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ファイアーエムブレム エンゲージ ――ゲームは世界観とプレイ体験の融合なんだ

#ネタバレ

こんばんは、飛び亀です。

今回は、みたびFEエンゲージの記事になります。
今度こそちゃんと感想を書きます!

今更ですが、今からでも皆さん遊んでみてください!!

はじめに:オススメする人、しない人

実はこの作品、巷では(どこ?)ファイアーエムブレムシリーズとしては賛否両論の評価でした。賛側の感想を漁ってみても、オススメできるポイントだけでなく、オススメできないポイントが書いてあるものが多いです。

だから、もうあらゆる人が同じことを書いているのですが、僕も書きます。繰り返し書きます。

まず……

めっちゃ面白いです!

でもダメな人はダメかも知れません!

でも楽しいです!


もう少し具体的なことを言うと、以下に当てはまる方はプレイに注意を要します。(もちろん禁止はしません、面白いゲームなので)

唐突にもてはやされる主人公
  • お子さま向け・ニチアサ的な雰囲気や、露骨な若者ウケ狙いっぽい雰囲気や文章がどうしても耐えられない

    • ex.「エンゲージビーーーム!!」「目線いただきました~!」「卒倒しそうです!」

  • 面白いやろ?→めっちゃスベってる……を苦笑いで済ませられない

    • ex.ジャンピング土下座

  • 設定の穴、演出の不自然さ、ご都合主義展開を見て見ぬふりできない

    • ex.さっき閉じ込められたのに、いつの間に外に出てる?

    • ex.戦闘前イベントでは目の前で会話していた敵が、戦闘だとすごく遠くの部屋にいるよね

  • 好きなキャラの活躍シーンを本編ストーリー内でちゃんと描いてくれないと激怒する

  • つまらないミニゲームの存在自体が許せない人

  • 今作のキャラデザが明確に嫌いな人

  • ゲームに頭を使いたくない人

  • 総プレイ時間50時間以上のゲームを絶対にやりたくない人

  • まともに調整された対人戦がやりたい人

うーん、悪いことを先に書かれるとやる気がなくなりますよね。
いいえ! すぐこちらをご覧ください!

  • 好きなキャラクターを自分らしく育て、自分で活躍させたい

  • 無双するのもいいけど、苦労の末に乗り越えたい

  • 自分の育てたキャラクターたちと戦闘を乗り越え、自分だけの思い出を作りたい

  • かわいい、かっこいい、きれいなキャラクターが見たい人

  • そんなキャラクターたちの、めちゃくちゃカッコいい戦闘シーンを堪能したい人

  • サブイベント(支援会話)で好きなキャラクターのことを深掘りしたい人

  • 熱い展開のシナリオに燃えたい人

  • ニチアサ風が好きな人

  • やらなくていいミニゲームの存在を無視できる人

  • じっくり頭を使うゲームをしたい人

  • それなりに長く(100時間くらい)1つのゲームを楽しみたい人

  • 変な対人要素をうまく楽しみつつ、基本ソロプレイで満足な人

終盤にかけてシンプルに熱い

こういう楽しみ方に少しでも興味のある方。
ファイアーエムブレム エンゲージ(以下「エンゲージ」と表記します)は、紛うことなくオススメです。

ではまだの方は、プレイをどうぞ。
ここから先は完璧なネタバレです!
僕が本当に良い!と思った点を包み隠さずレビューします!

とにかくグラフィックと戦闘モーションが良すぎる

戦闘モーションカッコ良すぎ!

もうこれを見たら説明いらないですね。プレイ始めた当時、モーション良すぎて即ツイートしちゃいました。
※横の馬に乗った人はシグルドさんと言って、過去作主人公でありスタンドみたいなものです。

シミュレーションRPGということで、

味方キャラを選んで動かして→敵を選んで→武器や技を選んで攻撃!

というアクション要素はないゲームなのですが、これだけキャラがテンポよくアクションしてくれると最早アクションゲームを遊んだかのような爽快感があります。戦闘ムービーカット(マップ上の簡易モーションでダメージ表示)機能もありますが、これを見ないのは今回もったいない!

戦闘モーションが良いっていうのは、その動きの作り込みと元のデザインの良さが合わさったものですね。

動きの作り込みについては、これは歳のいったFEシリーズファンしか分からないと思いますが、GBA世代(封印、烈火、聖魔)のドット絵戦闘モーションの再現を目指しているそうです。あれ本当にカッコよかった。

少なくとも今作「エンゲージ」の戦闘モーションは、このGBAドット絵の動きに追随するレベルの気持ちの良さです。「いつもは戦闘ムービーOFFにしてるけど、『エンゲージ』ではONにしてる!」という声もよく聞かれます(飛び亀調べ)。

3Dモデル良すぎ!

