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ワンダショのシナリオで大泣きし、鼻垂れおじさんになる【プロセカ】

#ネタバレ

こんばんは、飛び亀です。

今回も、スマホゲームである「プロジェクトセカイ カラフルステージ featuring 初音ミク」(通称プロセカ)について、その中でも推しの「ワンダーランズ×ショウタイム」(通称ワンダショ)というユニットのストーリーについて語ります。

何も珍しい記事ではないですが、何の話か分からないという方は2年前の記事から読んでいただくといいかなと思います。

勢いで書いたのでだいぶ読みづらいんですよね。↑これ。

ちなみに、まあまあ最近にもプロセカのストーリー(しかもほとんどワンダショの話)について書いた記事を作っています。こちらは公式のストーリー宣伝の流れに乗っかった記事なので、まあまあ真面目に語っています。

「それでまた書くのか、懲りないなぁ」と言われそうですが……

実は私、最新のストーリーを読んで、号泣して嗚咽してティッシュの山を築いたんですよね。その想いの熱いうちにビャーっ!と書いてしまいたく、勢いのまま語ろうと思います!!

(つまり、またしても読みづらいと思われます)

しかし、最新のストーリー感想に行き着くに当たり、どうしてもプロセカ3年のお話を振り返らざるを得ない。という壮大な記事(?)になっていて、ちなみに18000字以上あるようです。(文庫本なら40ページくらい?だから大丈夫)

時間のない方は目次を活用していただき、最下部付近の「あたしたちのハッピーエンド」感想のみを読んでいただくことをオススメします。

※当然ながら、完全ネタバレ記事です。できれば最新イベントまでお話をお読みいただいてから当記事をご覧ください。


<はじめに>ワンダショメインストーリー&イベスト第1部のおさらい

しつこいようですが、ワンダショのメインストーリーおよびイベントストーリー第1部(イベスト4つ分)感想については、上記の2年前の記事にて語らせていただきました。詳細はそちらで。

大雑把に言うと、メインストーリーはワンダショ結成と初回公演、喧嘩別れ、そして本当の意味でのユニット成立まで。そしてイベスト第1部は、それぞれの第一歩の成長と、舞台であるフェニックスワンダーランドを復活させるお話。

上記の記事において、ここまでの話に共通するのは「過去を取り戻し、未来を作るお話」というテーマだと書きました。
メインストーリーでは司が本来の夢を取り戻すことで、離別したワンダショが再集結し、初めてショーを成功させます。そして、「ワンダショの場所」であるワンダーステージを守ることになります。
第1部では、類も寧々も自らの過去を振り返ることで壁を乗り越えます。そして、「老若男女すべての人の笑顔を大切にする、昔からのフェニックスワンダーランドを守りたい」えむの想いに応え、ワンダショとフェニランスタッフたちが団結。若者向けテーマパーク化を阻止し、従来のフェニランの理想を掲げたままで収益を上げていくことにも成功しました。

見事なハッピーエンドを迎え、気持ちよく次のステージに上がったワンダーランズ×ショウタイム。しかし、ここからのワンダショが抱えるテーマは、大きく異なるものになっていくのでした。

それは成長と、と、未来、そして別れ――

<第2部前半> ”あたしだっていつか夢を叶えてやるって”

さて、ひとまずフェニランを「老若男女が笑顔になれる場所」のまま救ったワンダショは、経営陣である鳳家(えむの兄たち)の太鼓判を得て「フェニラン宣伝大使」になります。具体的には、ワンダーステージではない外部で宣伝公演を行うことになったのでした。

今までにない舞台で、新たな出会いと挑戦を経て、ワンダーランズ×ショウタイムの面々はそれぞれが成長を重ねていきます。その中で彼ら彼女らは、少しずつ自分たちの夢に向き合っていくことになります。しかし、その先にあるのは……

「マーメイドに憧れて」(寧々イベ2)

初の宣伝公演は、何と海辺の砂浜にある舞台。ワンダショはそこで「人魚姫」をモチーフにしたショーを行うことにしました。実はこの「人魚姫」のショー、寧々と類がともに幼い頃に観劇し、二人ともがショーを志すきっかけとなった大切な作品で……

というお話。寧々がトラブルにも負けず、アドリブと素晴らしい歌声で初の宣伝公演を成功に導いた場面は、それだけでちょっとウルッときました。成長したね、寧々ちゃん。

ところで、この地で寧々が奇跡的に出会ったのが、彼女の憧れだった「人魚姫」主演の風祭夕夏。今や世界で活躍する風祭と再会した寧々は、ある想いを胸に抱きました。

それは、自分も世界に飛び立ちたいという夢。
その夢はつまり、いずれ訪れるワンダショとの別れをも意味していました。

ワンダショが新編に入って、いきなりこれかぁ、とビックリしたのを覚えています。このときの寧々は、「いつか別れは訪れるからこそ、今ワンダショで過ごす時間を大切に」みたいにまとめたんでしたね。ちょっとハラハラしたけれど、しばらく別れのことは頭から離れることになりました。

なぜなら、しばらく触れられなかったので……しばらくは。

「Revival my dream」(類イベ2)

次の宣伝公演の舞台は、なんと歴史ある洋館。これほどの舞台を用意してもらい、類は演出に熱が入ります。そうだ、ここなら「あのショー」を行うこともできる。けれど……と、類の心によぎるのは、彼が幼い頃に友人と行おうとしたショーの記憶。その中で彼が友人に提案した「木から飛び移る」という演出、当然といえば当然、誰一人ついてきてくれる者はいませんでした。過去を思い、悩む類。しかし、ワンダショの面々は違ったのです。類が「観客の笑顔のために」演出をつけていることは司も寧々も、えむもよく分かっていました。だから、信じられる、信じてる。さあ飛ぼう。ジャジャジャ、ジャーンプ!

