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聖者が行進するとき

3-4歳の子どもたちとヨガをさせてもらっている日本語の幼稚園(プレ・プレキンダー)にジャズバンドがやってきてミニ・ライブをしてくれた。生徒のお父さんがジャズミュージシャンだということでまさしくニューヨークっぽい話だけど、そんな小さい時期に一流ミュージシャンの生演奏を教室で聴けるなんて本当に素晴らしい体験だと思う。

私は演奏を聞かなかったけど短いビデオを見た。
“When the Saints go marching in”というよく知られている曲、日本語ではよく「聖者が街へやってくる」と訳されている曲が最初に流れて、子どもたちが一緒に体を楽しそうに揺らしていた。

いつも子どもたちが日々経験したことをヨガクラスでも取り上げたいと思っている私は(いつもネタを探しているw)、そうだ、この曲をみんなで一緒に日本語で歌って行進するようなポーズや動きをクラスでしようと思い、日本語訳を探してみた。

するとこの曲はアメリカの黒人霊歌にルーツがあり(ゴスペル・ジャズナンバー)歌詞の内容は宗教色が強いという。「聖者たち」とは「死者」で、「街にやってくる」のではなく「天国へ行進する」のだそうだ。今までちゃんと歌詞を聞いていなかったけれどそんな意味があったとは。

http://www.tapthepop.net/news/52800

ジャズ発祥の地ニューオーリンズでは「ジャズ葬儀(ジャズ・フューネラル)」というものがあり、最初に遺族たちが重い響きのリクイエムと共に棺をお墓まで運び(”ファーストライン”と呼ばれる)、埋葬が終わると明るい曲を演奏して街を練り歩きながら帰路に着く(”セカンドライン”)そうだ。奴隷として重い強制労働に苦しむ人生を歩んだ多くの黒人たちは、大切な人の死を悲しみながらも束縛から解き放たれた魂が天に還っていくのを見送っていたのだった。

Oh, when the saints go marching in
Oh, when the saints go marching in
Lord, how I want to be in that number
When the saints go marching in

(勝手訳)
聖者たちが行進する
彼方に向かってずっと行進していくんだ
神よ、その時は私もどうかその中に入れてほしい
聖者たちが行進する時に

こういう歌詞だけど、子どもと一緒に歌おう!みたいな日本語歌詞にはこんな風になってるのもある。

今日からみんなで歌を歌おう
朝から晩まで陽気に歌おう
聖者がやってくる僕たちの街に
みんなで迎えよう聖者を町に
はるかな星空 歌の国から
いつもの笑顔でいつものように

曲のイメージからするとこんな歌詞でも合いそうだけど・・・

そう言われてみればジャズの歌詞って秘めた哀しさを含んだものもある(特に詳しくないのに語る私・汗)。オンラインのジャズヴォーカル・クラスで習った曲「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」とか、それこそ超有名な「ストレンジ・フルーツ」とか。

私は音楽理論のことは全くわからないのだけど、西洋音楽だと長調、短調がはっきり別れてる感じがするのに、ジャズやブルースはその辺が慣れてないと「あれ?」って感じに変動していく感じがある。なのでメロディも明るい音なのに悲しい、悲しいからこそ明るくのようなスピリットを感じる。

無惨な死を遂げた者こそ「聖者」だったのかな。
そういう聖者たちが空を昇っていくところが彼らには見えていたのかもしれない。

とりあえず3-4歳の子たちと歌うのはまたにしよ・・・

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