そしてグラフィックデザインの良さ、というかデザインをちゃんと3Dモデルに可愛くかっこよく落とし込んでいる。これはデザイナーのMika Pikazoさんが3Dモデル監修も行っていて、完成されたものだそうです。

とにかくご覧ください。

僕らのセリーヌ様
ムービーじゃなくて歩けるマップです
ゴテゴテなオルテンシアちゃん
男たちもまあ

さらに!

今回は先程ちょろっと説明したスタンド……もとい指輪に封じられた紋章士とのエンゲージ=合体システムがあります。装備した紋章士の指輪に応じて、戦闘能力やスキルが変わるだけでなく、合体した際には姿も大きく変わります。つまり、変身するのです。

この変身姿、エンゲージフォームが仲間の数×指輪の数すべて用意されています! とんでもない!

先程のフランちゃんは……

変身して馬に乗って攻撃できたり。
あとトレーラームービーにもよく出てきたセリーヌ様は……

普段はお姫様ですが
エンゲージすると魔法少女っぽくてイメージ変わる!

装飾品が外れて、髪色・服装が変わる感じですね。

ペガサスナイトさんも……
ペガサスどっか行って自分に羽が生える

物足りない方は、ぜひぜひ遊んでみて。
まだ手が出ないなら、プレイ動画など探してみてください。

ちなみにドット絵もひっそりいっぱいあります。これもすごいです。

自分だけのプレイ体験=物語を作ることに特化したゲーム

プレイ体験とは?

さて、ここまでは「見た目」の話をしてきましたが、「見た目」も「シナリオ」も、すべては「プレイ体験」の心地よさにつながっていきます。そうでなければ、ゲームの意味がありません。

ゲームを遊んでいて楽しい!というのが、ゲームに求められるプレイ体験ですよね。もちろん、残念!苦しい!という体験を挟むことも重要ですけど。

何が楽しいのか、どうして楽しいのか。あるいは何が残念で苦しいのか。
これは、ゲームによってまちまちです。

アクションなら難しいステージをクリアできて楽しいとか、逆に難しくて苦しいけどホイホイ進めるようになったら楽しいとか。RPGやアドベンチャーなら、お話が面白いとか。もちろんバトルが面白いというのも、戦闘があるゲームに求められるものです。

FEシリーズらしい楽しさ

それで、「エンゲージ」に限らずファイアーエムブレム(FE)シリーズの楽しさというのは、僕が思うに次の要素が大きなウェイトを占めているんです。

「プレイ体験そのものが、自分だけの物語(エピソード)になる楽しさ」

楽しい!やった!というプレイ体験、辛かった苦しかったというプレイ体験。これが非常に個人的なエピソードに、つまり自分だけの物語になる。それがまた楽しい嬉しい!という体験です。

まあ正直これは、あらゆるゲームに共通する「ゲーム性」の根本だと思っていますが、ともかくこれがFEシリーズにも色濃く感じられます。
どうしてFEシリーズはこの要素が強いのか。大雑把に以下に挙げます。

  1. 育成の自由度 →自分だけのキャラクター

    • 誰を優先して育てるか

    • どのクラス(職業)にするか(最近の作品ほど自由に)

    • ドーピングアイテム

    • スキル

  2. 戦闘での選択肢の多さ →何を選ぶか自分で考える

    • 仲間キャラクターが多い

    • 装備武器が多い

    • 敵の数も多い

    • 広いマップの中で各キャラの配置を考えなければいけない

  3. ランダム、ギャンブル要素 →同じプレイでも自分だけの展開に

    • 絶妙な攻撃の命中・回避設定

    • 絶妙な必殺(クリティカル)率と必殺ダメージの高さ(3倍)

まとめると、
1.自分が好きに育てたキャラクター2.戦闘で自分なりに動かしたことで3.自分だけが味わえる結果が得られる。

これがFEシリーズの特長なのです。
FEにはたくさんのプレイヤーがいます。プレイヤー同士が交流して「あのステージはああだったよね」と話し出しても、全く同じ行動をして全く同じ展開になったということは、まず起こらないのです。ポケモンなんかも似たようなものなのですが、SRPGらしい戦闘選択肢の広さが、より体験の個人エピソード化を苛烈にします。

そして特にデカい意味を持つのが3.に挙げた「回避」「必殺」です。
「うちの子が死にかけなのに神回避した!!!」とか…

「うおおお!大事なところでクリティカル出た!やったぜ!めっちゃ強い!」とか…

全部フランやんけ!