このイベントは、ちょっと以前のハロウィン(類イベ1)と流れは似ているのですが、類の心の引っ掛かりが具体的になりましたね。かつ、今思えばこのお話を通して類は心に刻んだのでしょう。僕はこのメンバーで、ショーをやりたいんだ、と。後のイベントを見た後で考えると、なかなか重要な部分ですね……

「POP IN MY HEART!!」(えむイベ2)

なんとワンダショは一路アメリカへ、フェニランと提携することになった世界的テーマパーク「ライリードリームパーク」の見学をすることに。楽しむ一行ですが、そこで見られたのは珍しくメモを片手に、パークから学びを得ようと必死になるえむの姿でした。彼女は思っているのでした。「フェニランを救えたのもみんなのおかげ。経営もお兄ちゃんたち。あたしはみたいなことばっかり言って、何もできていない。現実を、勉強しなくちゃ。」

このお話でグッと来るのは、やっぱりワンダショの仲間たちが、えむに伝えた言葉ですね。

あたしなんか何も役に立っていない? そんなことはない!!
お前が夢を見てくれたから、今のオレたちがあるんだ。

そう、ワンダショは間違いなく、えむの夢から生まれたのですから。おじいちゃんも回想で初登場し、夢をもつことの大切さを語っています。ワンダショにおいてえむがいかに大切なメンバーなのか、再確認する話でした。

これはこないだのコネライ

「まばゆい光のステージで」(司イベ2)

えむが夢への想いを新たにした一方、司自身も世界的テーマパークでの体験を通して悩んでいました。本物のスターたちが行うショーを見た司は、今の自分では足りていないものがあると気付いたのです。そこで司は、次の宣伝公演にて自ら「ピアノ弾きのトルペ」という「自分とは正反対の役柄」を選びました。初めての役柄に、練習を重ねても重ねても、役に入り込むことができない。トルペの行動が、分からない。しかしそれでも諦めず、「自分との共通点」を探したのでした。妹との過去、ピアノ、トルペが星を見上げる理由……

ワンダショの座長が、ついに自らの演技を進化させた。あの司が、谷を越えて、司らしくないキャラクターを演じた。この衝撃は当時結構なものでした。司が落ちるのって、(兄妹喧嘩を除けば)メインストーリーぶりでしたからね。そしてここで司は、世界的スターを目指すために、まだまだ自身の成長が必要だと気付いた。これが後にひっそり繋がると……

第2部前半について思うこと

ここまでを前半としたのは、明らかに次のイベストから話の毛色が変わってくるということと、とにかくこの1周分4話がちょうど4人の成長のお話ってことですね。他ユニットも含め、プロセカでは時折ユニット全体のお話(第1部のワンマジのような)と言えるイベストが挟まることがあります。ただ、この1周分は綺麗にそれぞれ一人ずつスポットが当たる成長物語になっていました。

実は第1部ラストの書き下ろし曲「トンデモワンダーズ」から、この4つのイベントにかけての書き下ろし計5曲は、非常にワンダショらしい楽しく盛り上がる、気持ちの高まる曲が集まっています。全てが「ワンダショのテーマ曲」と言ってもいい(もちろん本来のテーマ曲セカ始も含め)。これは決して他の曲がワンダショに合わないと言っているわけではありません。初期のイベスト書き下ろしも、めちゃくちゃにイベストに合っていて大好きです。ただ上記4つのイベストそのものが「ワンダショのみんなのお陰で成長したぜ!」って内容なので、それに合わせた曲を作るとワンダショのテーマになるのです。(先日のワンダショコネライでは、これら4つの曲が全て使われたのが象徴的です)

"Glory Steady Go!" が3Dで見られて幸せだった

一方で、冒頭の「マーメイドに憧れて」にて、彼ら彼女らの成長の先、未来には、必ず別れがつきまとうことが早くも示されました。ただ、「まあ別れなんて、まだまだ先の未来だろう」と誰もが思っていました。プレイヤーも、ワンダショ本人たちも。

まさかね。

<第2部後半> "閉園時間その日が来るまで"

それぞれの成長と夢が、少しずつ形になっていくワンダショの4人。しかしだからこそ、その時は思ったよりもずっと早く、明確な形を見せ始めるのでした。

それぞれが、それぞれの夢を追うために。
一人ひとりの成長のために。

しかしワンダーランズ×ショウタイムは、その時どうなってしまうのか…………

「絶体絶命!?アイランドパニック!」(寧々イベ3)

次なる宣伝公演は、南の島!? それどころか、ワンダショ一行を乗せた鳳家のクルーザーが、何と無人島に漂着してしまった!! 果たしてワンダショご一行は無事サバイバルを生き抜き、無人島からの脱出ができるのか!!?

突然降って湧いためちゃくちゃな展開はしかし、ワンダショの絆をより一層深めることになり、そして無事脱出の糸口が見えた夜に本当の物語が始まる。二重にも三重にもというか、目まぐるしい展開に相当驚かされたのを覚えています。

本当の物語というのは、焚き火を囲んでこれまでを振り返り、互いの夢を語り合う4人の場面。
世界一のスターになりたい司。たくさんの人を笑顔にしたいえむ。すべての人が笑顔になれるショーを作りたい類。世界中で歌えるようなミュージカル俳優になりたい寧々。

このとき、えむの兄が一言、とんでもない言葉を漏らします。
「お前達は、この先もずっと全員で一緒にショーをやるもんだと思ってた」

これで、ワンダショ全員がついに自覚するのです。
自分たちの夢の先にはワンダーステージがないこと、つまりそれはワンダーランズ×ショウタイムの別れの時なのだということ。
(寧々と類は「マーメイドに憧れて」の時点で、その気付きがありました。しかしこの夜こそ、初めて4人揃って別れを自覚した瞬間だったのです。)

