2曲目)

  • 作詞・作曲 じーざす
    編曲 ワンダフル☆オポチュニティ!

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 初音ミク

語りたいこと

えむの1曲目(「ワンスアポンアドリーム」)は、彼女の内面の本質を表現したような優しい曲でした。一方で2曲目になるこちらの曲は、「にっこり^^調査隊のテーマ」という名前のとおり、元気いっぱい笑顔になれるポップでアゲアゲなナンバーになりました。これもまた、ワンダショを体現したような楽曲の1つですよね!

ワンダショのメンバーで仲良くわちゃわちゃするセリフパート、3DMVでは身体を使って頭文字を表していくのが可愛すぎる持ち物チェックパート、そして可愛いBメロに可愛いサビ。MVの演出も相まって、どこを切り取っても楽しいし可愛い、リアルライブでは2回も使われ、ともに大盛り上がりした可愛い曲です。(連呼)

好きなポイントを語りだすと切りが無いのですが、歌詞で言えばまず「わたしだっていつか 夢を叶えてやるって」。ここは、えむちゃんがストーリーの中で「フェニランを笑顔で一杯にしたい」「世界中の人を笑顔にしたい」という大きな夢を語るところが重なります。

ただ、もう1つ推したいのはラスサビでの司パート、「もち我々も調査対象だ!」です。もう少し意味合いを明確にすると「もちろん我々自身の笑顔も調査対象だ(大切にする)ぞ!」といったところ。これを司が言うことの意味は、ワンダショファンの方ならもうお分かりではないでしょうか。メインストーリーや「スマイルオブドリーマー」の観覧車シーンで、司がえむに伝えた「お前の笑顔だって守りたい」。そしてこの曲のイベントで、司や仲間たちが伝えた「えむの夢がワンダショの原動力なんだ」という言葉。こうした「お互いの笑顔と夢を大切に」という思いが、上記の歌詞を含めた端々に表れている。これが「にっこり調査隊」のすごいところです。

9. 88☆彡

公式動画(2DMV)

DATA

  • 司イベント書き下ろし曲(2曲目)

  • 作詞 まらしぃ
    作曲 まらしぃ・kemu
    編曲 kemu

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × KAITO

語りたいこと

ワンダショでは初のボカロPコラボによる書き下ろし曲。プロセカを初期からよく知るまらしぃの作詞とピアノ、そしてまらしぃ氏と同じく古くからニコニコを盛り上げたkemu氏による作編曲。どこを切り取ってもワンダショらしい詞に、明るくも心揺らすメロディ司が演技的に大きな成長を見せるイベントストーリーにピッタリの1曲です。

「88」という数字には様々な意味が込められているというのは、既によく知られた話でしょうか。司は不思議と「88」という数字に縁があるとも言われていますが、少なくとも「ピアノの鍵盤数」「星座の数」「この曲の小節数」がすべて88なのは、狙っているところかなと思います。

というか、司がピアノを弾くイベントなんてどう考えてもカッコいいですよね。それを楽曲でもド直球で表現してくるエモさたるや知れません。しかしそれだけではない。歌詞も今回の司のお話をよく表しているのです。それは冒頭の「きっとどこかで 気づいてたんだ これは 子供騙しだ」「期待されてた めげないピエロだ そうさ 遠慮はしないさ」。自分の演技が本物のスターには遠く及んでいないことに、ついに気づいた司。しかし、彼はめげずに、今まで演じてこなかった「自分とタイプの違う役柄」を必死で掴み取ろうとします。演技に向けて努力を始めた司が冒頭で表現され、あとの歌詞はもうワンダショ一色です。控えめに言って最高。

しかしこの「努力を始めた司」が、皮肉にもワンダショに一抹の影を落とすとはね。詳しくは1年くらい前の記事を参照。

10. 星空のメロディー

公式動画(3DMV)

DATA

  • 寧々イベント書き下ろし曲(3曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 ぽりふぉ

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × MEIKO

語りたいこと

前曲の「88☆彡」も若干その気がありましたが、イベント3周目になるこの曲から、ワンダショ書き下ろしは大きく雰囲気を変えていきます。明らかに元気いっぱいだった「トンデモワンダーズ」~「にっこり^^調査隊のテーマ」とは打って変わって、この「星空のメロディー」は非常にしっとりした曲調なのです。3DMVのとおり南国の夕暮れを思い起こさせ、青春時代の旅行のようなノスタルジー感、そして情緒あふれるラップ

