ラオス旅最終編。忘れたくない2つの場所
今回の行程では、思いがけず出会った2つの場所と時間がある。今でもこの思い出を振り返ると、旅の楽しさが心の中に舞い戻ってくる。こんな時間があるから、私は旅が好きだ。
Laos Textile Museumで藍染体験
飛び入りで行っても藍染を体験させてもらえる博物館。体験時間は約2時間弱。熟練したおばあちゃん先生と、彼女の姪だという明るい女性が教えてくれる。ふたりとも気持ちのいい自然な色の服を着ていて、市街地から少し離れた静かな地域に佇むこの博物館とよく似合っていた。
おばあちゃん先生が「私のことは『メー』(お母さん)と呼んでいいわよ」と言ってくれた。70代くらいの彼女がビー玉や石を布の上に置いて、紐でぐっと締めるその様子は、私には到底追いつけない強さを感じた。
私は飾られている中からビビッときたデザインを選んだら、意図せず日本とラオスの国旗に似た模様に染まった!この服を着るたびにラオスの穏やかな景色が思い出せて、なかなか良い。大満足、お気に入りのTシャツになった。ちなみに体験代+Tシャツで約550バーツ(うろ覚え)。
ここの工房は主に糸を藍で染めて国内外に発送しているらしい。私たちが体験したTシャツやストール染めは、観光客向けなのだ。姪のお姉さんは英語が堪能だったので話を完全に理解できたことがうれしい。
メコン川を眺めてラオコーヒーを飲む
旅行は、朝の使い方が大事だと思う。日の出を見るために歩いてメコン川の方に向かうと、整備された遊歩道には朝から活動的なラオスの人々がいた。おそろいの赤いシャツを着てみんなで朝ごはんを食べているおばさまたち、都会的なスポーツウェアを着て汗を垂らしながら走るランナーたち、コーヒーを飲みながら日の出を眺める人たち。
私はコーヒー集団に混ざってみることにした。お兄さんに聞くとここのコーヒー豆はラオスで作られたものらしい。一杯20,000キープ(140円)。タイではどんな飲み物も基本的に甘いが、ラオスのコーヒーはちょっと苦い。体の中からラオスに浸ってさっぱり気持ちがいい朝だ。
常連さんらしい人たちが、屋台の周りにある低い椅子に座ってのんびり話していた。私も川に向かって腰を下ろすことにした。目の前を流れるメコン川の向こうはタイだ。深呼吸をして、ひんやりしたビエンチャンの朝の空気を思いきり吸い込む。この気持ちよさがあるだけで「この国にも住めるなあ」と思ってしまうんだから、私は単純なのだと思う。
"You open up your full sensibility to an unfamiliar world"
あるダイバーが、スキューバダイビングの面白さをこう表現していた。私たちの五感を目一杯に使って新世界(この場合は海中世界)を経験するのだ。これを聞いたとき、私にとっての旅も似ていると思った。日常生活では使われない全ての感覚を使って、見知らぬ世界を経験しに行っている。
このコーヒーを飲んでいるとき、私は全力でラオスを見て、聞いて、嗅いで、味わって、感じていた。たぶん、私の人生は、こういうひと時を過ごすためにある。
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