ここで押さえておきたいのは、えむの反応ですね。彼女は「いやだなぁ」という言葉を、とっさに「みんなの夢は応援してるよ!」と繕うものの、「そうなったらさみしい」と吐露します。これが、結局、やっぱり、後に響いてくるわけです。ずーっと。

このときは、改めて寧々が想いを語ります。
この4人だったから、今のわたしがある。わたしたちがいる。これからも4人で成長していきたい。4人なら、今日みたいに何だって乗り越えていける。

そして、その時が来たら。
夢が叶って良かったねって、笑い合いたい。

今思えば、このときのこのセリフも、今のイベントまで響いてきていますね……

アフターライブ

「カーテンコールに惜別を」(類イベ3)

ひとまず、ワンダショでやっている今を大事にしようと心に刻んだ4人。しかし、その時が来るのは思ったよりもずっとずっと、早いものでした。突如告げられた「最後の宣伝公演」。それは、若手の中では日本一と名高い劇団アークランドとの合同公演という、願ってもない舞台。玄武旭を中心として本当にレベルが高いアークランドの役者たちの中では、えむも、寧々も、そして司すらも、主役を射止めることは叶いませんでした。それでも司は、本番でさらなる成長を見せ、誰しもを驚かせることになります。ところが、その裏で白羽の矢が立っていたのは……

急転直下、衝撃の展開。
その類稀なる演出センスを日本一の劇団に認められた類が、何と引き抜きの提案を受ける……というこのシナリオは、ワンダショの物語そのものが再び動き出してしまったことを強烈に印象付けました。

レオニ第1部も志歩引き抜きというシナリオでしたが、それに対して全員のプロ志望という形で決着をつけました。それと同じようにいくのか。でも、ワンダショは既に全員が違う道を行くという最終ゴールが示されている。どうも、これは本当にどうなってしまうのか分からないぞ……

そんなハラハラを抱く読み手(僕)に対し、類の出した答えがこれ。

「アークランドに移籍する道が、演出家としての僕にとって正しい道です」

えっ。

しかし、彼の表情を見た旭が言葉を返します。

……こんなやり取り、ある???

本当にこのお話にはビックリし通しでしたが、旭のおかげで初めて類は「ワンダーランズ×ショウタイムでショーを続けたい」という自分の想いを正面から受け止めることになったわけです。そして、類は模索を始めます。自分はどんな結末を望むのか。違う結末を、作れはしないのか。

書き下ろしの「どん結」めちゃくちゃカッコよくて好きです。

「新春!獅子舞ロボのお正月ショー!」(司バナー混合イベ)

司は考えていました。アークランドとの合同公演は本当に自身の成長になった。宣伝公演の終わった今、どうにか外で学ぶ機会を得られないものか、と。そこに本当にたまたま、何故かお正月にショー巡業をする、という機会が降って湧いてきたのです。他ユニットともコラボしながら、次々とショーを成功させていくワンダショ。すべてが無事に終わったとき、司は思うのでした。やはり成長のためには、外に飛び出すことが必要だ、と。

話が戻るのですが、アークランドとの合同公演で司が主役を取れなかったのも、類イベの衝撃の1つでした。司の山と谷を描きつつも、類イベなのかよという、本当にカーテンコールは恐ろしい話です。えむちゃん役柄上のパートナーが司くんじゃなくて旭さんになって、ちょっと寂しかったんじゃないかね。

で、こちらの正月混合イベって、本来はネタイベなんですよね。全ユニ出演のお正月スペシャルの意味合いが強い。でも、ワンダショの状況と合わせると非常に深い意味をもったお話で、実際にワンダショのキーストーリーとして設定されています。(じゃあトワパレもキーストにしてよ)

話自体は明るく楽しく終わるのですが、無人島~カーテンコールにかけてワンダショお別れシナリオが急加速したことで、当時の僕としては非常に曇りえむ警戒値が高くなっていました。

いいのか?
司くん外でやるショーが楽しいって連呼してるぞ。
それで本当に大丈夫なのか、えむちゃん…?

この不安が、まさか本当に直後に大当たりするなんて。
セカライ会場でイベント告知を見て、壊れそうになったのを覚えています。

そう。この正月イベ終了から1日空けて、続けて次のえむイベが開催されたのです。

「夢の途中、輝く星たちへ」(えむイベ3)

司はフェニランの経営陣であるえむの兄たちに掛け合い、再び宣伝公演をやらせてほしいと依頼します。それ自体は断られるものの、司は外部の演劇ワークショップに参加することとなりました。夢へと進む司を、今日もきらきらとした眼差しで応援するえむ。しかし、ある司の言葉をきっかけに、彼女も少しずつその時が迫っていることに気付いてしまうのです。

「他の劇団で、客演もしてみたいものだな!」

それって、司くんが他の劇団でお芝居するってこと…?

ここから、えむは一抹の、しかし決して拭いきれない大きな大きなモヤモヤを抱え始めることになります。えむは、このモヤモヤした気持ちが「寂しさ」なのだと自覚します。司だけじゃない。寧々も類も、みんな未来のことを考えている。夢に向かって飛び立とうとしている。

でも、そんなの、まだまだ先のことだって思ってた
だけど、あたしが思ってたよりずっと、お別れの時は近づいてきてるんだ

だからって、司くんの夢を、みんなの夢を応援できなくなるなんて。
こんな自分も、すごく……やだなあ。

……このイベントについても、以前の記事で散々語っているのですが。こんなに読むのが辛いお話が未だかつてあっただろうか、と。あの鳳えむが、よりにもよってワンダショの仲間たちの夢を、未来を、純粋に応援できなくなる。こんな苦しいお話がありますか!?