シミュレーション要素とランダム要素って、本来は食い合わせが悪そうなもんなんですが……
逆に(?)こういう「ボクだけワタシだけのバトル展開」を存分に味わいまくれることこそが、FEシリーズ全般における最大のポイントだと僕は考えています。

そして!
何より「エンゲージ」は、こういう意味の楽しさが歴代FEシリーズの中で随一だと言っていい。このことについて書いていきます。

紋章士の指輪がカスタマイズ性も物語性をも高めた

「エンゲージ」最大の特長は、紋章士の指輪を各キャラに装備でき、戦闘中に任意のタイミングでエンゲージ(合体変身)できることです。

先程から何度か書いていますが、エンゲージすることで指輪に応じた戦闘中のスキルが解放されて能力がアップしたり、見た目が変わったりします。

エンゲージスキルの効果で、火力大幅アップ
回復役の子でも40×2のダメージを出せたりする

もう一度言いますが、この強力な変身を任意のタイミングで数ターンにわたり使うことができます。どのタイミングで誰を変身させるか、そもそも誰にどの効果の指輪を持たせるのか。ここに自分だけのゲーム体験、すなわち自分だけの物語が生まれるのです。

単純な話、戦闘における選択肢が従来のFEよりさらに多いのです。そのぶん考えることも増えますし、変身したとて簡単にクリアできないような難易度調整もされています(後述)。しかし、それが見事にちょうどよく、自分だけのプレイ体験につながっているのです。

もう1つ、実は指輪の装備によって、変身(エンゲージ)しなくてもスキルや装備効果を得られます。シンプルに、装備品としてのカスタマイズ性も兼ねているのです。

左下、「必殺100%」とは確定クリティカルを意味します。
攻撃70とありますが、実質的には3倍の210です、めちゃくちゃです。

上の画像はまだ変身前の段階ですが、指輪の装備スキルと武器などを組み合わせてコンボ効果が成り立っています。変身以前に、装備効果だけ考えてもオリジナリティを見つけていく楽しみがあります。まあこれはみんな使ってる有名なコンボなのですが。

また、キャラと指輪それぞれに装備レベルのようなものがあって、指輪ごとに経験値をためて装備効果・変身効果を高めていく仕様になっています。指輪が12個+α(DLCを入れると20に及ぶ)あり、全キャラクター(DLC含めると40人以上)と掛け算すると、実に800の組み合わせがあります。びっくり。

どのキャラクターをどんなふうにカスタマイズし、戦闘のどの場面でエンゲージさせるか。この育成と選択肢の広さを考えれば、「エンゲージ」が極めてパーソナライズされたプレイ体験を生み出すことがお分かりになるでしょう!

え?
800通りあったって、どうせみんな使う組み合わせは一緒だろうって?
強い弱いがあるからって?

その理屈は確かに間違ってはいません。
先程ちらっと消した書いたとおり、定番の(強力な)組み合わせ、定番の育成はあります。

しかし、定番を鉄板にしない調整がされている、その絶妙な戦闘が「エンゲージ」のもう1つの味なのです。

「自分の戦い方」でカタルシスを得られる難易度調整

紋章士の指輪装備が、変身後も変身前もとんでもない効果を生み出すことを説明してきました。

ともすると、「仲間をそんなに強くできてしまったら無双できてしまう、戦闘自体は簡単なんじゃないか」と思われることでしょう。

しかしこれ、遊んでみると分かるのですが、決して簡単ではないのです。ターン制限があるとはいえ変身中くらいは負けないだろうと、最初は思います。ところが、ちょっと油断すると変身中でも平気でやられます

変身してても断然不利になることは多々ある。どうしてなのか、以下僕なりに考えました。まず変身しても火力や耐久が上がらない組み合わせが案外多いこと。またFEは原則として「攻撃を仕掛けた側が先行になる」ことに加え、今作特異なシステムである「ブレイク」(3すくみ相性が有利な武器で攻撃すると、相手がしばらく反撃できなくなる)、そして絶妙なステータス調整によって、今作は「敵ターンの攻撃受け」が割と不利になっています。そのため、比較的「攻めこまなければやられる」状態が常にあって、でも「攻め過ぎると敵陣営に入り込みすぎてやられる」バランスでもあるのです。以上、えーと、僕はレベルデザインとか分からないので、適当なことを書いています!

