ペンちゃんとタンポポの約束🐧
「ペンちゃんの星空」の続編として書いた物語です。
丘や動物達とのエピソードについても知りたい方はこちら👇をどうぞ。
①
パタパタパタパタ・・・どしん。
大きな岩から飛ぼうとしたペンちゃんは、
空を飛べずにしりもちをつきました。
「う~ん、どうすれば飛べるようになるのかなぁ。」
毎日練習しているけれど、いつも地面に落ちてしまいます。
「毎日よく頑張ってるね。」
誰かの声が聞こえてきました。
でも、辺りを見回しても誰もいません。
「ここ、ここだよ!」
声がした方をよく見てみると、タンポポが微笑みかけていました。
「どうしてそんなに空を飛びたいの?」
そう聞かれたペンちゃんは、
「僕、丘に来れないみんなにも元気や勇気をお届けしたいんだ!」
と、目を輝かせて話し始めました。
「この前ね、カラスさんやスズメさんとお話してたの。
カラスさんもスズメさんもいろんな町に飛んで行ってるから、
そこでのお話を聞かせてくれたんだ。
それで、遠くの町にも元気や勇気が欲しいと思っている子がいるよって
教えてくれたの。
だから、その子達に会いに行くために、飛ぶ練習をしているんだよ。」「それで毎日頑張ってたんだね。
でも、ペンちゃんが空を飛ぶのは、なんだか大変そうだね。」
「毎日練習してもダメなのかなぁ。」
タンポポの言葉を聞いて、ペンちゃんはしょんぼりしました。
②
次の日も、ペンちゃんは飛ぶ練習を続けていました。
それでもやっぱり飛べません。
「ペンちゃん、大丈夫?」
タンポポが心配して声をかけました。
「うん、大丈夫だよ。ありがとう。
ちょっと休んでから、また頑張ってみるね。」
すると、
「あのね、一つ聞きたいことがあるんだけど…。」
とタンポポは話し始めました。
「ペンちゃんの願いは空を飛ぶことなの?
それとも、元気や勇気を届けることなの?」
「えっ?どっちもだよ?」
「そうなの?ペンちゃんの願いは一つのように思えるけど。」
「どういうこと?」
不思議そうに尋ねるペンちゃんを見て、タンポポは優しく微笑みました。
「ペンちゃんの本当の願いは、元気や勇気を届けることなんじゃないかな。
空を飛ぶことはその願いを叶えるための方法で、
願いではない気がするよ。」
「願いじゃなくて方法!」
タンポポの言葉は、
ペンちゃんにとってなんだか素敵なものに思えたのでした。
③
「願いじゃなくて方法なら、他にもいろいろあるんじゃないかな?
それに、ペンちゃんは空をうまく飛べなくても、
水の中はとても上手に泳げるんだよね?
そのための素敵な羽なんじゃないのかな。」
タンポポの言葉を聞いたペンちゃんは、
嬉しそうに羽をパタパタさせました。
「僕、鳥の仲間だから飛べるようになろうと頑張ってたんだ。
でも、僕にとって大事なのは、元気や勇気を届けることだよね。
タンポポさん、ありがとう!」
すると、タンポポから思いもよらない言葉が飛び出したのです。
「そうだ!ペンちゃんの代わりに、
私たちが元気や勇気を届けるっていうのはどう?」
「そんなこと、できるの?!」
ペンちゃんはびっくりしてタンポポをじっと見つめました。
「私達、もう少ししたら綿毛になるの。
綿毛になるとね、風に乗って遠くまで飛んでいけるんだよ。
だから、みんなに元気や勇気が届きますようにって願いながら、
綿毛を飛ばしてみたらどうかな。
そうすれば、私達がいろんな所に飛んで行って届けるから。
今こうしてペンちゃんとお話しているみたいにね。」
タンポポの話を聞いて、ペンちゃんはとびきりの笑顔になりました。
「タンポポさん、ありがとう!
空を飛べなくても、僕の願いは叶えられるんだね!」
④
次の日、ペンちゃんは丘に集まってきた動物達にタンポポの話をしました。
すると、話を聞いた動物達は
「じゃあ、みんなで一緒に綿毛を飛ばそうよ!
そうすれば、たくさんの所に届いて、
いろんな子に元気や勇気が届くでしょ?」
と言ってくれたのです。
「みんな、ありがとう!そうだね。
みんなで一緒に飛ばしたら、きっと幸せもいっぱい広がっていくよね。」
ペンちゃんと動物達のそんな話を、
タンポポは嬉しそうに聞いていたのでした。
それからしばらくして、ついに綿毛が飛びたつ日がやってきました。
いろんな動物達が次々に集まってきます。
そんな中、ペンちゃんは綿毛になったタンポポをじっと見つめながら、
これまでのことを思い出していました。
「タンポポさん、今まで本当にありがとう。
新しい町に行っても元気でね。
タンポポさんのこと、ずっと忘れないよ。」
「私達もペンちゃんから元気や勇気をもらったよ。
だから、飛んでいくのも怖くないよ。ありがとう。
ペンちゃんの気持ちと一緒に、元気や勇気を届けてくるね。」
「せーの!ふーーっ。」
ペンちゃん達が一斉に息を吹きかけると、
たくさんの綿毛が青空に舞い上がりました。
お日さまの光を浴びてきらきら輝きながら、
綿毛は春風に乗ってどんどん飛んでいきます。
「遠くの町のみんなもタンポポさんも、幸せでありますように。」
飛んでいく綿毛を見送りながら、ペンちゃんはそうつぶやいたのでした。
あなたの住んでいるところにも、
ペンちゃん達が飛ばした綿毛が、届いているかもしれませんね。
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①~④まで音声配信したのですが、
④では繋がりのある配信者さんの音源をBGMとしてお借りしました。
曲を作った方とアレンジ・演奏された方のコラボ音源です。
お話のイメージにピッタリで、BGMの素晴らしさを改めて感じています。
この物語は、
いろんな状況の人達のことを思い浮かべながら書きました。
その中の一人がumi no otoさんです。
活動の内容を説明することは私には難しくて、ここでは書けなかったので、
umiさんの記事を読んでいただけると嬉しいです🍀
umiさんの想いがたんぽぽの綿毛のように、
いろんな人のところに届くことを心から願っています🌈✨
そして、ペンちゃん達のように、
umiさんの活動をいろんな方々と一緒に
応援していけたらいいなと思っています🐧🌻
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