ずっと自分より他者を優先してきたえむの中にもあった、ただ自分のための純粋な想い。みんなと、ずっと一緒にいたい。無人島でも漏れ出ていたこの気持ちが、これ以降のえむちゃんからは溢れて止まらないのです。なんて愛おしい……

というかもうファミレスのワンシーンが苦しすぎる。部屋での独白も。うああああ。

それでも、寧々と類とバチャシンと、フェニックスワンダーランドで遊んだことで、えむは思い直します。そうだ、あたしの夢、フェニックスワンダーランドを笑顔でいっぱいにするって夢は、みんなが叶えてくれたんだ。

それなら、あたしは……あたしがみんなの夢を応援する番なんだ。
みんなの夢を、いっちばん前の真ん中の席で応援するよ!

これを泣かずして、何で泣くというのか。本当に読んでて涙が止まらなかった。自分にびっくりした。

そして司のワークショップ最終公演。覚悟を決めて、夢にひた走る司の成長を見に行ったえむは、主役の座を射止めた彼の姿を目にします。その役名は、ピーターパン。

えむは思うのでした――

「天の果てのフェニックスへ」(司イベ3)

ワークショップを経て成長した司、そしてワンダショに、フェニラン最高のステージ「フェニックスステージ」との合同公演が持ちかけられます。経営陣である兄たちも、夢へ飛び立とうとするワンダショの面々を少しでも引き止めるべく、園内で与えられる成長の機会を探っていたのでした。意気揚々と合同公演の練習に臨むワンダショ一行。しかして何とその演目は、かつて司がスターを志したきっかけとなった演目「ハッピーフェニックス」だったのです。もちろん司は主役――つまり彼の憧れのスターと同じ役を取りに行きます。しかし立ちはだかったのは、フェニックスステージのスター、そしてフェニランの歌姫こと青龍院櫻子でした。

フェニックス役の青龍院櫻子。彼女の役者としての技量が、まさかここまでとは。お話としても長らく外部公演が続いていたので、読み手としても正直フェニックスステージをなめていました。でも、まさか今の司ですら太刀打ちできないとは。櫻子ちゃんって本当に凄い役者だったんだね……

その完全な差に衝撃を受けるも、何とか食らいつこうとする司。ワンダショの仲間たちの力も借りるものの、どうしても追いつけない。仲間たちから見ると、司はどんどんと成長している。それなのに、そのはずなのに、まだ足りていない。

ここでメインストーリーで「スター」の何たるかを思い出して以来、本当に初めて、司は「スターになる夢」から挫けそうになるのです。ここまで凹んでいる司の姿が描かれたことにプロセカの本気を見たわけですが、しかし驚くのはここからでした。まさか、まさかその「挫けそうになる」こと自体が演技の大事な要素だったとは。話のカラクリがすごい。

それに気付いた司は、自ら凹むために、憧れのスターのショーを見に行きます。今度は、笑顔になるためではなく、その圧倒的な差を見るため、壁を見るため、遠すぎる距離を実感するため。ここに「闇司」が登場します。そりゃえむも心配するよ。

でも、そのおかげで司はついに櫻子に匹敵する演技を手に入れ、無事主役の座を掴むのでした。スターへの遠さに打ちひしがれることでスターに近づくというトンデモ構成のシナリオです。

さて、実は前回のえむイベの終わりで、司自身も「ワンダショとの別れ」が遠くないことをひっそりと感じるシーンがあります。しかし、この司イベではそこに深くは触れておらず、徹底的に司の成長を描ききりました。引き続き、えむちゃんと類がちょっとモヤってるくらいで、お別れそのものについてイベント内で進展はありません。まあ、司が成長したことが、それをシンプルに物語っているわけですが。

ところが、このイベントの書き下ろし曲「Mr. Showtime」。これがまたとんでもない曲、歌詞、MVなんですね。ワンダショ結成、司の成長、そしてワンダショのお別れ。これらを全て示唆していて、非常にクールな曲調ながら裏ワンダショのテーマと言っても過言ではない。ちゃんと聴いていない人がいたら、ぜひ2DMVでご鑑賞下さい。

「カナリアは窮境に歌う」(寧々イベ4)

同じくフェニックスステージとの合同公演。何とか司が主役を掴んだ一方、「カナリア」役の寧々も壁に当たっていました。何と、歌にダメ出しをされてしまったのです。自信のあった歌を否定されてショックを受ける寧々でしたが、しかし彼女は既に夢への強い想いを抱いています。櫻子、そして紹介されて再会した風祭に指導を請い、寧々もまた真の覚醒へと至るのです。

あの寧々が、叩かれても潰れず、風祭さんにはむしろ褒められたのに泣きながらダメ出ししてくださいと教えを請う。そこからの熱烈指導、そして櫻子に認められるほどの成長。もう本当に初期の寧々ではないなぁとしみじみと思います。役者としての成長譚は、しばらく司の話が続いていたので、熱く燃える寧々は久々だったなぁ、と。

そして、寧々は特に別れについてえむや類と同程度に自覚しているにも関わらず、それでも司と同様にガンガン成長していくことを選びます。それを見ると、やはりワンダショの未来はもう……と寂しく思うところもありつつ、本当に頑張ってほしいという気持ちも湧いてきますね。もう本当にえむ類と重なる想い。

さて、その類ですが、カーテンコール以降ひっそりと裏で企み続けていました。ワンダショがワンダショのまま、みんなの夢を追う術を。確実に世界へ飛び出していくであろう司、そして寧々の成長を見て、類はえむに問います。