……とにかく、今作は決して簡単ではないのです。

変身しても勝てないってことはじゃあ、玄人向けの難しさなんだ、とっつきにくいな。
当然そう思われるでしょう。

しかしこれがまた不思議なことに、そんなこともないのです。
少なくとも「詰将棋のように打つ手が限られていて、クリアへの道筋が少ない」タイプの難しさではありません

しつこいようですが、紋章士の指輪によってFE史上最もカスタマイズ性が高く、戦闘選択肢も多いのが今作です。しかし仮にクリアへの道筋が少なければ、そのたくさんの選択肢の意味がない。

今作はそこの調整が本当に絶妙で、プレイヤーそれぞれの選択によって、実に様々なクリアの仕方があります。それでいて、どの選択をしても手応えを感じられるような難易度になっているのです。

早い話が、簡単でもなく難しすぎもしない。「何やっても勝てる」ほど簡単でもなく、「あの方法じゃないと勝てない」ほど難しくもない。

自分の育てたキャラで、
それなりに苦労をして、
いろんな道を経て、
クリアするというカタルシスを得られる。

そんな絶妙な難易度調整になっているからこそ、戦闘の中で自分だけのエピソードが生まれやすいのだと言えるでしょう。

なぜか弱いと言われがちなラピスちゃんでも活躍させている人はたくさんいる。

一番分かりやすいのは「うちの推しを活躍させてクリアできた!」ですね。簡単すぎても嬉しくないし、難しいと特定のキャラしか活躍できない。ちゃんとその真ん中を取った「ちょうど良い」難易度調整になっているということです。

※そもそもオプションとして3段階の難易度(ノーマル/ハード/ルナ)と2種類の生存システム(カジュアル→やられても復活する/クラシック→やられたキャラは二度と使えない)があります。自分の実力に合わせた難易度設定にすれば、上記の「ちょうど良さ」を味わいやすくなります。

世界観との融合=プレイ体験が浮かないように

さて、最後に「エンゲージ」の世界観の話に触れてみます。

※世界観って曖昧な言葉ですが、キャラクターやシナリオ、テキスト、演出、システム、そして設定……そういったものが集まった全体像、雰囲気のことだと思っています。

個人的には重苦しい雰囲気の部分もあると思うのですが(特にDLCでそれが顕著に描かれていました)、全般的にライトなテキストやキャラデザのおかげで、FEとしては緩めの世界観だと言われがちです。

その点を「はじめに」で注意喚起していて、そういう雰囲気にどうしても耐えられない人はいるよな、と思うわけです。が、ここまで書いてきたような「選択性の広いプレイ体験」は、今作のような緩めの世界観だからちょうどいいんじゃないか、とも感じるのです。

というのは、まず指輪を装備して変身するような世界観は、これまでのFEじゃ無理だろうっていうこと。これはでも、設定的な部分をどうにかすれば、重々のシナリオの中でも似たようなシステムは作れるかもしれません。

ただ、「あの子がこんな活躍できた!」「この子も奇跡みたいな活躍した!」というプレイ体験は、あんまりシナリオがハッキリしているゲームだと浮いちゃうことがあるのでは、と考えます。

シナリオ上で活躍しているキャラと、実プレイで活躍しているキャラがズレてるってこと、ありません?
例えば○○というキャラが活躍するストーリー中のバトルなのに、○○の能力が低くて活躍できないとか。△△の方が強くて、バトル中はそっちばかり活躍しているとか。

それがゲームってものだ、気にするな。
と、僕も全くもってその通りだと思うのですが、それでも違和感を感じると没入感は落ちるものです。

その点、「エンゲージ」はストーリー上での各キャラの出番を極めて薄めにしています。終盤なんかほとんど主人公周りしか喋らないので、その他大勢のキャラたちは、ある種の軍隊として戦いに集中できるのです。

よって、各キャラの戦闘中のエピソードにあんまり違和感がなくなります。「ここでこいつが活躍するのは、ストーリー的におかしくない?」っていうことがほぼないのです。

まあ、キャラの出番を減らすなんてネガティブな手段だとは思いますが。

※FEシリーズ自体、そもそもキャラをロストしてしまうシステムがあるために、仲間になった後のストーリーから出番が減ってしまうパターンが多いです。一部の作品では、キャラのいるいないで細かく台詞の分岐を作って、なるべく出番を作る努力をしている作品もあります。


とにかく、今作の育成・戦闘における各種システムは世界観ともわりあいマッチしていて、結果としてプレイ体験の没入度を高めていると思うんですよね。

だからこそ、「エンゲージ」の世界を個人のプレイ体験で埋めて楽しめる。これって、ずいぶんゲームを楽しめていることになりませんか?

僕はそうでした。
この作品を1月からずっと遊んでいます。
あまりたくさんの作品を遊んだわけではないのですが(エムブレマーではないのですが)、そんな飛び亀のFE史上ではプレイ時間最長となっています。

難しいことを語ってきましたが、とにかく「エンゲージ」めちゃくちゃ楽しめています。ゼルダはじめ色々なゲームが発売されていきますが、ぜひまだ遊んでいない人は、この作品も楽しんでみてください!

それでは!

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  • FEエンゲージ1本目の記事は、エセ攻略記事でした。

  • 2本目の記事は、半プレイ日記みたいなものでした。

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