この曲の書き下ろされたイベントは、実は「前半8割がハチャメチャなコメディシーン、後半2割は一転してワンダショの今後を語り合うシリアスシーン」というぶっ飛んだ構成になっており、ユーザーは度肝を抜かれたものです。そして、ぽりふぉ氏自身がインタビューで答えておられましたが、この楽曲はその「後半2割」のシリアスシーンを表現したものになっています。

この曲の良さは、その美しいメロディ、可愛いえむ寧々ラップ、ワンダショの思い出を表現した3DMVなど枚挙に暇がないわけですが、今回は歌詞割り(それもフルバージョンの)について語らせていただきます。

えむ「独りじゃ護れなかった景色も 重なる絆 希望に変えた」
類「情熱に触れて溶けてゆく孤独 どこまでも続く煌めきを胸に」
司「誰かを笑顔にできるんだってことを 気づかせてくれたんだ」

「星空のメロディー」より一部歌詞抜粋

寧々書き下ろし曲なのに、まずこれ。1番からこれ。メインストーリー等での3人を明確に表現しています。苦しい。
そして2番。

寧々「できなかったことを数えた」
寧々「もう一度歌声を届けたい」
類「胸の奥 諦めてしまったものに もう一度 息吹を与えてくれたんだ」

「星空のメロディー」より一部歌詞抜粋

ぐぇー、いい加減にしてくれー。

そしてCメロは、なんとえむ独唱。

えむ「小さなかがり火でも 見つめる瞳に映るものは…」

「星空のメロディー」より一部歌詞抜粋

これって、いったい何を喩えたんでしょうね。小さなかがり火――夢とか希望とか。えむが歌うということは、小さな夢が道を開くということか。それとも、最初は小さな希望だったワンダショの仲間たちが、今や大きくその瞳に映るのか。うーん、苦しい(2回目)。

これ以上はやめておきますが、もちろんルカさんパートも、そして今回取り上げなかったサビ歌詞(繋がりを力にして夢を追っていくよ)もエモさ爆発です。

あと南国寄りの曲調で「NeverEnd NeverEnd」を繰り返されると、2000年頃の安室奈美恵を思い出す。

11. どんな結末がお望みだい?

公式動画(2DMV)

※2024/7/9公開停止

DATA

  • 類イベント書き下ろし曲(3曲目)

  • 作詞・作曲・編曲 ぷす(fromツユ)

  • 歌唱 ワンダーランズ×ショウタイム × 初音ミク

語りたいこと

悲しいことに、2024/7/9のメンテナンスにて削除が決まった楽曲。ちょっと扱いには悩みましたが、ワンダショのストーリーの大切なところをしっかりと描いた曲ですので、記録には残しておきたいと思います。

「星空のメロディー」の時点で、楽曲的にもストーリー的にもワンダショの行く道程は「切なさ」に踏み入れ始めていました。然してこの曲のイベントでは、その方向へ話が急加速し、「ワンダショどうなっちゃうの!?」とファンはドン底に叩きつけられたのです。

ストーリーの詳細は先の記事を読んでいただくとして、この曲はまず、そうした急転直下な雰囲気を曲調と歌詞で明確に表現しています。少なくとも今までのワンダショ書き下ろし曲には1つもなかった、切なさ全開で始まる冒頭。そのまま、一抹の寂しさとエモさを乗せてサビまで走り、最後に類の歌う「この二つの想いは共存出来ないものか」、そして「きっと結末は幸せだ」。結構どストレートにストーリーを描いているんですよね。

あとは最初の「もう前にしか進めないと知ったから」「痛みを伴うこれは夢と呼べるのかい?」なんかも、夢と別れの葛藤をせつなーく表現していて苦しい(三度目)。

切なくもカッコいい曲全体の雰囲気も大好きだったのですが、何よりも曲が悲しい結末に至ってしまいました。それでも、この類のイベントがワンダショの大きな転換点となったのは、曲のおかげでもあると思っています。


さて。
あの楽しく愉快なワンダーランズ×ショウタイムが、いつの間にか切なさの塊みたいな存在になりつつあったこの時期。この先も、それを仄めかすような名曲が揃い踏みです。

Part2はこちら


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