「もしもふたりがワンダーステージを出たいと言ったら……ついていこうとは思わないのかい?」

一瞬驚き、しかしえむは悟ったような笑顔で即答します。

そう、えむは、心に決めていたのです。「夢の途中」イベを経て、彼女はもう「別れ」を受け入れる覚悟でいるのでした。自分の夢は、フェニックスワンダーランドの笑顔を守ること。みんなの夢とは、別の道。だから……

この即答、そしてこのときのえむの表情をどう受け取るべきなのか。

様々な解釈がネットには上がっていましたが、このとき個人的にはハッキリとした答えは見つけられませんでした。「夢の途中」後から一貫した態度であることは間違いないのですが、えむが本当に覚悟を決めたのか、決めようとしているのか、それともまた我慢に過ぎないのか。

それがどれであっても、もう別れの時は待ってくれないのですが。

第2部後半ここまでについて思うこと

実に1年間に渡って、ワンダショのイベントは迫るお別れという非常に苦しいところを描き続けました。無人島の8割くらいは、本来のワンダショらしいギャグ時空なのですが……まあ正月も……

このお話の重さは、箱イベ5つに渡っての書き下ろし5曲にもハッキリと表れました。「星空のメロディー」「どんな結末がお望みだい?」「星空オーケストラ」「Mr. Showtime」「箱庭のコラル」――曲調は違えど、全てにワンダショのこれまで、そしてお別れと絆についてが形を変えて表現されています。

星空シリーズ、メロディーの方はフルが出て一層歌詞の深みが増しましたね。歌唱分けも何か意味深です。オーケストラの方はド直球でお別れに向けた気持ちの曲です。曲調は明るくて可愛いのに、なんでしょうねあのもの寂しさ。コラルはもう曲調が既に泣けるのに、ラスサビの「叶わない願いならセカイは始まることもなくて あなたに出会うこともないままで」が聴くたびに目頭を熱くします。ワンダショの絆が凝縮されていて、これを聴いちゃったらもう正直お別れしても仕方ないと思える。

そういうわけで、イベストの展開に加えて、これら書き下ろし曲にもあてられて、僕ら読み手は確実にワンダショの終わりというものを意識させられてきました。本当に解散するのか。それなら、どうオチをつけるのか。ずっと書き下ろしに歌われているような「約束」をする? それとも、類がずっと仄めかしている企みが功を奏して、ワンダショは別れずにいられる術を見つけるのか。でも、それが本当にワンダショにとって良いことなのか。というか、プロセカという1つのゲームの中でいくらなんでもワンダショの解散は描けないんじゃないか。でももう少し先だとしても、何かの機会にユニット引退・交代はあり得なくもないんじゃないか?

このコネクトライブが、よもやワンダショの最終公演なのではないかとすら

そうした複雑な読み手(僕)の想いと溜まりに溜まるカタルシスに対して、まさか、次のイベントで答えを出してくるとは。恐るべしプロセカ、そしてワンダショ。

『あたしたちのハッピーエンド』

記事公開時点で現行のワンダショ最新イベントにして、イベスト第2部最終回となる超神回えむイベその4にあたります。

まずはあらすじ

司や寧々の成長を見て、「お別れ」への心の準備を固めようとするえむ。そして、時を同じくして類がついに動きます。類の提案は、ワンダーランズ×ショウタイムをフリーランスとし、ワンダーステージを、フェニランを離れて4人で活動することでした。改めて、一緒に行こうとえむを誘う類、そして寧々。

しかし、えむの答えは……
「やっぱりあたしは……ここを守りたい」でした。

えむの兄たちにフリーランス化が認められ、ついに本当の別れの時が迫るワンダショの4人。最後の公演は、えむの提案でメインストーリーにてセカイで行った劇「旅の一座の物語」となります。しかし、よくよく考えるとこの劇の結末は「それから4人は、ずうっと仲良くショーを続けましたとさ」だったのです。

元気のないワンダショ4人のために、セカイのバーチャルシンガーたちが新しいハッピーエンドに変えた「旅の一座の物語」を演じてみせます。それは、4人は一度お別れするけれど、代わりに「約束」をするというものでした。いつか必ずここに戻ってきて、再び4人でショーをするという約束。ラストにはその約束が果たされ、幸せそうにする「道化師」の姿が描かれます。それを見た4人は、最後の公演をやり切れるよう気持ちを新たにするのでした。

一方、旅立つ3人に悲しい思いをさせないよう、まさに道化として場を盛り上げようとし続けるえむ。しかし、お別れの時が近づくほどに、溢れる寂しさ、悲しさを抑えきれなくなっていきます。心配して様子を見に来たお姉ちゃんにえむが話したのは、初めておじいちゃんがワンダーステージに連れて行ってくれたときのこと。

だから、あたしはここを守るんだ。そう誓う言葉に反して、えむの瞳からは涙がこぼれ落ちます。それを見たえむの姉、そして鳳兄弟は、ついに覚悟を決めたのでした。

一方、寧々たち3人はある練習の後、一人寂しさに泣き腫らすえむの姿を見てしまうのでした……

えむの想い

ここからは、いよいよ本イベントについての考察と感想を果てしなく書き連ねさせていただきます。

「夢の途中」イベにて、ワンダショのみんなとの別れが間近に迫っていることを悟ったえむ。彼女はこのときに「あたしはワンダーステージに残って、みんなの夢を応援する」と心に決めます。

一方で今回、類がえむを改めて誘った際には、無人島のときのえむの言葉を拾ってきました。それは「たくさんの人を笑顔にしたい」というえむの夢。確かにこの言葉だけを拾うなら、「たくさんの人を笑顔にするなら、一緒に外に出てショーをしようよ」との誘い文句は効果的だったはずでしょう。それに「世界中を笑顔にする」というおじいちゃんの夢は、本当はそのままえむの中にもあったはずだと、僕も思います。

しかし、無人島にて晶介が言った通り、そして同じ場面でえむ本人が漏らしていた通り、「みんなの夢の先は違う道」なのです。えむが世界に出て行って、世界中を笑顔にする役者になる、というイメージはこの時点では誰にもないんですよね。僕にもなかった。いや、なったらいいなとは思ったかもしれないけど、えむ本人の中にそれはないんだろうな、と。

つまり、「あたしは『ワンダーステージで』たくさんの人を笑顔にする」という何よりも強い前提条件が、えむ自身の中に存在しているんですよね。そして、そんなのはメインストーリーから第1部までを読んでいれば、我々読み手としても当たり前過ぎる事実なわけです。

確かに長らく外部公演が続いたけれど、えむとフェニラン、えむとワンダーステージは切り離せないワンセット。これが、少なくとも無人島までは当然だったと思います。

ところが、「夢の途中」にてえむがそれを改めて言葉にしたとき、僕のような読み手も、そして物語中での類も、むしろ気付いてしまったのです。
「当たり前過ぎて見落としていたけれど……もしかしてえむちゃん自身が『一緒に外に出る』選択をするならば、この問題は解決するのでは?」と。
それに「おじいちゃんと同じ夢を司くんが叶えてくれる」という彼女の言葉には、(今回のイベントで寧々が突っ込んだ通り)「えむ自身が叶えなくていいの?」と思う部分もありました。

とはいえ、「夢の途中」におけるえむの決心というのは、非常に綺麗で、美しくて、尊ぶべきものでもあります。これは、「カナリア」最終シーンでの類とえむのやり取りで、絶対的なものになりました。

「思わないよ」

えむの本心に渦巻く想いがどのようなものであれ、ここまでハッキリ答えるほど、えむの決意は固い。だとしたらこれは絶対に尊重しなくてはならない。僕はそう思いました。そして、今回のイベントにて、このえむの決意がワンダショ全員の前で明かされたときにも、司たち3人は同じように感じたことでしょう。

「えむ、オレは……お前ともっとショーをやりたいんだ、一緒に行こう!

この一言すら、伝えることが許されない。えむの決意は、それほど覚悟の決まったものだから。

続く言葉が出てこなかった司

しかし。

しかしだ。

「カナリア」にて、えむが「思わないよ」と言ったときの表情。遡れば、「夢の途中」で司のピーターパンを見るときの表情。もっと言えば、無人島にて漏らした本音「いやだなぁ」

確かに、確かにえむちゃんの決意というのはとても固く、どこにも嘘はなく、紛れもない純粋な想いです。おじいちゃんのワンダーステージを、フェニックスワンダーランドをこれからも守りたい。ここで笑顔をたくさん生み出したい。そして、もちろんみんなの夢だって特等席で応援したい!

でも、一方でまた、「みんなと離れ離れになりたくない」「寂しいよ」と、これも本当に美しく汚れのない、えむの真の想いなのです。どちらの想いも本物だからこそ、彼女は苦しんでいるのです。

何よりワンダショの3人も、鳳兄姉たちも、みんながそれを分かっている。バーチャルシンガーたちだって、それを知っている。えむの2つの想いには、優劣もプラスもマイナスもない。だから、誰にも手の打ちようがなかった。こんなに苦しくて切ないお話があるでしょうか……

ただ、想いが心を苦しめるときにも、案外何かの橋渡しによって事態が転換していくことがあります。悩みを打ち明けると想いが解き放たれ、心が楽になるように。話すことで自分自身への理解が深まり、別の道が見えてくるように。想いに何かが繋がると、心は動き出すのです。

もう1つのハッピーエンド

今回、ワンダショの仲間たちはえむと一緒に泣くことで、想いを重ねて悲しむことで、互いの心を解き放ちました。正直、このままお別れとなっていたとしても、えむや寧々の求めた「笑顔でバイバイ」は達成できたかもしれませんね。みんなで想いをあれだけ共有できたのですから、きっとみんな強くなれたと思うんです。涙はまた、再会の約束を果たしたときに。

なんて、そういうワンダショのエンディングも全然アリだと思えるのは、これまでのイベスト、そして書き下ろし曲の積み重ね、そしてそして今回のバーチャルシンガーたちによる劇があったからでしょう。バチャシンたちの描いた「約束エンド」もまた、1つの最高のハッピーエンドだと思います。

バチャシン劇での結末の一枚絵、MEIKOさんの語りと相まって物凄く泣けたんですよね。この、えむちゃんが一人振り返っている様子。語りによれば、これは再会の約束が果たされた場面になります。一度は夢を目指して道を分けた4人が、未来に再び集う。そして、その再会を心から喜ぶ道化師。今度こそ、ずうっと4人で、ショーを……

約束の再会

本当にワンダショがこのエンディングを迎えていたとしたら。……なんて、想像するだけで、涙が止まらないんですよ。本当にハッピーエンド オブ ハッピーエンドですよね(意味不明)。

でも実際には、えむの想いにはまた別の橋渡しがありました。そう、それは「えむの2つの想い」を両方とも守るための、新たな視点の提案でした。そしてこれは、えむを誰よりも大切に想っている鳳兄姉による家族愛だったんですよね。

鳳家の家族愛が、めちゃくちゃ愛おしい

「お前はまだ……高校生だ」

そう言って慶介お兄ちゃんは、えむの背中を押しました。

「行ってこい」

そして晶介お兄ちゃんも、えむに新たな夢の叶え方を伝えます。俺も今のようにフェニラン経営に携わる前は、様々な分野のショービジネスを経験をしてきた、ということ。そして、それを勧めたのは他ならぬじいさんだったということ。つまり、「今のうちに外に出て学ぶことこそが、本当にフェニックスワンダーランドを守ることに繋がるんだ」というお話。

この目線は、僕(おじさんユーザー)としては、ずうっと同じように感じていたことでした。えむの年齢を大人から見れば、居場所を固めるには尚早だと思ってしまうんですよ。夢があるとしても、一直線ではなく回り道をしたっていいんじゃないか。その方がむしろ、自分の為になるんじゃないか。

でも、夢に向かってひた走る少年少女にこんな言葉をぶつけるのは、お説教以外の何ものでもないですよね。だから、あんまり表に出さないようにはしていました。鳳兄姉たちも、妹の決めたことだからとずっと口を挟まずにいましたよね。これ、本当に優しいと思いました。えむの話になると口ごもっちゃう慶介晶介は、なかなかに良いものです。

突っかかってくるわりに、そこから先は黙り込んでしまう晶ちゃん

しかし、そうこうしているうちに涙を堪えきれないえむの姿を見てしまったひなたお姉ちゃん。これは、もう妹一人に背負わせるべきことじゃない。きっと、そう感じたんだと思います。

確かに、これはえむの人生の選択なのだから、それがどんなに苦しい択であっても決定はえむ本人が下すべきなのでしょう。それでも家族として、家族だからこそ、妹が苦しんでいるなら手を差し伸べなきゃいけない。だって、大人である自分たちは、えむを助け得るヒントを持っているんだから。伝えたい言葉があるのだから。苦しんでいる妹を前に、それを隠したままでいるのは「違う」んじゃないか。ひなたさんはそう考えたんだろうなと思っています。

そして、そんなひなたの想いに呼応する兄二人。あそこの鳳兄姉はめちゃくちゃ熱かった。やったー!えむちゃんを助けてよ!頼むよ!って思った。

でも正直、晶介があんなストレートに伝えるとは思わなかった。「えむ、お前をワンダーステージのキャストから解雇する」とか言い出して、ツンデレ風に追い出すパターンもあると思ってた。

「お前はまだ……高校生だ」

実際の高校生ユーザーたちがどう感じるのかは、正直分かりませんが。僕はこの慶介のセリフが兄としての優しさと想いに溢れていて好きです。えむの気持ちを変えた慶介晶介の言葉の数々は、本当に兄だからこそ、家族だからこそ言えるセリフで。どうしようもなく愛に溢れていてたまんないです。

あと、スクショは撮ってないんですが(なんで)、ラストの晶介のデレ顔はズルいですよね。

「ワンダーランズ×ショウタイム」座長・天馬司とメンバーたち

そして最後に、語らないわけにはいかない、語るに尽くせない男。それが座長、天馬司。今回のイベントでの彼の言動は、ここまでの彼を非常によく反映していて(当たり前だけど)。特に序盤は、えむに比してまったく覚悟の決まっていない姿を見せてくれました。

そもそも司がワンダショの「別れ」について想いを馳せたのは、大きく二度ほどしかありません。まず全員が一同に介して別れの話をした無人島。そして、「夢の途中」最終盤で鳳兄たちの言葉を思い出したシーン。しかしこの後すぐにフェニックスステージとの合同公演が始まりますので、結局のところ司は、自身の成長のため新しい世界へ飛び出していくことに一層の関心を向けるようになったのです。

※あ、サイストを読み切れていないので、他にあればすみません。

だから司に関しては、「まさか、別れの時が迫っている…?」というくらいのおぼろげな危機感はあったかもしれませんが、逆に言えばそこまで。類、えむ、寧々は「夢の途中」にて実際に別れの苦しみを分かち合っていたので、その場にいなかった司との想いの乖離は大きかったと思っています。

だからこそ、最初に類がフリーランスの話題を切り出し、それをえむが断った場面(第3話)で、司は、司だけはほとんど言葉を発することができなかったんですよね。

ここは本当に、ぐわぁーってきました。
司が、ついにえむの想いを知ってしまった。しかも、既にえむの想いは固い。もっと早く、もっと早くこの男が、この事態に気付いていれば!! そう思ってしまうほどに。

司だけでなく、寧々も同じく飛び出したい派のはずなのですが、彼女はその目でえむの苦しみを見てしまっています。だから、この展開にもギリギリついていけたのかな。司より寧々の方がよく喋っているし、えむに反論してるんですよね。夢は自分で叶えなきゃって。この第3話でえむが語る気持ちは、「夢の途中」での結論とさほど変わっていませんので、寧々も準備ができていたのかもしれません。

また類に関しても、この第2部後半イベストでは長らくえむとセットで描かれました。というのも、「カーテンコール」を通して類は「ワンダショに残りたい側」の立ち位置になったからです。ただ彼はずっと「ワンダショがワンダショのまま夢を叶える」ための方法を探していました。その中で、今回の第3話と同様のやり取りを、既に前イベの「カナリア」ラストでえむと交わしていたわけです。つまり事実上、えむに一度断られている計画。それでも、類は叶えたかった。ワンダショがワンダショでいられる結末を。結果としてそれは、ワンダショの別れを早めてしまう展開になったのですが……これもすれ違い、仕方のないことと思います。何にしても、えむとの別れは彼にとっても想定の範疇にはあったことでした。

ところが、座長であるはずの司だけが、そうではなかった。まさか、えむがワンダショを抜けるだなんて、想像すらしていなかったかもしれません。鳳兄との会話を考えると、まだ自分が抜けるパターンの方が想定できていたのかも。ここで司が受けたショックは、誰よりもはっきりと描かれています。

まさかの数ヶ月ぶりの闇司と化して、苦しみを絞り出す

というか読み手の僕としても、まさかえむがワンダショを抜ける話になるとは思ってもみませんでしたよ。司や寧々が飛び出すことになってバラバラに解散するのか、みんな残るのか、みんなで旅立つか。それくらいは考えましたが、いやいや3人だけ飛び出してえむが抜ける(3:1)なんて、そんな悲しいパターンある???

とにかく、このように司のショックが特に大きかった様子が描かれたわけで、つまりそれはワンダショ座長の機能不全を意味します。そう考えると、このままじゃうまくいくわけがない。つまり、良い別れになるはずもない。笑顔でお別れなんて、できっこない!!

しかし、バーチャルシンガーたちの劇を見て、座長も少しずつ我を取り戻していったのではないでしょうか。それが発揮されるのが第7話、一人泣くえむを見てしまった3人の場面です。

あ、でも、ここではまず寧々ですよね。彼女はスマドリからずっと、わたしだってえむの助けになりたいという想いを持ち続けていました。そうして形作ってきた女子2人の絆が、ここで爆発的に発揮されました。

一人で泣くえむに、同じくらい泣きながら怒る寧々。
「泣くなら……わたし達の前で泣いてよ!」
それにえむは驚きますが、しかし彼女も泣きながら反論するのです。
「でも……でも!! みんなと笑顔でバイバイしたかったんだもん!」

寧々とえむが互いに想いをぶつけ合うって、今までなかったんじゃないでしょうか? どちらか一方が想いを伝えるというのは何度かあったかと思いますが、今回のは見ようによってはケンカですよね。初めてのケンカ。泣きながら。うんうん。っていうか、ここの寧々の声の張り方あまりに良すぎる。

そして。

そして、その直後でした。
座長、天馬司は2人の姿を見て、覚悟を決めて声を上げたのです。

ここ、人によっては唐突なギャグパートに見えるという話もありますが、そんなわけない。というか、このセリフが発された瞬間、もう僕の目から鼻から汗という汗が止まらなくなって、画面も見えなくなって、鼻呼吸なんか一切できなくなって、もう声をあげて泣きました。恥ずかしい。

そう。ついに座長が動いたんですよ。待ちに待っていた座長が!
そもそも、これまでえむ関連のお話というのは、天馬司の活躍と切っても切り離せない関係にありました。メインストーリーの観覧車、スマドリの観覧車、ワンマジ、そしてポッピンで「そんなことはない!」と言い放ったのも司です。

それなのに、「夢の途中」ではほとんど退場状態で、それでも最後に光を放っていく。しかしそれがまた、えむを苦しめる(アフターライブで「オレだってえむの夢を応援するぞ」なんて言っちゃってもう眩しすぎたぜ)。

……そんな積み重ねのうえで、満を持して司の言葉が響きます。
座長としての、えむの想いを汲み取った演説、そして……

ワンダショ史上に刻まれる名シーン。

もはや語る言葉もないのですが、司がここでさらにえむに伝えた言葉が、これまたワンダショ3年間の節目というか、読んでて気持ちが溢れて苦しくなる。

――もう2年前になりますが、前回の節目になったワンマジでは、えむから司への「ありがとう」を伝えていたんですよね。長い時を経ましたが、その返事と考えるとたまんねぇですね。

そりゃ泣くよ。えむも、みんなも、僕も。
このシーンに語れる言葉は見つからない。

いってきます!

類の提案。えむの夢。バーチャルシンガーたちの描くハッピーエンド。ワンダショの涙。鳳兄姉の想い。みんながみんな純粋な想いと、夢と、愛をもって涙の風が吹き抜けていくようなお話でしたが、結末はまた、新しいハッピーエンドでした。

「約束」は、司たち3人とえむで交わすものではなく、えむと……いや、ワンダショ4人とワンダーステージの間で結ばれたものになります。今まで本当にありがとう。必ず戻ってくるから。だから「いってきます!」

しみじみします。今度こそ、今まで慣れ親しんだ始まりのステージとはお別れ。いつかワンダーステージに帰ってくるワンダショを見たら、また泣いちゃうんだろうなぁ、僕が。

あと、少し場面は戻りますが、改めて司くんがえむを誘う場面、めちゃくちゃ最高です。まず司が、そして類が、寧々が。それぞれ自分の言葉でえむを誘うんですよね。「ずっと、えむと一緒にショーをしたい! 一緒に行こう!!」っていうおんなじ想いを、三者三様に伝える場面。素晴らしいです。

そして、それに応えるえむもまた、最高の一言でした。

もう言葉もありませんよ。これは。

まとめ

だから、まとめられることなんてない。

……いや、結構な文字数を書き散らしましたが、推敲して減らしてもこんなもんでした。ごめんなさい。というか、投稿直前にまただいぶ追記しました。

でもワンダショのお話に対しては、これくらいまとまらない想いを、感情を、毎回呼び起こされます。それだけ本当に素晴らしいお話であり、大好きな人物たちであり、また最高の書き下ろし曲の数々だったということ。

話と、キャラクターと、そして曲が結びついていくプロセカのストーリーっていうのは、本当に稀有で素敵なものだと、改めて思います。

これまでのワンダショの全てを表す超絶名テーマ曲
『セカイはまだ始まってすらいない』

本当は「あたしたちのハッピーエンド」イベント終了までに書き上げたかったのですが、全然無理でした。そういうわけで、アフターライブを見終わった後にも引き続き書いています。座長いわく、ワンダーランズ×ショウタイムはこれから冒険に出かけるそうです。それを聞いて、えむは「世界中に行ってみたい!」と。全く新しい、未知の展開が待ち受けるワンダショの次なるお話は、いったいどんな冒険なのか。本当に世界に(また)出ちゃうのか。

楽しみすぎて、とってもわんだほい!!

って、なんだこの書き下ろし曲!?
これ以上泣かせないで!!


※さらにさらに追記
木野日菜さんのアフタートークでも泣きました。
おわり。

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